研究課題/領域番号 |
23K09081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
峯田 一秀 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70747815)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ケロイド形成 / ケロイド由来線維芽細胞 / ストレッチ刺激 / TRPチャネル / TRPV2 / ケロイド / 筋線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
繰り返しストレッチ刺激の負荷中に見られるケロイド由来線維芽細胞(K-FBs)における細胞内Ca2+濃度の病的応答(約10%)が、シングルセル解析の結果、TRPV2(+)陽性かつαSMA陽性の線維芽細胞の亜集団である可能性を報告した。そこで実際に、Keloid-TRPV2(+)/αSMA(+) fibroblastsが、どのようにケロイド形成に関与しているのかをフローサイトメトリーや免疫染色、遺伝子・タンパク質解析等を駆使して、解明していく。
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研究実績の概要 |
ケロイド由来線維芽細胞にストレッチ刺激を負荷した際に、細胞内Ca2+濃度が一過性に過剰上昇するkeloid-specific subpopulation(約10%)の存在を誌面報告した。そこで、ケロイド由来線維芽細胞におけるTRP(transient receptor potential)チャネルの発現を個細胞単位で検証するために、シングルセル解析を計画し、ケロイド由来線維芽細胞(K-FBs)と正常皮膚由来線維芽細胞(N-FBs)におけるTRPチャネルの遺伝子発現について比較した。 独自の伸展刺激装置を用いて、K-FBsとN-FBsにストレッチ刺激(ひずみ量15%、12回/分、48時間)を負荷した後、10xGenomics社のsingle-cell RNA sequencing法を用いたライブラリー調整と次世代シーケンスを行い、専用ソフト(Loupe Browser)で解析した。 K-FBsあるいはN-FBsの検出総細胞数のうち1%以上発現したTRPチャネルは、TRPP2(K-FBs 29.5% vs N-FBs 30.2%)、TRPC1(8.5% vs 10.4%)、TRPC4(3.3% vs 3.7%)、TRPM4(4.8% vs 8.3%)、TRPM7(19.6% vs 22.7%)、TRPML1(25.7% vs 25.0%)、TRPML3(2.0% vs 4.0%)、TRPV1(1.1% vs 1.4%)、TRPV2(11.5% vs 2.3%)であった。このうち、TRPV2のみK-FBsで有意に発現しており、それ以外はN-FBsで有意に発現していた。細胞免疫染色においても、K-FBs中の約10%で活性化型TRPV2抗体の発現が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた細胞免疫染色の実験については終了した。フローサイトメトリーについては、予備実験が終わったため、来年度に本実験を行う予定である。また、学会における口頭発表と紙面報告の準備を進めているところである。以上より、おおむね順調に進捗していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
シングルセル解析結果で、ケロイド由来線維芽細胞(K-FBs)は正常皮膚由来線維芽細胞(N-FBs)と比較し、ミトコンドリア環状DNAをコードする13種類の遺伝子発現量が有意に低いことが新たに判明した。そこで、K-FBsのミトコンドリアに異常があると仮定し、ミトコンドリア機能を調査した。 K-FBsとN-FBsのミトコンドリア呼吸(OCR: Oxygen Consumption Rate)は、基礎呼吸(KF:21.8 pmol/min vs NF:27.1pmol/min)、ATP産生量(17.7 pmol/min vs 21.9 pmol/min)、最大呼吸(40.5 pmol/min vs 62.6 pmol/min)、予備呼吸能(11.5 pmol/min vs 26.1 pmol/min)、非ミトコンドリア酸素消費量(7.2 pmol/min vs 9.3 pmol/min)、プロトンリーク(4.0 pmol/min vs 5.3 pmol/min)であり、いずれもK-FBsで有意に低いことがわかり、K-FBsではN-FBsと比較してミトコンドリアによるエネルギ―代謝が有意に低いことが示唆された。K-FBsにおけるミトコンドリアの好気的なATP産生の低下は、代償的に嫌気呼吸(解糖系)が優位である可能性があるため、検証を進めていく。
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