研究課題/領域番号 |
23K09087
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
井上 槙也 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (00972431)
|
研究分担者 |
善本 隆之 東京医科大学, 医学部, 教授 (80202406)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | ヒト乳歯歯髄幹細胞 / 培養上清 / メラニン生成抑制 / メラノサイト / 間葉系幹細胞 / 歯髄幹細胞培養上清 |
研究開始時の研究の概要 |
今日、間葉系幹細胞(MSC)を用いた細胞移入療法の臨床研究が盛んに行われているが、MSCの細胞培養上清(CM)の投与が、細胞フリー療法として免疫拒絶を考慮する必要がなく、安全性も高いため注目されている。本研究では、まず、私達が最近作製した不死化ヒト脱落乳歯由来の歯髄幹細胞(SHED)の培養上清(SHED-CM)が、in vitroの細胞培養系でメラニン生成を抑制する作用機序を分子レベルで明らかにし、次に、in vivoで紫外線照射による皮膚の色素沈亢進モデルマウスを用いて、SHED-CMの治療効果とその作用機序について明らかにする。
|
研究実績の概要 |
2022年度は、不死化したヒト脱落乳歯歯髄幹細胞の培養上清(SHED-CM)のマウスメラノーマのメラニン生成抑制効果について検討を行った。 ①SHED-CMのメラニン生成抑制効果:マウスメラノーマとしてB16F1とB16F10を用いた。まず、SHED-CMによるメラニン生成の抑制効果を調べるため、B16F1細胞をSHED-CMおよびコントロール培地、ポジコンとしてアルブチン共存下で72時間培養し、細胞を回収し遠心すると、SHED-CMの濃度を上げていくと沈渣の黒味が減ってきた。そこで、細胞を溶解後メラニン量を分光光度計で定量すると、アルブチンよりより強くSHED-CM濃度依存的に低下した。さらに、チロシナーゼ活性をL-DOPAを基質として測定すると、同様に、その活性がSHED-CMにより強く阻害された。同様な結果は、B16F10でも見られた。 ②SHED-CMによるメラニン生成抑制効果の作用機序:そこで、次に、作用機序を明らかにするため、SHED-CMで刺激24時間後にRNAを抽出し、RT-qPCRによるmRNA発現解析を行うと、チロシナーゼmRNAが強く発現低下し、そのシグナル伝達系の上流に位置するTyrosinase-related protein-1/2(TRP1/2)や、小眼球症関連転写因子(MITF)、b-Catenin、GSK-3bの発現も低下していた。さらに刺激72時間後に細胞溶解液を調製し、ウエスタンブロット解析によっても、これらの分子の発現が低下、または、低下傾向にあった。つまり、SHED-CMは、チロシナーゼ発現を誘導するシグナルのかなり上流部分に効いている可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不死化したヒト脱落乳歯歯髄幹細胞の培養上清(SHED-CM)によるメラニン生成抑制効果が明らかになってきているので、ほぼ計画の予定通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度:SHED-CMがメラニン生成を抑制する作用機序の検討 SHED-CMによるメラニン生成の抑制効果の作用機序を明らかにするため、SHED-CMの抗体アレイを用いた網羅解析や個別のELISAにより、個々のサイトカインや増殖因子の濃度が高そうな分子や、以前にメラニン生成抑制活性を示すことが報告されている分子の組換え蛋白質をB16F1細胞に加え、メラニン生成への影響を調べる。次に、メラニン生成を抑制する活性が強かった分子について、その中和抗体とコントロール抗体、または、そのsiRNAを遺伝子導入し産生をノックダウンしたSHED-CMとコントロールsiRNAを同様に処理したSHED-CMなどを比較検討し、メラニン生成抑制に重要な分子を明らかにする。 2025年度:紫外線照射で誘導する色素沈着モデルマウスでのSHED-CMによる色素沈着抑制効果の検討 紫外線照射したマウスで誘導する色素沈着モデルマウスを用いて、in vivoでの色素沈着形成へのSHED-CMの抑制効果について検討する。C57BL/6マウス背部の毛をバリカンと除毛剤で除去後、紫外線照射を3回照射し、毎日SHED-CMおよびコントロール培地を染み込ませたガーゼを背中の張り、経時的に皮膚が黒色化する様子を写真で撮影し、色素沈着の程度を画像解析ソフトを用いて定量する。3週間後に皮膚組織のメラニンをFontana-Masson染色や、MITFやチロシナーゼ、TRP1/2に対する抗体を用いた免疫蛍光染色と、皮膚組織よりトータルRNAを調製し、それらの分子のRT-qPCR解析を行う。昨年までの検討で得られた重要な分子の抗体を用いて除去したSHED-CMを調製し、上述のマウスに投与し、in vivoでの関与を検討する。
|