研究課題/領域番号 |
23K09096
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
上野 麻由 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 医員 (30972997)
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研究分担者 |
植村 法子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (10568017)
田中 顕太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20569503)
麻生 義則 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, ジョイントリサーチ講座教授 (50345279)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 実験動物モデルの手技獲得 / ナノバブル水の投与組成の検討 / ナノバブル水 / 遊離皮弁 / 再建 / 形成外科 |
研究開始時の研究の概要 |
遊離組織移植による再建手術では必ず皮弁阻血時間が発生し、長時間になると皮弁壊死や萎縮などの合併症が生じる。本研究は阻血中の低酸素状態に対し、高濃度酸素ナノバブル水の注入が皮弁の質の向上へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。実際の皮弁手術を模して、ラットの側胸部や背部に有茎(栄養する動静脈が連続した状態)の脂肪弁や皮弁を作成しその血管茎をクランプし、血管茎から酸素ナノバブル水を注入して一定の阻血時間経過後に再縫合する。非投与群と比べ術後の脂肪弁の萎縮率や汗腺機能温存に差があるかを検証する。有効性が認められた場合は、将来的にヒトでの術中使用への適応と合併症発生率低下を目標とする。
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研究実績の概要 |
遊離自家組織の動物実験モデルとして当研究室で開発したZucker肥満ラットの外側胸動静脈を血管茎とした側胸部脂肪弁手術、およびそれへの酸素ナノバブル水の投与による皮弁・脂肪弁の虚血耐容効果の評価研究を実行するため、具体的な実験動物計画書を作成し、学内機関の承認を得た。大型で高価なZucker肥満ラットでの研究を開始する前の準備段階として、長年ラットを用いた研究に従事している研究分担者らの指導の下、一般的なSDラットを用いてハンドリングや麻酔手技、手術手技の獲得を進めた。これは研究の目的である酸素ナノバブル水の皮弁・脂肪弁への再現性のある効果実証において、投与対象となる脂肪弁の質を均一に安定させるために欠かせない訓練である。研究実施計画において今年度の目標であった動物実験モデルの作成の前段階に相当し、来年度に確実に実験モデルを確立し実行していくために必要な過程であった。また、脂肪弁の評価に用いるマイクロCTの使用資格を取得し、来年度以降に実際にラットの脂肪弁の体積推移の評価をする準備を整えた。 脂肪弁に投与する酸素ナノバブル水に関して、同水を細胞培地として使用経験のある研究分担者の助言の下、高純度の純粋ベースのナノバブル水を得、今後実際に動物へ血管内投与するにあたり最適な組成について検討した。この考察の過程で、研究計画段階では酸素ナノバブル水の投与方法は静脈投与あるいは術前の経口投与を想定していたが、細胞培養液のように脂肪弁をナノバブル水に一定期間浸したり包んだりする(ヒトの手術では血管吻合操作の間など実際に皮弁を生理食塩水ガーゼに包んでしばらく静置する時間がある)というアイデアが生まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
仕事と家庭と研究の時間配分バランスが当初想定していた以上に難しく、研究のための時間の確保に苦慮した。また研究開始にあたり学内での申請や資金運用のためのシステムへの適応など、学内システムへの知識不足や事務的な調整が律速段階となり、スムーズに研究を進められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今回検討した酸素ナノバブル水の組成を元に、実際にZucker肥満ラットの脂肪弁への投与実験を開始する。SDラットで得たハンドリングや実験手技を活かし、またμCTを用いた脂肪弁の体積評価方法を確立させ、効率的にデータ収集を進めていく。静脈投与以外にも、術前一定期間の経口投与や脂肪弁をナノバブル水に漬けるなど、もっとも成果の良い投与方法も探索する。実験計画に沿って、その後は研究の第二段階であるSDラットの胸背動脈皮弁を用いた汗腺状況に関する実験に進んでいき、最終的に脂肪弁や皮弁を含む遊離組織移植術において移植組織の質向上および阻血耐容時間延長へ最も効率的な酸素ナノバブル水の活用方法を結論付けることを実験目標とする。
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