研究課題/領域番号 |
23K09097
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中井 國博 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 准教授 (80362705)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | MRI / 疼痛 / 下肢虚血 / 動物モデル / マクロファージ / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
重症下肢虚血の痛みは他の組織損傷に伴う痛みとは逆で炎症が存在していることで痛みを抑制することを動物実験で見出しており、この重症下肢虚血の痛みにおいて炎症が末梢と中枢でそれぞれどのように作用しているのかを明らかにする。炎症による脳内ネットワークの再形成はMRI拡散テンソルトラクトグラフィを用いて検証する。
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研究実績の概要 |
下肢虚血疼痛マウスモデルについて、ワイルドマウスと比較しつつCCR2ノックアウトマウスで安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルの開発を行った。片側の大腿部を皮膚切開し大腿動脈を確認して鼡径靭帯から膝まで剥離を行い中枢側及び末梢側を結紮し切離した。1週間後に腹部正中切開し同側腸骨動脈を確認して下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から鼡径靭帯まで剥離を行い中枢側及び末梢側を結紮し切離した。動脈の切離を下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から大腿動脈の膝まで連続して行うと虚血状態が強く下腿まで壊死することが分かった。安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルを作成するために、下肢虚血状態について足趾を含めた足末梢が虚血による皮膚障害が生じるものの壊死は下腿まで及ばないようにするように調整する必要があった。そこで動脈の処理について検討した結果、腸骨動脈を下行大動脈の左右腸骨動脈の分岐から鼡径靭帯より少し中枢で腹壁に分枝を出す直前まで、切離処理することで安定した結果が得られるようになった。 モデル動物のMRI拡散テンソルトラクトグラフィを評価するMRI撮像条件の設定に向けての撮像を行った。MRI拡散テンソルトラクトグラフィは、神経線維での水分子の拡散異方性の性質を利用して神経線維の走行を可視化する画像法である。MRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出を評価するための脳領域として、痛み情報が末梢から中枢へ伝達される中枢伝導路の主要領域とそれに連絡する領域を選択して条件検討を行った結果、モデル動物において神経線維の変化を確認した。その結果を踏まえ、脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画通り、下肢虚血疼痛マウスモデルについて、CCR2ノックアウトマウスにおいて安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルの開発を行うことができた。動脈の処理について、大腿動脈と腸骨動脈で分枝を含めた切離の範囲を決定しなければならないが、ワイルドマウスと違い、腸骨動脈は下行大動脈から左右腸骨動脈への分岐から鼡径靭帯より少し中枢で腹壁に分枝を出す直前まで、切離処理することで、下肢虚血状態について足趾を含めた足末梢が虚血による皮膚障害が生じるものの壊死は下腿まで及ばないようにするように調整することができた。それにより、安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示すモデルを作成することが可能となった。モデル動物のMRI拡散テンソルトラクトグラフィを評価するMRI撮像条件の設定に向けての撮像も当初の計画通りに行った。MRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出を評価するための脳領域として、痛み情報が末梢から中枢への伝達される中枢伝導路の主要領域とそれに連絡する領域を選択して条件検討をした結果、モデル動物において神経線維の増加を確認することができた。その結果を踏まえ、脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、ワイルドマウスと比較しつつCCR2ノックアウトマウスにおいて、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討をしているところである。
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今後の研究の推進方策 |
MRI画像による脳内のイメージング解析に関しては、引き続き脳での神経線維の定量的評価を行っていくために、モデル動物作成の最適化を図ったうえでMRI撮像方法・解析方法・評価方法の検討をしていく。痛み情報が末梢から中枢へ伝達される中枢伝導路の主要領域とそれに連絡する領域だけでなくその他の脳内の痛み関連領域においてもMRI拡散テンソルトラクトグラフィの神経線維の表出について評価を行っていく。痛みモデルでの定量解析による脳内のイメージング解析結果が明らかになった段階でその結果に合わせてモデルの脳RNA発現の解析の実験計画を開始する。下肢虚血疼痛動物モデルが安定した虚血状態を維持しつつ疼痛行動を持続的に示す時期(術後28日を想定)で全脳の組織を採取する。採取した脳組織でRNAの網羅的解析を行うが、まず組織よりTotal RNAを取り出しそのクオリティーを確認する。その上で組織分析の処理を行いRNAの変化が得られるかの評価を行う。また、炎症を促進する薬剤をモデルに投与して、それに伴う疼痛行動の変化を評価していく。
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