研究課題/領域番号 |
23K09119
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐野 朋美 九州大学, 歯学研究院, 助教 (50782075)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | マクロファージ / microRNA / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
CCR7は、炎症性マクロファージのマーカー分子であるが、マクロファージによる炎症制御にどのような影響を及ぼすか、またその遺伝子発現の制御機構などについては、未だ明確となっていない。 そこで本研究では、① 炎症性マクロファージで高発現するCCR7を抑制するmiRNAを特定し、② そのmiRNAに抗炎症効果があることを示し、③ miRNAを内包したカプセルによる歯周病や肥満・インスリン抵抗性改善という治療効果を検証することを目的とする。本研究成果は、歯周炎などの慢性炎症に対する抗炎症作用が期待できる新薬の開発に繋がり、新たな治療法の確立に貢献できる。
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研究実績の概要 |
まず、マウス由来M0マクロファージ細胞RAW264.7をM1マクロファージに分化させることで発現抑制するmiRNAを特定することを目的とした。着目するmiRNAの候補を決めるためのマイクロアレイデータは先行研究の結果を用いた。Ccr7遺伝子と結合部位を持つmiRNAは標的遺伝子予測サイトから抽出した。M1マクロファージにおけるCcr7と予測miRNAの発現量はリアルタイムPCR法で検討した。miRNAとCcr7の結合は予測結合部位を挿入したベクターをmiRNAとともに細胞へ共導入し、ルシフェラーゼアッセイによって確認した。miRNAによるM1マクロファージへの分化抑制効果は、RAW264.7をmiRNA導入後に分化誘導しM1マクロファージマーカーの発現で解析した。この解析にはリアルタイムPCRとウエスタンブロットを用いた。 M1マクロファージで有意に発現が抑制されるmiRNAの上位30個のうち、Ccr7の標的となり得るmiRNAとして、let-7c-5p、miR-15b-5p、miR-193a-3pを抽出し、miR-15b-5pに着目した。M1マクロファージに分化させたRAW264.7は、Ccr7とmiR-15b-5pの発現が、前者は有意に亢進し後者は低下した。また、miR-15b-5pはCcr7の915-920および934-939の3'UTRで結合し、RAW264.7へのmiR-15b-5p導入でCcr7発現は有意に抑制された。さらに、miR-15b-5pを導入したRAW264.7はM1マクロファージへの分化が抑制された。 miR-15b-5pはCcr7を標的とし、M1マクロファージへの分化を抑制する可能性を細胞レベルで証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は細胞実験を計画し、予定通りに進んだから。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、miRNAによる抗炎症効果の検討を実験動物を用いて行う。 まず、マウスの骨髄へ標識したmiR-15b-5pを導入し、炎症刺激を与えた際に、組織に浸潤する骨髄単球由来マクロファージの動態を検討する。 生体内でもM1マクロファージへの分化を抑制することができれば、miR-15b-5pは炎症を制御する新たな創薬の標的となり得る。
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