研究課題/領域番号 |
23K09131
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57010:常態系口腔科学関連
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研究機関 | 愛知学院大学 |
研究代表者 |
浜村 和紀 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (00422767)
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研究分担者 |
長尾 麻由 愛知学院大学, 歯学部, 助教 (00801101)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | グロボ系スフィンゴ糖脂質 / 骨芽細胞 / 増殖 / スフィンゴ糖脂質 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜の脂質二重層には、受容体の他に、スフィンゴ糖脂質などが存在することが知られていて、このスフィンゴ糖脂質が様々な細胞の受容体の活性/不活性を制御していることが示されている。最近、骨芽細胞にはスフィンゴ糖脂質が発現し、細胞増殖を制御していることが明らかになっているが、これらの糖脂質がどのような受容体と会合して、骨芽細胞の増殖シグナルを調節しているのかについては不明である。そこで、本研究において、そのメカニズムを解明し、将来、それを踏まえたスフィンゴ糖脂質を用いた創薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
最近、グロボ系スフィンゴ糖脂質であるGb4が骨芽細胞で発現し、Gb4を欠損したGb3合成酵素遺伝子ノックアウト(Gb3S KO)マウスでは、骨芽細胞数が減少し骨形成が低下することが明らかになってきた。しかし、骨芽細胞に発現するGb4が、その細胞の増殖に関与しているのかについては明らかになっていない。そこで、in vitroにおいてGb4が骨芽細胞の増殖に及ぼす影響を検討した。 野生型マウスとGb3S KOマウスより骨髄細胞を分離し、その細胞を骨芽細胞分化培地で培養し骨芽細胞に分化させた後、BrdUアッセイおよびWST-1アッセイを用いて細胞増殖能を検討した結果、Gb3S KOマウス由来の骨芽細胞では、野生型マウスと比較して、増殖能が低下していることが示された。また、マウス骨芽細胞株MC3T3-E1細胞にスフィンゴ糖脂質の生合成に必須であるグルコシルセラミド合成酵素の阻害剤D-PDMPを添加した結果、Gb4の発現は低下し、増殖能も有意に抑制された。さらに、D-PDMPを処理したMC3T3-E1細胞にGb4を添加すると、その発現の回復とともに増殖能も有意に促進した。一方、Gb4の前駆体Gb3を添加すると、その発現は回復したが、増殖能に変化は認められなかった。Gb4による骨芽細胞の増殖促進の分子メカニズムを明らかにするため、細胞増殖に関与することが知られている、ERK1/2のリン酸化への影響を検討した。その結果、Gb4を添加した骨芽細胞の方が、Gb4非添加の骨芽細胞と比較して、ERK1/2のリン酸化レベルの亢進が認められた。 以上の結果より、骨芽細胞において、Gb4がERK1/2のリン酸化を亢進することで、増殖を促進させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨芽細胞に発現するGb4が、その増殖を促進させることがin vitroの系で明らかになり、Gb3S KOマウスでみられる、骨芽細胞数の減少は骨芽細胞におけるGb4の発現消失によってもたらされたことを支持する結果となった。また、Gb4が、ERK1/2のリン酸化を亢進することで、増殖を促進させることが判明した。よって、おおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞に発現するGb4がERK1/2のリン酸化を亢進し、その増殖を促進させることが明らかになったので、今後は、Gb4がどのようなメカニズムで、ERK1/2をリン酸化するのかについて、明らかにしていきたいと考えている。そのためには、Gb4がどのような分子と会合をしているのかについて明らかにしたいと考えている。
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