研究課題/領域番号 |
23K09138
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浅野 智志 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (30570535)
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研究分担者 |
吾郷 由希夫 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (50403027)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | VIPR2 / Cell cycle / Cyclin D / GPCR / Cell proliferation / 転移 / 細胞遊走 / 細胞増殖 / 乳癌 / 神経ペプチド受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
癌転移抑制剤として十分な作用を有し、安全性の高い薬剤は見出されておらず、新たな転移抑制剤の開発が急務である。我々は最近、血管作動性腸管ペプチド(VIP)とその受容体VIPR2が、PI3K経路を介した癌細胞遊走に関与する新規の分子機構であることを発見した。VIPR2 mRNAは口腔扁平上皮癌、乳癌などで検出された。ごく最近、VIPR2が特定の膜貫通ドメイン(TM3-4)を介して多量体を形成することを明らかにし、これが、PI3Kの活性や癌細胞の遊走・増殖能と関連することを見出した。本研究では、 VIPR2多量体化の制御により癌の増悪化を抑制できる新規抗癌剤の開発に資する創薬基盤の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
我々は最近、血管作動性腸管ペプチド(vasoactive intestinal peptide: VIP)受容体2 (VIPR2)がcAMP/ERK経路を介して乳癌細胞増殖に関与することを明らかにしている(Asano et al., Peptides, 2023)。細胞はG1、S、G2、M期より構成される細胞周期を経て増殖する。今年度は、VIPR2二量体化の解析とともに、VIPR2が細胞周期のどの時期の進行に関与することで細胞増殖を制御しているのか検討した。VIPR2選択的アンタゴニストペプチドであるKS-133の処置は、乳癌細胞MCF-7におけるVIP誘導性の細胞増殖を抑制した。この時、S、G2、M期の細胞の割合が減少していた。VIPR2は、Gαs、Gαi、およびGαqタンパク質に結合し、それぞれERK経路、PI3K経路、PKC経路の活性化に関与している。KS-133の処置はVIPによって誘導されるERK、AKT(PI3Kの下流分子)、GSK3β(AKTの基質)のリン酸化を抑制し、G1期からS期への移行に必要なサイクリンD1レベルの増加を阻害した。さらに、KS-133はPI3K活性とcAMPレベルの増加も抑制した。ERK-specific kinase (MEK) 阻害剤 U0126およびクラスI PI3K阻害剤ZSTK474の処置は、S期の細胞の割合を減少させた。KS-133の処置は、U0126 または ZSTK474 単独の処置よりも S 期の細胞の割合を減少させ、その効果はU0126とZSTK474を併用した時と同程度であった。 これらの結果は、VIPR2シグナルがcAMP/ERKおよびPI3K/AKT/GSK3β経路を介したサイクリンD1レベルの調節によって、G1/S移行とその後の細胞増殖を制御していることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
VIPR2による細胞増殖や細胞遊走の調節メカニズムを明らかにするための研究を鋭意進めておりおおむね予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
VIPR2同士の結合は、その結合に必要な膜貫通ドメイン3と4を含む領域(TM3-4)を細胞に発現させることで阻害できることをプルダウンアッセイやFluorescence resonance energy transfer(FRET)によって明らかにしている。また、TM3-4を安定的に発現する乳癌細胞株を作製し、in vitroのVIPR2シグナル、細胞増殖や遊走の解析を終え、これからin vivoの実験に進む予定である。
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