研究課題/領域番号 |
23K09163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
根本 英二 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (40292221)
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研究分担者 |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | セメント細胞 / エクソソーム / 歯周組織再生 / セメント芽細胞 / 歯根膜細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病で失われた歯ぐきの骨は,現在行われている通常の歯周治療では再生することはできない。最近になって歯周組織の再生を誘導しうる、いくつかの治療薬が臨床で応用されているが,その効果を期待できる症例は非常に限られており,未だ多くの患者ニーズを満たすことはできていない。この研究は,ヒトの歯ぐきの細胞がもともと持っているエクソソームという微粒子を治療に応用することで,様々な症例に対して効率的に骨の再生を誘導できる新たな治療技術を開発することである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、高分化型細胞セメント細胞のエクソソームはセメント質形成に対して優位性をもつことを示し,メカノシグナルを加えることでその活性がより最適化されることを証明することである。 初年度においては、高分化型セメント細胞から抽出したエクソソームを起点とし、セメント質代謝に与える影響を解析した。まず、セメント細胞の培養系の確立においては、コラーゲンコートしたシリコンチャンバー内で不死化マウスセメント細胞株IDG-CM6を専用培地を培養した。リアルタイムPCR法で分化度を検証したところ、21日間培養することで高分化型のセメント細胞が誘導されることが確認できた。 次に、高分化型のセメント細胞の細胞培養上清からPureExo単離キットを用いた抽出物を透過電子顕微鏡解析を行ったところ、直径約50~200 nmのエクソソームが存在することを確認することができた。 さらに、同エクソソームを用いて、破骨細胞系の反応に対する影響を解析した。マウス破骨細胞前駆細胞株RAW264.7細胞を、リコンビナントreceptor activator of nuclear factor-κB ligand(rRANKL)刺激により破骨細胞へ分化させる実験系を用いて、エクソソームの影響を調べた。エクソソームは、rRANKLによって誘導される酒石酸耐性酸性ホスファターゼ活性陽性細胞の形成を増強した。また、リアルタイムPCR法およびWestern blot法による解析から、エクソソームは、rRANKL刺激による破骨細胞関連遺伝子およびタンパクの発現誘導に対しても増強することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セメント細胞の分化誘導条件の確立とその条件下において抽出したエクソソームの形態学的検証が初年度の研究期間内で完了した。 さらに、そのエクソソーム により破骨細胞系における分化および活性化が誘導されることが明らかとなったことから、その分子レベルでの解析を含め、セメント質形成系に関連するセメント質代謝に対する解析を次年度以降の継続課題とすることができる。 これらの反応系を基盤とすることで,次年度以降に予定しているセメント細胞がメカノシグナルを受けることによるエクソソーム機能改変への影響について、スムーズに解析を行うことができることから、現在までの研究の達成度は概ね順調と言える。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果,すなわち高分化型細胞セメント細胞より分泌されるエクソソームにはセメント質代謝の主軸の1つであるセメント質の吸収を誘導するという潜在機能に対して、今後はさらにセメント細胞がメカノシグナル刺激により、その分化誘導活性が調整される可能性について注力していく。さらに、セメント質代謝の主軸であるセメント質形成という観点から、同エクソソーム がセメント質代謝に与える影響についても、次年度以降の研究計画において同様の解析を進めていき、それらを確実に検証したのち、エクソソームに内包されている miRNAに焦点を絞って、網羅的miRNA解析につなげていく。
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