研究課題/領域番号 |
23K09168
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
土屋 志津 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60610053)
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研究分担者 |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 炎症シグナル / 骨芽細胞 / 慢性炎症 / 根尖性歯周炎 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Samd9lによる炎症時の骨芽細胞に対するアポトーシス誘導の分子基盤をSmad9l 遺伝子改変マウスを用いて解明すること、また、Smad9l遺伝子改変マウスによる実験的根尖性歯周炎や骨粗鬆症モデルを作製し、Samd9l欠損が骨組織の保護に促進的に機能するかを解明することを目的とする。炎症と骨形成の相互作用の鍵となる分子として新規同定したSamd9lの骨代謝における機能解析、特に、炎症暴露時の骨芽細胞保護機構における分子制御機構を詳細に解明し、臨床応用を模索することは、慢性歯周炎による広範囲骨欠損部の再生やインプラント治療前の骨造成などの治療法開発に向けた基盤的研究として期待できる。
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研究実績の概要 |
複雑な根管形態や根尖孔外バイオフィルム形成などに阻まれて難治化した根尖性歯周炎は、適切な感染除去を行ったとしても治癒に至らないことが多く、次のアプローチとして外科的歯内治療が行われる。しかしながら、外科的歯内治療による直接的な感染除去を行っても、慢性炎症が持続することで骨造成に至らず難治化する根尖性歯周炎も存在するため、炎症を抑制し骨組織再生を誘導する予知性の高い根尖性歯周炎治療法の開発が望まれている。 炎症シグナル依存性の骨形成抑制に関与する分子を探索する中で、エンドサイトーシスを制御するSamd9lが、炎症と骨形成の相互作用に関わる遺伝子であることを新規に発見した。そこで、Samd9lの炎症に対する分子制御機構を詳細に解明し、骨芽細胞内に発現するSamd9lをターゲットとした新たな根尖性歯周炎治療法の開発に向けた基盤的研究を展開する。 今年度は、初代培養骨芽細胞によるSamd9lの炎症反応に対する機能分析として、WTとSamd9l KOマウス頭蓋冠から初代培養骨芽細胞(POB)を樹立して機能分析を行った。WTとSamd9 KO POBに対して骨誘導タンパクであるBMPと炎症性サイトカインであるTNFαで刺激した際の細胞増殖能への影響を検討した。その結果、WT POBと比較してSamd9l KO POBでは、TNFα刺激による細胞増殖能抑制への影響が見られなかった。このことから、Samd9lは細胞増殖能に関わる重要な因子である可能性が示唆された。 次にWTとSmad9 KOマウスに対して敗血症モデル実験を行った。その結果、 WTマウスと比較して、Samd9l KOでは盲腸結紮穿刺誘導性敗血症モデルによる生存率が高かった。このことから、Samd9lは、TNFαによる細胞増殖能の抑制やアポトーシス誘導や敗血症などの炎症性疾患の進展や増悪化に重要な因子である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は計画していた実験については順調に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、Samd9lの炎症に対する分子制御機構を詳細に解明し、骨芽細胞内に発現するSamd9lをターゲットとした新たな根尖性歯周炎治療法の開発に向けた基盤的研究を展開する。Samd9lによる抗炎症効果の解析としてNF-kBの転写活性やp65の核移行の抑制効果への影響を見ていく予定である。
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