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コンポジットレジンの重合収縮応力を緩和する修復法の再構築

研究課題

研究課題/領域番号 23K09174
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57030:保存治療系歯学関連
研究機関日本大学

研究代表者

神谷 直孝  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (00256893)

研究分担者 寺中 文子  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (70782233)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード重合収縮応力 / コンポジットレジン / 構造発色 / 歯科用金属 / 剪断接着強さ / 酸素の重合阻害 / 分割積層充填 / フロアブルコンポジットレジン / 歯科充填用アクリル系レジン
研究開始時の研究の概要

う蝕(むしば)治療の材料として世界標準で使用されているコンポジットレジン(白い詰め物)は、硬化する(固まる)ときに収縮応力(歯を強くひずませる力)を発生する。収縮応力は知覚過敏など術後の不快症状を引き起こすため配慮する必要があるとされている。本研究は、高価で特殊な材料や器具を用いず、既存材料の適切な選択と手順や操作法の工夫をトータルで行うことによって収縮応力を緩和させ、予知性の高い(良好な結果が持続する)治療法を明確にすることを目的とする。

研究実績の概要

「構造発色するコンポジットレジンの収縮応力」構造発色により優れた色調適合性を有するオムニクロマ(トクヤマ,OM)と,色素で発色するエステライトΣクイック(トクヤマ,ES)の重合収縮応力(以下PSS)を比較した.PSSは光照射開始から24時間継続して測定し,光照射開始から60秒経過まで10秒毎,5,10,30,60分経過時,および24時間内のPSS最大値の平均値を算出した.OMとESともにPSSは光照射開始から数秒経過後に発生し, 照射中は急峻に,照射後は緩徐に上昇し,24時間以内にすべての試料で最大値を示した.統計処理の結果,光照射開始10秒後以外はOMとESのPSSに有意差は認めなかった.硬化のごく初期のPSSに有意差が認められたのは完全硬化前の粘性流動が異なるためと考えられた.構造発色するコンポジットレジンが重合硬化時に発生するPSSの経時的変化やその大きさは,従来のコンポジットレジンとほぼ同等の挙動を示すことがわかった.
「歯科用金属とコンポジットレジンの接着に及ぼす酸素の影響」補修修復における金属への接着は,ボンドが浸透しないため酸素の重合阻害が強く働くと考えられる.そこでG-プレミオボンド(GC),金銀パラジウム合金(モリタ),およびクリアフィルマジェスティESフロー(クラレノリタケ)を使用し,接着処理時の酸素の有無が接着強さに与える影響を検討した.レジン充填はボンディングモールドインサート(ウルトラデンドジャパン)を固定して行った.ガス置換は純アルゴンガス(G3:純度99.999%)を使用した.統計処理の結果,接着処理時の酸素の有無によって接着強さに差がないことがわかった.理由として,剪断接着強さ試片のレジンは高さが2~2.5㎜であり,レジンに対する光照射で未重合のボンド表面も確実に硬化するため,酸素の重合阻害による接着強さの低下が認められなかったと考えられた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本課題開始前にボンディング層の厚さが収縮応力に及ぼす影響を検討したところ,研究代表者が従前から使用している2ステップ接着システム使用時は測定可能な収縮応力が,1ステップ接着システム使用時は測定できないことを確認した.収縮応力測定に用いる金属モールドは歯質と異なりボンドが浸透しないため,特にボンド層が薄い1ステップ接着システムでは酸素による重合阻害の影響で接着力が低下し収縮応力が測定できなかったと考えた.そこで,2023年度の研究計画通りに1ステップ接着システムと2ステップ接着システムによる12%金銀パラジウム合金とコンポジットレジンの剪断接着強さの比較に関する研究を実施した.1ステップ,2ステップとも,大気中で接着処理したものと,アルゴンガスで酸素をパージした状態で接着処理したものを比較して,接着処理時の酸素の有無の影響を確認したところ,どちらも接着処理時の酸素の有無によって接着強さに差がないことがわかった.剪断接着強さ試験片をSEM観察したところ,破断面には界面破壊が多くみられた.結果として,1ステップ接着システム使用時に収縮応力が正確に測定できなかったのは,2ステップ接着システムと比べて金属に対する接着力が低いためと考えられた.以上に関して2024年度日本歯科保存学会春季大会にて報告する予定である.さらに,2024年度研究計画の一つである「単体で収縮応力の小さいコンポジットレジン系材料を明らかにする」に関連し,様々な市販コンポジットレジンの収縮応力を測定しデータを蓄積する作業の一環として,構造発色するコンポジットレジンと従来の色素で発色するコンポジットレジンの収縮応力を測定し比較・検討することができた.以上に関して2023年度日本歯科保存学会春季大会にて報告を行った.また,2024年度中に関係学会誌に原著論文として投稿予定である.

今後の研究の推進方策

2024年度:(研究代表者)予備研究で薄層ボンディング材使用時の収縮応力測定が不可能だったことから,収縮応力測定をアルゴンガス雰囲気下で行うように収縮応力測定装置を改良する予定であったが,2023年度の研究で歯科用金属とコンポジットレジンの剪断接着強さは酸素の有無により有意差は認めない結果となったため,装置に恒久的な改良を加える前に試験的にアルゴンガス雰囲気下で収縮応力を測定し,酸素の有無が影響を及ぼすか確認する.酸素の影響が認められなければ装置を改良せず使用する.コンポジットレジンを市販歯科材料から選択し,一括充填の条件で収縮応力を測定し,製品単体で収縮応力の小さいコンポジットレジン系材料を選定する。
2025年度:(研究代表者)種々の積層充填法の収縮応力を測定し,応力緩和効果のある術式の検討と総括を行う.光照射方法に関して,2024年度で選定した単体で収縮応力が小さいコンポジットレジンを使用し,一括充填で光強度,照射距離および時間を変更し,応力緩和効果のある照射法を検討する。研究代表者らは過去に①水平積層充填と斜状積層充填の応力緩和効果,②コンポジットレジンと比較し有意に低いアクリルレジン系修復材の収縮応力に関して報告していることから,分割積層充填に関して1層目にアクリルレジン系充填材を使用する異種積層充填の収縮応力緩和効果を検討する.アクリルレジン系充充填材とコンポジットレジンを併用するため,異種材料間の接着試験を実施し2層目充填のタイミングについて検討する。さらに,収縮応力測定と近似したC-factorで形成した牛歯窩洞に異種積層充填を行い,サーマルサイクリング負荷による接着耐久試験を行い臨床応用の可能性を探る.
(研究分担者)アクリルレジン系充填材を使用した異種材料の複合的な積層充填の被着面や窩洞断面の光顕観察およびSEM観察を行う.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 歯科用金属とコンポジットレジンの接着に及ぼす酸素の影響 ―ワンステップボンディング材に関する検討―2024

    • 著者名/発表者名
      神谷直孝, 小嶋康世, 石川豊, 寺中文子, 庫川幸利, 内山敏一, 小峯千明
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2023年度春季学術大会(第160回)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 構造発色するコンポジットレジンの重合収縮応力2023

    • 著者名/発表者名
      神谷直孝, 内山敏一, 藤田(中島)光, 庫川幸利, 成田興治, 平山聡司
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2023年度春季学術大会(第158回)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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