研究課題/領域番号 |
23K09180
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
須藤 毅顕 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 特任講師 (10821168)
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研究分担者 |
木下 淳博 東京医科歯科大学, 統合教育機構, 教授 (10242207)
池田 正臣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (20549927)
小林 宏明 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50396967)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 3Dプリンター / NCCL / 摩耗 / CAD |
研究開始時の研究の概要 |
非う蝕性歯頸部歯質欠損(Noncarious Cervical Lesion: 以下NCCL)は、外傷性咬合がもたらすアブフラクションや摩耗、酸蝕など多くの原因が考えられているが詳細なメカニズムは分かっていない。本研究はCADおよび3Dプリンターの技術を応用した抜去歯によるNCCL再現モデルを開発する。アブフラクションを想定したモデルでは、異なる骨レベルや荷重角度の条件下でNCCLの形成の有無を評価する。さらにブラッシングによる摩耗を想定したモデルでは、歯ブラシの硬さや形状など様々な条件下で生じるNCCLの形成量を立体的に計測することで、NCCLの発生機序の解明を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は3Dプリンターを活用したNCCL実験モデルを開発し、摩耗の詳細な影響およびアブフラクションの存在の有無を解明することである。これまで、家庭用3Dプリンターを用いてモデルのプロトタイプの制作に成功している。また歯ブラシの硬い、フラット、研磨剤ありの歯磨剤を用いて摩耗試験をしたところ、6時間計測した時点でNCCL様の体積変化を確認し、既報と類似の形態を再現出来ている。しかし日常臨床では見られないU字でもV字でもない不規則な形態変化も認め、鋭いV字が再現出来ていないため、摩耗によりV字形態は形成されない可能性が示唆された。柔らかい歯ブラシまたは水のみ(歯磨剤なし)では他のいずれの条件でもNCCL様の形態変化は認めなかった。家庭用3Dプリンターでは精度、耐久性の問題から、長期間使用でレジンの変形を認め、モデルの印刷をし直す必要があった。より耐久性の向上を図るため、Foam3B+を高精度の3Dプリンターを購入し、試験的に印刷し、これまでの家庭用プリンターとの耐久性を比較した。レジンを節約しようと中空構造のモデルを作成すると未重合レジンが生じて変形につながることが分かり、さらに2次硬化機による最終硬化で変形が生じないモデルを作成できるようになった。またArtec Professionalのシミュレーションにより、実験前後で歯の3Dモデルを重ね合わせることが出来た。しかしながら、重なり部位を除いたNCCL部位の体積量を測定するブーリング処理(meshmixerを使用)では、微細な重なりを反映出来ずエラーが生じた。この点については、印象精度の影響もしくは重ね合わせの影響が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
磨耗試験を行うためのモデルの作成は完了したが、実験結果を定量的に評価するためには、3Dデータの重ね合わせの技術が必要不可欠である。しかしながら現時点で使用しているソフトでの重ね合わせの方法では、計測部位以外の領域が完全一致しないため定量的評価の規格化が出来ていない。そのため、摩耗試験の前に、重ね合わせて定量的評価を行うための方法を考案するがあり、計画の変更を余儀なくされた。現在複数のCADソフトとpythonスクリプトを組み合わせることにより、補正方法の検討を行なっている。
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今後の研究の推進方策 |
まず、重ね合わせ手法の精度検証を行い、摩耗試験の評価方法のパイプラインを構築する。汎用CADソフト、歯科用CADソフトの重ね合わせツールに関してはパラメーターごとの精度比較を行う。また多くのソフトの重ね合わせのアルゴリズムにはICP(Iterative Closest Point)やランドマークベースのアラインメントが用いられているが、細かいアルゴリズムは不明である。そこでPythonのOpenCVなどのライブラリを用いて各アルゴリズムの比較検討を行う。完全な重ね合わせが不可能であることを想定して、対象部位のみを抽出出来る補正方法を確立する。また摩耗試験機についても、現在モーターでの単純な直線運動しか達成できていないが、歯磨剤と水の安定供給のために、Raspberry PiやAuduinoなどのマイクロコントローラによるプログラミング制御を加える。さらに歯ブラシや歯の固定についても、プロトタイプは箱型のモデルにシリコン印象材で圧接して固定していたが、再現性に乏しいため、これらも3Dスキャン後鋳型のモデルをソフトレジンにて固定する手法により、さらなる再現性と精度を向上させた摩耗試験機を開発する。
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