研究課題/領域番号 |
23K09186
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
相澤 怜 昭和大学, 歯学部, 助教 (80710673)
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研究分担者 |
田中 準一 昭和大学, 歯学部, 准教授 (40710166)
美島 健二 昭和大学, 歯学部, 教授 (50275343)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 接合上皮 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病は口腔内の歯周病原細菌に対する宿主の反応により歯周組織の破壊を伴う感染症である。歯肉接合上皮は細菌の侵入に対して生体の最前線に位置し、防御の役割を果たしている。Rhoファミリータンパク質Cdc42は個体レベルでの骨・軟骨形成において重要な役割を果たしていることが明らかになっているが、Cdc42が接合上皮において果たしている機能は不明な点が多い。本研究の目的は、マウス由来の接合上皮細胞を用いて、Cdc42が接合上皮における創傷治癒、歯周病制御に果たす役割を明らかにすることである。本研究は、Cdc42を介した歯周病の予防もしくは治療法の開発にも応用可能な発展性のある研究であると考えられる。
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研究実績の概要 |
歯周病は口腔内の歯周病原細菌に対する宿主の反応により歯周組織の破壊を伴う感染症である。歯周炎においては歯肉接合上皮の付着機構が破壊され、その病態には深い歯周ポケットと歯槽骨の吸収が伴う。歯肉接合上皮は細菌の侵入に対して最前線に位置し、防御の役割を果たしている。これまでの研究から、Rhoファミリータンパク質Cdc42が個体レベルでの骨・軟骨形成において重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。一方、Cdc42が接合上皮において果たしている機能は不明な点が多い。また、接合上皮は良好なマーカーが確立されておらず、単離、細胞株の作製が困難であったことから、特にin vitroにおける有用な接合上皮の研究材料が存在しなかったが、我々はマウスにおける人工再構成歯胚技術を用いて、接合上皮細胞の単離、不死化細胞であるJE-1を作製した。本研究の目的は、JE-1を用いて、Cdc42が接合上皮における創傷治癒、歯周病制御に果たす役割を明らかにすることである。 In vitroでの実験において、JE-1に対して歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalis由来LPS刺激のプロトコールを確立した。炎症状態のJE-1におけるCdc42の機能を確認するため、P. gingivalis由来LPSで刺激したJE-1を用いて、Cdc42の発現を検討した。その結果、低濃度のLPS刺激にてCdc42の発現低下が認められた。 Cdc42は細胞骨格再構成や細胞増殖などの細胞の様々な高次機能を制御することが報告されており、LPSによってCdc42の発現が低下することで、歯周病に対する接合上皮の防御機能が低下する可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の短期目標はJE-1におけるCdc42の発現を確認するためのプロトコールを確立することであった。令和5年度は、In vitroでの実験において、JE-1に対するLPS刺激のプロトコールが確立でき、Cdc42の発現を確認することができた。 そのため、研究の進捗状況は概ね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
LPS刺激による炎症状態において、JE-1のCdc42発現低下が確認でき、接合上皮においてCdc42が歯周病の防御に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。そこで、JE-1にCdc42のsiRNAを導入し、細胞骨格形成、増殖、細胞死にCdc42が果たす機能について、RNA-seqによる遺伝子発現様式の比較検討を行う。また、RNA-seqから発現の変化が示唆される遺伝子に関しては、real-time PCR法により、詳細な解析を行う。
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