研究課題/領域番号 |
23K09188
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
北村 和夫 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (00224965)
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研究分担者 |
長谷川 達也 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10907918)
小柳 圭史 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10908289)
三枝 慶祐 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20907894)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 5-ALA蛍光ライブイメージング / 根尖性歯周炎 / 光線力学的診断法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を根管内に局所投与することで根尖性歯周炎の予後に関わる汚染された領域をリアルタイムで識別可視化する新たな診断技術を構築することを目的とする。「光線力学的診断により識別可視化された汚染領域がAPの病態を直接的に増悪させる。」という仮説を検証する。本研究により、歯内療法における局所感染制御の新たな診断基準が確立されることで、APに起因する歯牙喪失リスクを下げることが期待される。加えて、APのみならず、感染を主体とするその他の口腔内関連疾患においても、病態をモニターするための診断手法になりうることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究は、5-アミノレブリン酸(5-aminolevulinic acid: 5-ALA)を根管内に局所投与することで根尖性歯周炎の予後に関わる汚染領域をリアルタイムで識別可視化する新たな診断技術を構築することを目的とする。根尖性歯周炎(Apical periodontitis: AP)は、細菌感染が生じた根管と宿主免疫の相互作用によって引き起こされる急性または慢性の炎症性疾患である。兼ねてより、根管内細菌を主体とする感染源の残存によりAPの病態が増悪や再燃してしまうことが示されてきた。しかしながら、どの程度の感染源の残存がAPの病態に影響を及ぼすのかという観点での臨床学的指標や識別可視化領域は未だ明らかになっていない。そこで、「5-ALA蛍光ライブイメージングにより識別可視化された汚染領域がAPの病態を直接的に増悪させる。」という仮説に関して検証を行うこととした。この目的を達成するために、①病変サンプルおよび根管内細菌を用いた5-ALA代謝活性とPpⅨ集積評価、②APラット治療モデルを用いたPpⅨ集積領域とAP病態との関連性の評価を実施することで、PpⅨ集積領域で識別可視化された汚染領域と病態の因果関係を特定する。続いて、③ヒト根管内への5-ALA投与によるPpⅨ集積領域の同定と標識汚染領域の除去による有効性を評価するための特定臨床研究を行うことで歯内療法における5-ALA蛍光ライブイメージングによる光線力学的診断法の確立を目指す。本研究により、歯内療法における局所感染制御の新たな診断基準が確立されることで、APに起因する歯牙喪失リスクを大幅に下げることが期待される。加えて、APのみならず、感染を主体とするその他の口腔内関連疾患においても、病態をモニターするための診断手法になりうることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、病変サンプルを用いた5-ALA代謝活性に関して、Invitro検証を行うことで、5-ALAの発現に関わる因子に関して蛍光モジュール内蔵手術用顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡を使用して確認を行った。ホルマリン固定された歯牙組織より作製された未染色の状態のパラフィン包埋された切片を蛍光モジュール内蔵手術用顕微鏡で観察したところ、根管表面に放射状に広がる赤色蛍光が全周にわたって確認された。共焦点レーザー顕微鏡の観察結果から、手術用顕微鏡で観察された赤色自家蛍光の領域がより明瞭に確認され、そしてそれは象牙細管の構造に沿って広がっていることが示された。同一試料を使用したグラム染色の結果から、根管表面から象牙細管内に侵入するグラム陽性菌の存在が確認された。赤色蛍光を発する領域をより高精細に確認するために実施したバンドパスフィルターを介した共焦点レーザー顕微鏡によるサンプルの自家蛍光の観察の結果、グラム染色の結果に一致するように蛍光発現領域が確認された。本研究結果の一部は、AMED Annual 2023(Phoenix AZ)およびThe 25th Joint-Scientific Meeting 2023 (Seoul, Korea)にて口頭発表を行った。現在、これまでの中間検証結果を取りまとめて、論文投稿に向けてデータ解析を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、病変サンプルを使用したInvitro検証による実験結果が得られた状況であるため、根管内細菌を用いた5-ALA代謝活性とPpⅨ集積評価を実施する。具体的には根管内より採取した細菌カクテルを嫌気培養し、蛍光モジュール内蔵手術用顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡にて観察を行う予定である。加えて、5-ALAを負荷投与することで、未投与のコントロール群との差を定性および定量(蛍光強度)比較を行う予定である。これらに加えてIn vitroでの現象がIn vivoでも確認されるかを検証するためAPラット治療モデルを用いたPpⅨ集積領域とAP病態との関連性の評価を行う予定である。具体的には、髄室開拡直後・根管形成直後の髄腔および根管の状態を蛍光モジュール内蔵手術用顕微鏡で観察する。加えて、摘出した顎骨切片をホルマリン固定し、未染色の状態のパラフィン包埋された切片を蛍光モジュール内蔵手術用顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡で観察を行いPpⅨ集積領域で識別可視化された汚染領域と病態の因果関係を特定する予定である。
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