研究課題/領域番号 |
23K09200
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57030:保存治療系歯学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河口 浩之 広島大学, 病院(歯), 教授 (10224750)
|
研究分担者 |
西 裕美 広島大学, 病院(歯), 助教 (70403558)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | H.pylori / 口腔細菌叢 / 胃癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、口腔粘膜上皮細胞におけるH.pylori 構成成分を認識する受容体を同定し、さらに、口腔粘膜上皮細胞におけるH.pylori 誘導性遺伝子に対する炎症性サイトカインの影響を検討する。これによって、口腔粘膜におけるH.pylori の影響が明らかとなり、H.pylori の口腔内への影響を検証することができる。さらに、H.pylori 感染胃癌患者の口腔、胃粘膜組織の細菌叢を分析し、H.pylori 感染患者の口腔、胃粘膜で増加する細菌、あるいは欠如する細菌を同定する。
|
研究実績の概要 |
研究代表者らは、歯周病原因菌が様々な全身性疾患に与える影響の可能性について過去に報告し、口腔管理のための細菌学的エビデンスを創出することを目的とした。そこで今回の研究では、H.pyloriに感染している患者が非感染者に比べて5菌種の歯周病原菌血清抗体価の陽性率が高いことを確認した。 微好気性菌であるH.pyloriは、歯周疾患が進行した歯周ポケット内に生息している可能性が考えられる。 H.pylori は胃粘膜だけでなく歯垢、唾液からも検出されることから、H. pylori LPS (グラム陰性菌外膜構成成分であるリポポリサッカライド)を口腔粘膜上皮細胞に添加した際に、大腸菌 LPS とは異なった炎症関連遺伝子を誘導することを発見した。これらの結果からH. pylori のLPSは通常のグラム陰性菌LPS とは異なった免疫応答を歯肉、口腔粘膜に誘導することで、口腔内環境を変化させている可能性がある。H.pylori が口腔細菌叢の変化や歯周組織への感染悪化に影響している可能性、あるいは歯周病菌などの口腔細菌がH.pylori を伴う消化管の悪性病変や炎症性病変の増悪に関与している可能性があるため、口腔粘膜上皮細胞におけるH.pylori 構成成分を認識する受容体を同定し、さらに、口腔粘膜上皮細胞におけるH.pylori 誘導性遺伝子に対する炎症性サイトカインの影響を検討していく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胃癌の治療を開始する前に、周術期の口腔機能管理により感染性合併症を予防する目的で、歯科診療を行っている。これらの胃がん治療を行う患者に対して、歯科診察の際に、だ液・舌苔・歯垢を順調に採取してきた。また検査後の残余血を回収し、手術時の胃切除標本から胃粘膜の採取を胃がん治療チームと共同して採取してきた。採取した試料のうち、H. pylori 血清抗体価と、唾液中のH. pylori 有無をPCR 法によって検出し、H. pylori 感染患者、非感染患者を確認するという本年度の予定は順調に行ってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
胃癌治療開始前と1年後内視鏡検査時に回収した口腔試料および術中切除標本の胃組織からDNAを抽出する。口腔と胃粘膜の細菌叢を16SrRNA領域の遺伝子を標的として次世代シークエンスにより解析する。 口腔と胃粘膜においてH.pylori 感染群と非感染群で異なる細菌候補を抽出し、細菌特異的PCRプライマーを作製後、残りのサンプルでReal-time PCRを行い、ロジステック解析を行う。最終的にH.pylori 感染と非感染患者によって口腔、胃粘膜で増加する細菌、あるいは欠如する細菌を同定する。また、胃癌摘出後の細菌叢との変化も比較し、胃がん発症とH.pylori菌、および歯周病菌をはじめとする口腔内細菌との関連を解析する予定ある。
|