研究課題/領域番号 |
23K09221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
平野 友基 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (10755044)
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研究分担者 |
佐々木 穂高 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (50433959)
浅見 洋佑 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70875749)
北村 啓 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90792367)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | インプラント / ジルコニア / 超親水性 / 糖尿病 / ジルコニアインプラント / オッセオインテグレーション |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病には食事療法の一環として咬合機能を回復させることが重要である。インプラント治療はその一つの方法として有効である。しかし、糖尿病患者は感染しやすく手術後の傷の治りが悪いことがあるため、インプラント治療にはリスクが伴う。一方、ジルコニアインプラントは感染しにくいとの報告があり、糖尿病患者への応用が期待される。しかし、糖尿病患者におけるジルコニアインプラントと骨との結合についてはまだ報告がない。本研究では、糖尿病モデルラットを使用して傷の治癒に有効なジルコニアインプラントの有効性を評価することを目的とした。
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研究実績の概要 |
糖尿病における食事療法の観点から咬合機能の回復は重要であり、インプラント治療は有効と考えられる。しかし、糖尿病患者はその「易感染性」「創傷治癒の遅延」からインプラントのリスク因子となっており、糖尿病患者が増加傾向にある我が国において、その対応策を講じる必要がある。近年、メタルフリーの観点から注目されているジルコニアインプラントは、チタンインプラントと比較してプラークの付着量が少ないとの報告から糖尿病患者への有用性が期待されている。一方で「創傷治癒の遅延」による骨結合低下に対して、ジルコニアインプラントの影響は報告が少ない。本研究では、「創傷治癒の遅延」と「易感染性」を伴う糖尿病に対してジルコニアインプラントの有用性を明らかにするために、糖尿病モデルラットを用いて超親水性処理を施したジルコニアインプラントの有効性を評価することを目的とした。 本年度の研究では、インプラント体の表面に低温大気圧プラズマを照射し、親水性を付与することにより、糖尿病状態においてもインプラント周囲の軟組織が形成する生物学的封鎖の過程をin vitroで探究した。本研究では、糖尿病モデルラットと健常ラットの口腔線維芽細胞細胞を使用し、インプラント体への低温大気圧プラズマ照射が生物学的封鎖にどのように影響を与えるかを評価した。結果は、低温大気圧プラズマ照射が健常群および糖尿病群の両方において口腔線維芽細胞の接着を促進したことが確認された。低温大気圧プラズマ照射が生物学的封鎖の効果を向上させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、4週齢雄性SD系ラットを用い、Streptozotocinの腹腔内投与による糖尿病群(DM)と健常群(H)に対して低温大気圧プラズマ(PL)照射と非照射(non)の2条件を加え、計4群間(H-non, H-PL, DM-non, DM-PL)で比較検討を行った。in vitro実験では、各群のラット口蓋粘膜由来の線維芽細胞をチタン製ディスク上に培養し、細胞初期接着数、細胞形態、定量的RT-PCR法(qPCR)にて細胞接着関連遺伝子の発現の評価を行った。結果は、播種後3時間の細胞初期接着数は、DM群はH群と比較して少ない傾向にあり、H-PL群、DM-PL群はいずれも対象の非照射群より有意に多かった(p<0.05)。細胞形態は播種後24時間で、H群はDM群と比較して仮足形成をした細胞が多くみられた。また、DM-non群と比較してDM-PL群では仮足形成が促されていた。qPCR法では、細胞接着因子に関連する7遺伝子のうち、Itga2、Itga5が各条件のPL群で増加する傾向がみられ、H-PL群では有意な増加がみられた(p<0.05)。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、in vivo実験を用いて、糖尿病状態でのインプラント周囲の上皮および骨形成能を以下の内容に基づいてさらに評価を進める。実験群は2型糖尿病ラットの上顎第一臼歯部を対象とし、対照群は健常ラットの上顎第一臼歯部とする。使用するインプラント体は右側に低温プラズマ処理されたジルコニアインプラント、左側には同様に処理されたチタンインプラントを使用する。時間経過はインプラント埋入後3日、7日、14日、28日とする。評価項目は以下の通りとする。1)放射線学的評価:動物実験用マイクロCTを用いた評価。2)組織形態学的評価:研磨標本を用いた骨インプラント接触率(BIC)の評価、薄切標本による免疫組織化学的評価。3)新生骨の形成量の評価:カルセイン・テトラサイクリンの2重ラベリング法による評価。 4)骨結合力の評価:押し込み試験による測定。
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