研究課題/領域番号 |
23K09223
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
谷本 安浩 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (40312045)
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研究分担者 |
根岸 慎一 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (60579118)
北川 剛至 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20419766)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | アンカースクリュー / 矯正用材料 / 動的特性 / 数値解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、歯科矯正用アンカースクリューの動的負荷下におけるメカニクスを明らかにするため、様々な埋入条件のアンカースクリューを研究対象とし、共振周波数分析装置などを用いた動的実験および有限要素法を用いた動的解析を実施する。これらの動的な実験および解析の両面から歯科矯正用アンカースクリューの動的挙動を解明し、アンカースクリューの脱落率の減少と安定性の向上を目的とした歯科矯正システムの適正化を図る。
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研究実績の概要 |
近年、歯科矯正用アンカースクリューが幅広く用いられている。しかし、アンカースクリューの顎骨への保持はネジの機械的維持力に大きく依存するため、治療期間中に脱落するリスクがある。これまでに、歯科矯正用アンカースクリューの静的な実験や数値解析などによる検討が行われているが、アンカースクリューの緩みを考慮する上で重要となる、動的負荷下におけるアンカースクリューの挙動や安定性についてはあまり明らかではない。そこで本研究では、歯科矯正用アンカースクリューの様々な埋入条件に関して、共振周波数分析装置などを用いた動的実験および有限要素法を用いた動的解析を実施し、歯科矯正用アンカースクリューの動的負荷下におけるメカニクスを明らかにすることが目的である。ひいては、これらの動的な実験および解析の両面から歯科矯正用アンカースクリューの動的挙動を解明することで、アンカースクリューの脱落率の減少および安定性の向上を目的とした歯科矯正システムの適正化を図る。 令和5年度においては、歯科矯正用アンカースクリューを皮質骨と海綿骨から構成される模擬骨に埋入した実験モデルの試作を行った。本実験モデルを基盤として、三次元CADソフトを使用して実験モデルと同じ条件の数値モデルの作成を行い、汎用有限要素解析(FEA)ソフトにインポートすることでFEAモデルを構築した。FEAモデルにおけるアンカースクリュー上部に動的荷重(時間変化荷重)を与えて、その応答としてアンカースクリュー/皮質骨の挙動(変位など)を算出することで時刻歴応答解析を実施した。その結果、従来の静的解析では明らかにすることができなかった、アンカースクリュー/骨界面における微小変位などの動的挙動について確認することができ、アンカースクリュー/歯槽骨モデルを用いた解析ワークフローを確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、動的負荷を受ける歯科矯正用アンカースクリューの機械的試験およびFEAによる数値シミュレーションを実施し、歯科矯正用アンカースクリューの動的挙動の解明と矯正治療システムの適正化を図る。そのためにはまず、歯科矯正用アンカースクリュー/歯槽骨に関する実験モデルの作製および数値モデルの構築が必要となる。そこで令和5年度において、歯科矯正用アンカースクリュー/歯槽骨の実験モデルを試作した。具体的には、電動式骨手術用器械を用いてチタン合金製セルフドリル型アンカースクリューを皮質骨(短繊維強化エポキシ樹脂)と海綿骨(ポリウレタン樹脂)から構成される模擬骨に埋入することで実験モデルとした。また、三次元CADソフトを使用して実験モデルと同じ条件の数値モデルを作成し、FEAソルバーにインポートしてFEAモデルを構築した。本FEAモデルを用いて時刻歴応答解析を実施した結果、歯科矯正用アンカースクリューの緩みに相当するアンカースクリューの微小変位などの動的挙動を適切に評価できることが明らかとなった。 以上のように、初年度の目標であった歯科矯正用アンカースクリュー/歯槽骨モデルの構築および解析ワークフローの確立を達成しており、本研究は順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、歯科矯正用アンカースクリュー/歯槽骨の実験モデルの作製および数値モデルの構築を行い、アンカースクリューの動的挙動を明らかにするための解析ワークフローを確立した。今後は、アンカースクリューの埋入条件がその安定性に及ぼす影響を検討するため、異なる長さおよび径のアンカースクリューを対象とし、皮質骨に対するアンカースクリューの埋入時のトルク量や埋入角度を変化させた場合について、アンカースクリュー/歯槽骨に関する実験モデルの作製および数値モデルの構築を行う。さらに本モデルを用いて、異なる条件における歯科矯正用アンカースクリューの動的挙動について実験および解析の両面から明らかにしていく予定である。
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