• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

抗菌分子とランタノイドの錯体形成を利用した新規抗菌性ジルコニアフィラーの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K09235
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
研究機関鹿児島大学

研究代表者

糸田川 美鴻  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (90967712)

研究分担者 河野 博史  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (20507165)
菊地 聖史  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (50250791)
西谷 佳浩  鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (60325123)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
キーワード高透光性ジルコニア / 持続的抗菌性 / Y2O3 / 結晶構造 / ランタノイド錯体
研究開始時の研究の概要

歯科用ジルコニアは、優れた生体親和性を持ち、機械的性質や審美性についての改良が重ねられてきたが、それ以外の性質については改良の余地がある。そこで、安定化元素としてランタノイドが添加されていることに着目した。①ランタノイドイオンとピリジニウム化合物が錯体を形成すること、②歯科用ジルコニアはランタノイドを含有すること、③ピリジニウム化合物は抗菌分子として口腔ケア用品に添加されていることから、歯科用ジルコニア表面でのピリジニウム化合物錯体の担持能を評価し、これを基に開発した持続的に抗菌性を示す新しいジルコニアをコンポジットレジン(CR)のフィラーに応用することを目的とする。

研究実績の概要

本研究の目的は、歯科用ジルコニア表面でのピリジニウム化合物錯体の担持能を評価し、これを基に開発した持続的に抗菌性を示す新しいジルコニアをコンポジットレジンのフィラーに応用することである。
歯科用ジルコニアは、優れた生体親和性を持ち、機械的性質や審美性についての改良が重ねられてきたが、それ以外の性質については改良の余地がある。例えば、抗菌性が付与できれば、口腔衛生状態の改善が期待できる。そこで、ジルコニアの安定化元素としてランタノイドが必ず添加されていることに着目した。
ランタノイドイオンとピリジニウム化合物が錯体を形成すること、ピリジニウム化合物は抗菌分子として歯磨剤等の口腔ケア用品に添加されていることから、本研究は、歯科用ジルコニア表面でのピリジニウム化合物錯体の担持能を評価し、これを基に開発した持続的に抗菌性を示す新しいジルコニアをコンポジットレジン(CR)のフィラーに応用することを目的とする。
抗菌成分として市販の口腔ケア用品に広く用いられている塩化セチルピリジニウム(CPC)と塩化ベンザルコニウム(BKC)について、ジルコニア表面への吸着性を調べた。
XRDの結果からZrO2は単斜晶、Y-TZPは正方晶であることが確認された。また、BETとCHN元素分析の結果から、ZrO2にCが有意に吸着することやY-TZPはY含有量に比例してC吸着量が増えること、単斜晶ジルコニアは正方晶ジルコニアに比べ単位面積当り数倍の抗菌分子吸着能を持つことなどが分かった。また、ジルコニア表面のゼータ電位は負に帯電していることがわかった。
以上の結果から、ジルコニアの結晶構造の違いやY含有量が抗菌分子の吸着に影響を与えることが示唆された。歯科用ジルコニアは一般に正方晶を安定化するための元素が添加されていることから、今後は抗菌分子の吸着に対する安定化元素の影響も検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画書において当該年度に予定していた、高透光性ジルコニアを用いたCPC、BKC担持能の検討を実施できたため。
具体的には、まず市販ジルコニア粉末を焼成し、純粋な結晶相の粉末を調製した。焼成条件は単斜晶ジルコニアが600℃で10時間、正方晶ジルコニアが1100℃で5時間とした。また、抗菌分子として0.5%のCPC、BKC含有PBS溶液をそれぞれ調製し、焼成後の粉末試料を各溶液に浸漬した。コントロールには純粋なPBSを使用し、懸濁液を振蕩後、洗浄し乾燥させ、CPC、BKCが吸着した試料を作製した。
焼成後の粉末試料の特性評価については、XRDにて結晶学的構造を、FE-SEMにて試料の微細構造の形態観察をおこなった。また、試料の比表面積はBET法により測定した。粉末試料のPBS中の表面電位をゼータ電位測定によって評価した。
抗菌分子吸着後の試料については、CHN元素分析を行い、試料に吸着した抗菌分子をC含有量として測定した。

今後の研究の推進方策

① CPC、BKC担持高透光性ジルコニアの抗菌性能評価
抗菌分子担持能の実験で使用した市販ジルコニア粉末を、歯磨剤などで使用している抗菌剤の濃度を考慮し、0.5wt%に調製したCPC、BKC溶液に浸漬する。その後う蝕原因菌であるStreptococcus mutans、ISO規定のS.aureus、E.coliを塗布した寒天培地上に散布し、37℃で一定時間培養後、コロニーカウントを行い、抗菌性を評価する。さらに、市販の液体歯磨剤などを使用した抗菌性獲得能についても評価し、臨床での有用性を検証する。
② 試作ジルコニア中の安定化元素毎のCPC、BKC担持能の検討
得られた知見を基に、安定化元素毎の担持能をより詳細に検討するため、ゾル-ゲル法を用いたジルコニアセラミックの調製を行う。硝酸ジルコニウム粉末と有望と目するランタノイド硝酸塩溶液を混合後してジルコニア粉末を調整する。その後、①で確立した手法にて抗菌性を評価する。市販ジルコニア含有のYやCeに加えて、La(ランタン)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)について含有量を変えてCPC、BKC担持能を調べる。特に、価数、溶液中での錯体形成能、イオン化エネルギーなどの原子核物理学に係る係数との関係性について詳細に評価する。
③ 担持能を最適化した試作ジルコニアの性質の評価
抗菌性獲得能を持ったジルコニアの調製と、これに寄与する安定化元素の同定を行う。②で検討した条件から、適当と思われる条件の組成物をディスク状に加工し、成型体の機械的性質、光学的性質について評価する。CPC、BKC溶液浸漬後の抗菌性を評価し、安定化元素毎の抗菌性獲得能の有用性を検証する。さらに余裕があれば、有望な安定化元素添加ジルコニア元素粉末をフィラーとしたCRのディスク体を調製し、その機械的特性を評価するとともに、CPC、BKCに浸漬後のディスクの抗菌性を評価する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 結晶系の異なる市販ジルコニア表面への抗菌分子吸着能と抗菌性の評価2024

    • 著者名/発表者名
      糸田川美鴻,河野博史,東中尾忠洋,杉浦悠紀,大塚裕太,菊地聖史,西谷佳浩
    • 学会等名
      第82回日本歯科理工学会学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 結晶系の異なる市販ジルコニア表面への抗菌分子吸着:熱分析による吸着形態の評価2024

    • 著者名/発表者名
      糸田川美鴻,河野博史,東中尾忠洋,杉浦悠紀,大塚裕太,菊地聖史,西谷佳浩
    • 学会等名
      日本歯科保存学会2024年度春季学術大会第160回
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 結晶系の異なる市販ジルコニア表面への抗菌分子吸着能2023

    • 著者名/発表者名
      糸田川美鴻,河野博史,東中尾忠洋,杉浦悠紀,大塚裕太,菊地聖史,西谷佳浩
    • 学会等名
      第81回日本歯科理工学会学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 市販歯科用ジルコニアの抗菌分子吸着に対するゼータ電位の影響2023

    • 著者名/発表者名
      糸田川美鴻,河野博史,東中尾忠洋,杉浦悠紀,大塚裕太,菊地聖史,西谷佳浩
    • 学会等名
      令和5(2023)年度歯科理工学会九州地方会セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Adsorption capacity of antibacterial molecules on dental zirconia surfaces with different crystal structures2023

    • 著者名/発表者名
      Itotagawa M, Kono H, Higashinakao T, Sugiura Y, Otsuka Y, Kikuchi M, Nishitani Y
    • 学会等名
      ASIAN BIOCERAMIC (ABC) 2023 INFORMATION MEETING
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi