研究課題/領域番号 |
23K09253
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
後藤 崇晴 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (00581381)
|
研究分担者 |
市川 哲雄 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90193432)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 前頭前野 / 口腔機能訓練 / 認知機能 / ヒト脳機能 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、口腔機能訓練の成果に応じて、脳内報酬系が働き前頭前野が賦活化する訓練法を考案する。本研究では、咀嚼に関連する脳内報酬関連刺激タスクと口腔機能訓練を関連付け、認知機能、前頭前野の活動性、口腔機能を評価対象として、その効果を検討する。これによりヒト脳機能評価に基づき、認知機能と口腔機能双方の維持・向上が図れる口腔機能訓練の効果を世界で初めて明らかにすることを目指している。
|
研究実績の概要 |
“口腔機能向上プログラム”が介護予防の中に位置づけられていることにより、口腔機能を維持・向上させるための様々な口腔機能訓練法が報告されている。しかし、過去の方法では訓練の目標設定が明確ではなく、認知機能と口腔機能訓練とを関連付けていないという問題点がある。本研究は、脳機能として認知機能や摂食行動の「報酬系」に関与する前頭前野の活動に着目し、咀嚼に関連する脳内報酬関連刺激タスクを元とした新規口腔機能訓練法が、認知機能と前頭前野の活動性および口腔機能に与える影響を検討することである。 2023年度はまず、測定システムの構築および評価項目の設定を行うこととし、口腔周囲への感覚刺激の種類の違いが前頭前野の活動に与える影響を検討した。被験者は、健常有歯顎者12名とした。口腔周囲への感覚刺激として、味覚(酸味・甘味)、触覚(歯のタッピング)、発音(パ音)を設定し、比較対象として安静時、手の感覚(グーパー体操)、嗅覚(ラベンダー)、聴覚(雨音)、視覚(映像)、を設定した。被験者には各感覚刺激を30秒間与えた後、認知課題(単語の復唱、引き算、 数字の逆唱)を行わせた。測定間には15秒の安静時間を設定し、刺激を与える順番はランダムとした。ウェアラブル光トポグラフィーを用いて、右側背外側前頭前野に相当するチャンネルにおける感覚刺激時および認知課題遂行時の脳血流量を測定した。各開始時点を基準として、測定時間内に変化した脳血流量の最大値までの変化量を算出した。 感覚の種類の違いについて、感覚刺激時の前頭前野の脳血流量は、味覚(酸味・甘味)・嗅覚刺激時が聴覚・視覚刺激時と比較して有意に大きい値を示した。一方、認知課題遂行時における脳血流量は、いずれの刺激間においても有意な差は認められなかった。以上の結果より、認知機能に対する感覚、とくに口腔周囲への味覚、嗅覚といった感覚刺激の重要性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、健常若年者を対象に測定システムの構築および評価項目の設定を行った。しかし、口腔周囲の感覚刺激と前頭前野の活動、認知機能との関連は検討できたが、昨年までの新型コロナウイルス感染症の影響もあったため、実際の口腔機能測定、ターゲットとする脳部位の網羅的検討までは進んでおらず、十分な被験者の確保に時間を要しており、やや遅れていると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度では2023年度の結果をもとに、健常若年者の被験者数をさらに追加し、より効果的な外部情報提示方法の探索とターゲットとする脳部位の同定および測定プロトコールの決定を目指す。視覚・聴覚・嗅覚・味覚それぞれの提示時間および刺激の組み合わせにより、認知機能および前頭前野の活動と発揮される口腔機能がどう変化するかについて検討する。訓練時における認知機能、前頭前野の活動と訓練後の口腔機能との関係を回帰曲線により検討し、最適な訓練時間・外部情報提示方法を探索する。これらの結果を元に最終的な測定プロトコールの決定を予定している。
|