研究課題/領域番号 |
23K09257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
古屋 純一 昭和大学, 歯学部, 教授 (10419715)
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研究分担者 |
鈴木 啓之 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (80801539)
中島 幸子 (畑中幸子) 昭和大学, 歯学部, 助教 (80964874)
向井 友子 昭和大学, 歯学部, 助教 (90964099)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 義歯 / 咀嚼 / 嚥下 / 高齢者 / デジタル / 要介護高齢者 / 舌機能 / 訪問診療 |
研究開始時の研究の概要 |
今後、有床義歯による治療は訪問診療が中心となり、咀嚼嚥下の中心を担う舌機能が低下した要介護高齢者が対象となる。そのため義歯は、舌機能を支援できる固有の代償的形態も検討すべきだが、実際には画一的な標準的形態の付与が多い。その一因には、義歯の代償的形態の最終目標が不明確で、また、適応や効果判定のための簡便な咀嚼嚥下評価法がないという問題がある。そこで本研究では、口腔・頸部の外部観察による咀嚼嚥下評価を、デジタル技術を用いた運動解析と形態解析によって確立する。その上で、デジタル技術を用いた三次元的形態評価によって、舌機能が低下した要介護高齢者に有用な代償的形態の義歯について検証を行う。
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研究実績の概要 |
今後,有床義歯による補綴は訪問診療が中心となり,咀嚼嚥下の中心を担う舌機能が低下した高齢者が対象となる.そのため義歯は,舌機能を支援できる固有の代償的形態も検討すべきだが,実際には画一的な標準的形態の付与が多い.その一因には,固有の代償的形態の適応や効果判定のための簡便な咀嚼嚥下評価法がないという問題がある.そこで本研究では,口腔・頸部の外部観察による咀嚼嚥下評価を,デジタル技術を用いた運動解析と形態解析によって確立することを目的としている.超高齢社会では,本研究で症例報告として発表したように,ミールラウンドなど要介護高齢者に対する食支援の現場においても簡便に用いることができ,また,可及的に自然な状態で一連の摂食運動の流れの中で咀嚼機能評価が求められている.現存する咀嚼機能評価法のうち,外部観察による下顎運動評価は,これらの条件を満たしている.咀嚼時の下顎運動の評価には,咀嚼サイクルや咀嚼時の下顎運動経路を記録でき定量的・定性的な評価を行う方法があるが,専用の機材を必要とし,計測装置を頭部に装着する必要があるため,食支援が必要な要介護高齢者を対象とした場合には現実的ではない.そこで2023年度では,特別な装置を使用せず,汎用性のある小型携帯端末のカメラを用いた簡便な方法で,咀嚼時の下顎運動評価を行えるか試みた.その結果,専用機器で評価した下顎運動経路と,小型携帯端末で動画記録した下顎運動経路は,抽出したすべてのサイクルで,定性的におおむね同じ形態を示した.また,定量的な評価においても,両者で算出した垂直的距離および水平的距離の誤差は許容できる程度の傾向であった.下顎運動動画撮影時の角度等の問題は残っているが,特に装置の装着が困難な要介護高齢者に対しては,小型携帯端末のカメラ機能を用いた下顎運動評価が有効である可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
小型携帯端末を用いた嚥下に先立つ咀嚼機能評価は,デジタル機器を用いた解析によって,専用の下顎運動測定機器を用いた評価と同等の評価が,極めて簡便に行えることが明らかとなっており,今後,研究参加者を増やすことで,新しい手法の信頼性や妥当性を証明できる可能性が高い.しかし,内視鏡による食塊形成・嚥下機能評価との関連については,現有の内視鏡が故障したことで,修理に時間を要したこともあり,やや進捗が遅れているため,やや進行が遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
すでに十分な結果が得られる数の研究参加者はリクルートできているため,当初の研究計画どおり,まずは小型携帯端末による咀嚼機能評価を行い,信頼性と妥当性の検証を行う.小型携帯端末による咀嚼機能評価が確立できた場合,専用の下顎運動測定機器が不要となるため,内視鏡による食塊形成・嚥下機能評価との同時計測が可能となる.内視鏡の修理もすでに終えているため,外部観察による摂食嚥下機能評価と内視鏡による食塊形成・嚥下機能評価との関連を検討する手法を再検討し,デジタル解析によって調査することで,研究を遂行する.
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