研究課題/領域番号 |
23K09293
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
北見 恩美 新潟大学, 医歯学系, 特任助教 (00834772)
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研究分担者 |
加来 賢 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (30547542)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 歯根膜 / Wntシグナル / 自家歯牙移植 / アンキローシス |
研究開始時の研究の概要 |
歯の自家移植は歯の部分欠損歯列に対する補綴治療手段の1つであり,自己の歯根膜を利用できることが最大の利点である.しかし現状では一定の割合で経過不良が生じ,その原因の多くは移植歯と歯槽骨が直接結合するアンキローシスとその後の置換性吸収による歯の脱落である.アンキローシスの発症機序は不明であるが,Wntシグナルにより歯根膜細胞の石灰化系細胞への分化が促進し,歯根膜の恒常性が破綻することで生じると考えられる.そこで本研究は,Wntシグナルによる歯根膜恒常性維持メカニズムを解明し,Wntシグナルの制御によりアンキローシスを抑制することにより,予知性の高い歯の自家移植術の確立を目指すものである.
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研究実績の概要 |
歯の自家移植は,ブリッジ,可撤性部分床義歯,インプラントとならび,部分欠損歯列に対する有効な補綴治療手段の一つである.自家移植の最大の利点は,自己の歯根膜を利用できることであるが,一定の割合で経過不良が生じ,その原因の40%が骨性癒着 (アンキローシス)であるとされる.アンキローシスではセメント質と歯槽骨が直接癒着することで歯根の置換性吸収が生じ,最終的に移植歯は脱落する.現状では必ずしも成功率が高いとは言えない歯の自家移植を,予知性の高い治療法として確立するには,移植歯におけるアンキローシス発症機序の解明とその抑制法の開発が不可欠である.そこで本研究計画は,欠損補綴の臨床術式として有効な“歯の自家移植”に際して生じるアンキローシスの制御を目指し,その発症に関わると考えられるWntシグナルが歯根膜の恒常性維持に及ぼす影響の解明を目指す.初年度はマウス臼歯をもちいて歯の抜歯と即時再植ならびに腎被膜下における移植を実施して組織学的解析を行った.また歯の再植後の組織再生過程におけるWntシグナルの亢進をβ-cateninの免疫染色により確認した.また網羅的遺伝子発現解析についても実施し,現在解析を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歯の再植後の組織再生過程におけるWntシグナルの亢進をβ-cateninの免疫染色により確認した.また網羅的遺伝子発現解析についても実施し,現在解析を進めている.したがって研究は概ね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は取得済みのデータを用いて網羅的遺伝子発現解析を行う.解析には“特定の細胞種において特異的に発現する遺伝子群は互いに高い相関を示す”原則に基づき,加重共発現解析 (WGCNA: Weighted gene co-expression network analysis)により,多様な細胞が混在する条件下においても細胞のクラスタリングが可能なアルゴリズムを用いる (Langfelder et al. BMC Bioinformatics. 2008).これにより歯根膜修復過程において変化するシグナル伝達経路を歯根膜に存在する細胞種別に解析する.タンパク結合のデータベース(STRING)を用いて,Wntシグナルを中心としたシグナルネットワーク解析を行う.同定されたシグナルについては免疫化学染色にて組織中での発現動態の解析を行う.
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