研究課題/領域番号 |
23K09303
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
唐帆 純子 (中島純子) 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (20534853)
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研究分担者 |
片山 正輝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00286494)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 食欲 / サルコペニア / グレリン / 口腔機能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、内因性成長ホルモン分泌促進ペプチドであるグレリンの摂食促進作用、抗筋萎縮作用に注目し、未だ検討されてない血中グレリン濃度と食欲、サルコペニア、口腔周囲筋の筋力・機能の定量的な関係、グレリン分泌促進を要する病態を明らかにすることを目的としている。 高齢者、要介護者、入院患者は、必ずしもリハビリや栄養摂取励行によりフレイル/サルコペニア予防が行えるとは限らない。本研究結果から、グレリンの分泌増加作用がある薬剤の適用によるフレイルサイクルを断ち切る方法の提案、フレイル予防策の裾野の拡大が期待される
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研究実績の概要 |
超高齢社会の本邦では健康寿命の延伸が重要な課題であり、生活機能障害を招くフレイルやサルコペニアが注目をされて久しい。サルコペニアは筋肉量の減少、筋力低下、身体の機能低下で定義され、サルコペニア→基礎代謝量の低下→エネルギー消費量の低下→食欲の低下→低栄養→サルコペニア→とループし、フレイルサイクルと呼ばれる負の連鎖により要介護状態に近づくことが知られている。そのため、機能的な健康状態の維持、健康寿命の延伸においては、フレイルサイクルの形成因子に対する多面的なアプローチが必要である。 我々は予備的研究として、非経口摂取の継続が全身的なサルコペニアの進行、口腔周囲筋の筋力、オーラルディアドコキネシスへ及ぼす影響について解析を行った。その結果 2週間以上の非経口摂取継続群は、経口摂取群よりも握力、口唇閉鎖力およびオーラルディアドコキネシスが有意に低下し、二次性サルコペニアの予兆がみられた。また、客観的に摂食嚥下機能に問題は無い患者の経口摂取へ移行できない要因に、「食欲不振」があることも分かった。このように、必要な栄養量を提供しても「食欲」の問題で、実際には必要エネルギーを摂取できない高齢者が多いことが明らかになった。つまり、高齢者は食欲という壁に阻まれてフレイルサイクルの一因子である低栄養に陥ることがあり、今まで未着手であった食欲に対する介入が求められている。内因性のペプチドであるグレリンは成長ホルモン分泌促進因子として発見されたが、グレリンの作用は多面的であり,摂食促進、筋肉量増加などの報告がある。本研究ではヒト血清グレリン濃度と食欲、サルコペニア、および口腔周囲筋の筋力・口腔機能との定量的な関係の解明を計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
サンプルの計測にあたり、サンプルの送付方法や採取方法の解析業者との調整に時間を要した。そのため、倫理審査委員会の申請・許可が大幅にずれ込んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
我々の施設の摂食嚥下支援チームまたはNSTに介入依頼があった、摂食嚥下機能評価および訓練または栄養管理を要する者を対象とし、食欲に関する調査(患者の主観に基づくアンケート調査:SNAQ、CNAQ-J)、安静時基礎代謝量を用いた必要エネルギー充足率の評価、血漿タンパクによる栄養評価、 血清グレリン濃度の評価および口腔周囲筋の筋力、口腔機能の測定、全身のサルコペニアの評価を行い、各々の関連を検討する。 血清グレリン濃度と食欲、サルコペニアの関連性が解析により示されたた場合、血清グレリン濃度の分泌増進効果があるとされている六君子湯の投与による食欲およびサルコペニアの改善を検討をしたいと思っている。課題としては、前半の解析を終了後に倫理審査を再度申請する必要があるため、介入研究が時間的またはデータ数が見込まれない等の理由により開始できない可能性がある。そのため、グレリン濃度と嚥下機能なども絡めて考察するなど、臨機応変に対応をする予定である。
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