研究課題/領域番号 |
23K09318
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 明海大学 |
研究代表者 |
森 一将 明海大学, 歯学部, 准教授 (80372902)
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研究分担者 |
廣井 美紀 明海大学, 歯学部, 准教授 (30419717)
松本 安吏 明海大学, 歯学部, 助教 (80965129)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | OPMDs / MDSC / Ccl3(Mip-1α) / Ccl4(Mip-β) / Cxcl3(Gro-α) / Cxcl5(ENA-78) / LY-6G(Gr-1+cells) / 口腔癌 / 口腔潜在的悪性疾患(OPMDs) / 骨髄由来抑制細胞 ( MDSC) / CCL2 / Sunitinib |
研究開始時の研究の概要 |
口腔扁平上皮癌は、白板症などの口腔潜在的悪性疾患OPMDsを経て癌化へ進行する。このOPMDsから癌化への過程にはエピゲノム変異だけでなく、宿主の免疫監視機構からの回避も関与している。申請者らの先行研究においてOPMDs組織では抗腫瘍免疫だけでなく免疫抑制的な環境も共存していることを明らかにし、この両者のバランスの変調が癌化への移行に関わっているのではないかと考えた。本研究課題では、OPMDsから癌病変への過程における免疫抑制環境の誘導に骨髄由来抑制細胞 (myeloid-derived suppressor cell: MDSC)が中心的な役割を演じているのではないかという仮説を検証する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、マウス舌癌モデルを作成し「口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)から口腔癌に至るdysplasia carcinoma sequenceの経路において、どの段階でMDSCの浸潤が高まるのか発癌物質を用いたマウス舌癌モデルを用いて上皮異形成から癌病変への過程におけるMDSHのうちLY-6Gとケモカインの関連について検討した。 6-12週齢のC57BL/6マウスを用い、飲料水中に4NQOを添加、また対照群には溶媒を16週間連続経口投与しその後通常飲料水に変えさらに12週飼育し病理組織学的に、16週間後の舌にhyperplasia、mild dysplasia、28週間後にmild dysplasia、moderate dysplasia、squamous cell carcinoma (SCC)の病変形成しモデルを作成した。マウス舌組織から total RNAを調製しサイトカイン,ケモカイン遺伝子Ccl3(Mip-1α), Ccl4(Mip-β),Cxcl3(Gro-α)およびCxcl5(ENA-78)の動態をリアルタイムRT-PCRにより検討した.またパラフィン包埋切片を用いて,LY-6G(Gr-1+cells)の発現について免疫組織学的に検討した。結果、①発癌物質4NQOによるマウス前癌病変では、抗腫瘍作用を有するTh1,CTLの浸潤と免疫抑制作用を有するTregが同時に浸潤していることが明らかとなった.このことは、 Th1,CTLから産生されるIFNγならびにTregから産生されるIL-10が同時に腫瘍微少環境に作用し,腫瘍関連MΦの分化誘導に関わっていることを示唆している。②Gr-1+ cellsの発現は16週マウスに比較し28週マウスは有意な増加が見られた(p=0.003)また対照群に比較し有意な増加を認めた(p<0.0001)。③ケモカイン遺伝子Ccl3(Mip-1α)mRNA、Ccl4(Mip-1β)mRNAの発現は16週マウスに比較し28週マウスは有意に増加が認められた。④Gr-1+ cellsの発現とCcl3mRNA、Ccl4mRNA、Cxcl3 mRNAおよびCxcl5 mRNAの発現は相関関係にあった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学発癌物質によるマウス舌白板症、扁平上皮癌モデルを作製し、MDSCの浸潤抑制に有効な阻害剤として報告されているSunitinib、およびMDSCの浸潤を誘導するケモカインCCL2に対する抗体を投与しその効果検討を診るための準備を行っている。モデルマウスの作成実験はおおむね順調であるが、MDSCの浸潤抑制に有効なSunitinibおよびCCL2のマウスへの最適かつ効果的な薬剤の投与量、投与間隔などの検討が必要で早急に決定し実験を継続してゆく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、OPMDs が形成された後、MDSCの腫瘍局所への浸潤抑制を行うことにより腫瘍増殖、癌病変への進行を抑制できるのか検討する予定。さらに臨床的見地をから、ヒト白板症、口腔扁平上皮癌症例におけるMDSCの発現と浸潤リンパ球、臨床的背景との関連性について検討する。 C57BL/6マウスを用いて化学発癌物質4NQOの経口投与により作成した白板症、口腔扁平上皮癌症OPMDs病変形成されたモデルマウスのMDSCの浸潤抑制を行い、その後の癌病変への進行を抑制できるか検討する。MDSCの浸潤抑制に有効な阻害剤として報告されているSunitinib、およびMDSCの浸潤を誘導するケモカインCCL2に対する抗体を4NQO 投与によりOPMDs病変形成後、経日的に腫瘍の大きさを計測する。 16週後に組織検体(舌、 頸部リンパ節)を摘出し、同様に病理組織、免疫組織学的検討、ならびに遺伝子発現解析を行う。本解析によりOPMDs病変形成時にMDSCの浸潤抑制を行うことで抗腫瘍免疫環境を回復できるか検討する。
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