研究課題/領域番号 |
23K09356
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
河野 憲司 大分大学, 医学部, 教授 (50214664)
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研究分担者 |
阿部 史佳 大分大学, 医学部, 助教 (00718421)
河野 辰行 大分大学, 医学部, 講師 (20548143)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 口腔扁平上皮癌 / 3次元癌微小環境モデル / 低酸素環境 / 癌悪性形質 / メタボローム解析 / multicellular aggregate / 上皮間葉転換 / 口腔癌 / hypoxia-inducible factor |
研究開始時の研究の概要 |
癌の増大に伴い癌組織内に低酸素境域が生じる。低酸素環境にさらされた癌細胞は生存するために低酸素誘導性因子(hypoxia-inducible factor; HIF)を発現する。HIFは転写因子として働き、癌細胞の増殖をサポートするのみでなく、浸潤転移能の亢進や抗癌剤抵抗性の獲得など癌細胞の悪性形質を亢進する。本研究では、低酸素環境による口腔扁平上皮癌の悪性形質亢進の機序を、3次元癌微小環境モデルを用い、癌細胞の細胞内代謝の変化、癌細胞と間葉系細胞と相互作用の面から解明することを目的としている。低酸素環境での口腔扁平上皮癌の動態を制御する治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
口腔扁平上皮癌細胞を通常培養とpoly(HEMA)をコートした培養プレートを用いた浮遊培養の2つの培養法で、低酸素濃度による細胞内代謝と悪性形質の変化を検索している。すべての培養は2%FBS添加DMEM/F12 mediumで行った。用いた細胞株は歯肉原発扁平上皮癌細胞株MOK201である。癌細胞は通常培養法では単層細胞monolayer cellとして、浮遊培養法では多数の細胞集塊multicellular aggregate(MCA)を形成して増殖した。MCAは培養48時間後までは次第に増大しながらコンパクトになったが、その後はMCAの増大は観察されず、死滅する細胞が増えた。この2つの培養法をそれぞれ、常酸素濃度(20.9%)と低酸素濃度(0.1%)で培養し、72時間後にメタボローム解析を行った。通常培養は、直径6㎝の培養プレートで約50%confluentの状態にMOK201が増殖したものを2つ準備し、一方を常酸素濃度、他のひとつを低酸素濃度で培養した。低酸素培養はBIONIX(スギヤマゲン株)を用いた。培養72時間後に0.9%NaCl溶液で細胞を洗浄した後、培養プレートにメタノールを加え、scraperで細胞を回収した。メタボローム解析は、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC/MS)により469個のタンパクを検索した。この結果、通常培養では低酸素濃度においてコハク酸の減少、クエン酸の蓄積が認められた。この所見は、低酸素濃度による飢餓状態のためにMOK201のクエン酸回路が停滞したものと考えられた。他のタンパクについても低酸素の影響を検討中である。さらにMCAについても低酸素による細胞内代謝の変化についてデータを解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は口腔扁平上皮癌細胞の通常培養によるmonolayer cell、浮遊培養によるMCAについて低酸素濃度およびグルコース欠乏下での代謝変化をメタボローム解析による明らかにする予定であった。現在、常酸素濃度と低酸素濃度での比較検討は実施したが、グルコース欠乏による影響についてまだ結果が得られていない。現在、実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通りに、低酸素濃度およびグルコース欠乏下での口腔扁平上皮癌の代謝変化の検索を進める。さらに3次元癌微小環境モデルにより、これらの栄養飢餓状態が口腔扁平上皮癌の上皮間葉転換の惹起するか否かを、形態的観察ならびに分子レベルで調べ、メタボローム解析を行う。
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