研究課題/領域番号 |
23K09374
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
別府 真広 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00363648)
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研究分担者 |
杉浦 剛 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (40322292)
比地岡 浩志 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (70305150)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ナノポア計測 / 口腔扁平上皮癌 / 早期診断マーカー / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
miRNAの検出には,マイクロアレイ法や定量的逆転写PCR 法が主に用いられてきたが、マイクロアレイ法は低濃度のmiRNA に対しては感度が低く、miRNA の精製を追加する必要があり、プローブを標的miRNAの種類分用意しなくてはならない。定量的逆転写PCR法も、逆転写反応やPCRに関する操作が煩雑であり検出に数時間程度かかる。そこで今回我々は、ナノポアと呼ばれるチャネル膜タンパク質が有するナノスケールの孔を用いたセンシング技術を中心に,DNAコンピューティング技術とナノポアセンシングを組み合わせたmiRNA迅速計測技術を用いて、バイオマーカーとしてのmiRNAの計測を行うことを試みる。
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研究実績の概要 |
miRNAの検出には,マイクロアレイ法や定量的逆転写PCR法が主に用いられてきたが、前者は低濃度のmiRNA に対しては感度が低く、miRNA を精製する必要があり、標的miRNAの種類分のプローブが必要である。定量的逆転写PCR法も、逆転写反応やPCRに関する操作が煩雑であり検出に数時間程度かかる。今回我々は、ナノポアと呼ばれるチャネル膜タンパク質が有するナノスケールの孔を用いたセンシング技術を中心に,DNAコンピューティング技術とナノポアセンシングを組み合わせたmiRNA迅速計測技術を用いて、バイオマーカーとしてのmiRNAの計測を行うことを試みた。OSCCの組織や細胞株では、いくつかのタイプのmiRNAの変化が報告され、一部のmiRNAプロファイルは、転移と関連している。癌関連miRNAは癌遺伝子機能を持つ癌促進型miRNAおよび癌抑制遺伝子機能を持つ癌抑制型miRNAである2つに分類され、それらの機能解析には,癌組織と正常組織での発現を比較し、前述の2つの型のmiRNAの候補の絞り込みが第一段階となる。そこで、本研究では、OSCCにおいて発現上昇・低下を示す2種類のmiRNAを標的とし、それらを同時に認識しナノポア計測で検出するためのアプロ―チとしてDNAコンピューティングにおける配列設計を参考に診断用DNAプローブを設計した。それらのプローブは標的miRNAと結合し、miRNA量に対し2本差構造をとることがわかった。その後、発現上昇・低下を含む4種の発現様式に応じ3種類の出力分子の存在比の変動を発見した。それらの出力分子は各々ナノポア計測で特異的な電流阻害シグナルを表すことより、その解析結果から4種類のmiRNA発現パターンの識別に成功した。さらに口腔がん患者および健常者の血清検体に含まれるmiRNAも同様に発現パターンが検出できることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初中心となって活動していた担当者の体調不良や、先行研究におけるデータと、ナノポア計測による結果が完全には一致せず、データ整理に時間を要しているため。 また当方における患者サンプル収集やサンプル調整にもマンパワー不足により、当初の予測より時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
今回の結果によりがん患者と健常者の血清中におけるmiRNAの発現上昇と低下の同時パターン認識に成功した。今後はさらに高い診断制度に寄与するmiRNAやその組み合わせを研究することで、ナノポア計測による迅速かつ高感度の診断マーカー、ひいては癌発症後の予後予測にも応用できると考える。ただ、現時点ではナノポア計測にかかる技術やデバイスを含めた計測システムが特殊であり、汎用性に欠けるため、今後は市販のMinION等のデバイスを用いてチェアサイドやベッドサイドでの検査に応用することができれば早期診断につながると考える。
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