研究課題/領域番号 |
23K09382
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
田中 彰 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60267268)
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研究分担者 |
佐久間 要 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (70733319)
高橋 悠 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (90779802)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 口腔癌 / 抗PD-1抗体薬 / 抗PD-L1抗体薬 / 局所投与 / 少量局所投与 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、抗PD-1抗体薬ならびに抗PD-L1抗体薬を、薬物徐放性を有するアテロコラーゲンビーズに包埋して癌周囲に局所投与を行い、その抗腫瘍効果を検証し、新たな治療法を開発するものである。腫瘍周囲に抗体薬を直接腫瘍周囲にデリバリーし、薬理効果を一定期間発現可能な方法が開発されれば、口腔癌においては、低用量かつ低侵襲で有害事象の少ない極めて有効な治療法となり、患者の身体的負担が軽減し、医療経済的にも多大な効果が期待できる。本研究では、口腔扁平上皮癌担癌マウスモデルに、アテロコラーゲンビーズに包埋した抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬を低用量局所投与して、その抗腫瘍効果の検討を行う。
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研究実績の概要 |
遠隔転移を伴わない口腔癌の腫瘍周囲に、抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬を局所投与することにより、十分な抗腫瘍効果が得られれば、抗体薬の総投与量が軽減できることから、免疫チェックポイント阻害薬の重大な有害事象であるirAEを回避できる画期的なものになる可能性があり、高齢者の口腔癌が増加傾向を示すなかで、高齢者にも優しい低侵襲の治療法としての期待ができるとの着想から、本研究を遂行している。具体的には、薬物の局所投与方法として、薬物徐放性を有するアテロコラーゲンビーズに包埋した抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬を、腫瘍周囲に直接局所投与する方法を採用し、徐放性、そして全身投与と比較した抗腫瘍効果の有効性について、マウス由来口腔癌細胞株担癌マウスモデルへの投与を行い、その腫瘍縮小率(腫瘍体積)で比較検討する。加えて、さらに生存率(OS)を人道的エンドポイントで算出し、比較検討する。そのほか、同薬の薬理効果を明らかにする目的で、各群におけるHE染色と免疫染色で抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗CD8,Granzyme Bの検出を行い、比較検討する。そして、各群におけるPerforin、Granzyme B、CD8+T細胞の遺伝子発現量を定量的解析するためにreal-time PCR法による評価を行い、比較検討することとした。当該年度は、アテロコラーゲンビーズに包埋した抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬の徐放性について、ELISA法で計測し、1週間を目処にその徐放性が確認された。また、動物実験に使用する8週齢雄性C3H/HeNマウスの背部皮下に、Sq-1979R細胞株を移植し、腫瘍周囲に抗PD-L1抗体薬を直接局所注射を行い、抗腫瘍効果を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
移植実験に使用するC3Hマウス口腔扁平上皮癌細胞株(Sq-1979)のPD-L1の発現について、フローサイトメトリーにて確認する予定であったが、フローサイトメトリー実施に際しての各種調整(抗体の滴定、細胞の固定、透過処理の最適化など)に難渋し、当該年度内で終結できなかった。引き続き、実施継続中である。
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今後の研究の推進方策 |
大きな変更点は、現時点ではない。遅延していた移植実験に使用するC3Hマウス口腔扁平上皮癌細胞株(Sq-1979)のPD-L1の発現について、フローサイトメトリーにて確認を実施する。同時に、確認したマウス由来口腔癌細胞株担癌マウスモデルに対して、アテロコラーゲンビーズに包埋した抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬の投与実験を行う。実験群は、直接少量投与群、腹腔内投与群、アテロコラーゲンビーズ抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬包埋群(局所徐放群)、Control群(PBS投与)とする。抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬全身投与群には、In vivo plus anti-mouse PD-1(CD279)、抗PD-L1抗体(Avelumab)をそれぞれ100μgの用量で0、3及び6日に腹腔内投与する。局所投与群には、背部腫瘍へ抗PD-1抗体薬、抗PD-L1抗体薬をそれぞれ10μgの用量で、腹腔内投与と同様の日程で投与する。さらに同様の用量をアテロコラーゲンビーズへ包埋し、局所徐放投与した群の試験を行う。抗腫瘍効果は、薬剤投与開始日から薬剤投与後21日目における腫瘍縮小率(腫瘍体積)で比較検討する。さらに生存率(OS)を人道的エンドポイントで算出し、比較検討する。各実験群の移植腫瘍とその周囲組織を含めて採取、同時に脾臓も検体として採取する。さらに、局所少量投与と全身投与、徐放投与における免疫関連バイオマーカーの相違の確認比較を行う。HE染色、免疫染色、real-time PCR法による遺伝子発現量を定量的解析する予定である。
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