研究課題/領域番号 |
23K09389
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
宮下 仁 東北医科薬科大学, 東北医科薬科大学病院, 科長 (70372323)
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研究分担者 |
SUKHBAATAR ARIUNBUYAN 東北大学, 歯学研究科, 助教 (20867147)
小玉 哲也 東北大学, 医工学研究科, 教授 (40271986)
森 士朗 東北大学, 歯学研究科, 大学院非常勤講師 (80230069)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | リンパ行性薬剤送達 / 免疫チェック阻害剤 / 頭頸部癌 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェック阻害剤(ICI)を用いたがん免疫療法は, 種々の悪性疾患に対して標準治療として用いられている. しかしながら, 奏効率, 有害事象, 費用対効果等の観点から改善の余地が未だ大きいのが現状である. われわれは, リンパ節に薬剤を注入しリンパネットワークを介して薬剤を送達させるリンパ行性薬剤送達法(LDDS)を開発し,このLDDSにより, 長期間薬剤を貯留させ, 微量でも長期間奏効性を持続させることが可能であることを示してきた.これらの知見を基に,転移モデルを用いて,頭頸部がんに対するICIとLDDSを併用した奏効性が高い新規がん免疫療法の臨床応用を目指すものである.
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研究実績の概要 |
概要免疫チェック阻害剤(ICI)を用いたがん免疫療法は, 頭頸部癌においても標準治療として用いられている. しかしながら, 奏効率, 有害事象, 費用対効果等の観点から改善の余地が未だ大きいのが現状である. われわれは, リンパ節(LN)に薬剤を注入しリンパネットワークを介して薬剤を送達させるリンパ行性薬剤送達法(LDDS)を開発し,このLDDSにより, LN内に長期間薬剤を貯留させ, 微量でも長期間奏効性を持続させることが可能であることを示してきた. 本研究の目的は, 頭頸部癌に対するICIとLDDSを併用した新規がん免疫療法の可能性を転移モデルを用いて検証することである. 2023年度においては,ICIの投与部位について検討した.実験動物としては,腫大LNを有するMXH10/Mo/lprマウスを,腫瘍細胞としては,生体発光関連遺伝子を導入したマウス骨肉腫細胞,LM8-Luc細胞を用いた.腫瘍モデルとしては,腸骨下LN(SiLN)に腫瘍細胞を移植した転移モデル用いた.ICIとしては抗CTLA4抗体を用いた.ICIの投与部位としては,腫瘍細胞を移植したSiLNにICIを投与した群(tbLN群),腫瘍細胞を移植していない反対側のSiLNにICIを投与した群(ntbLN群),腹腔内にICIを投与した群(ip群)とした.治療効果は,生体発光画像解析システムや病理組織学的手法を用いて評価した.以上のICIを用いた治療実験の結果,tbLN群において,治療を行っていない対照群に比較し,統計学的に有意な腫瘍抑制効果と生存率の向上がみられた.しかし,ntbLN群やip群においては,有意な治療効果は確認できなかった.以上の結果より,転移LNを薬剤投与部位としたLDDSを用いたICIによる免疫療法が,従来のICIを用いた免疫療法に比較し,良好な治療成績をもたらす可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の最も重要な課題は,リンパ行性に投与された免疫チェック阻害剤(ICI)が,従来の治療法に比較し治療成績を向上させ得るかどうかということであるが,2023年度の研究により,リンパ行性に投与されたICIが,治療成績の向上に繋がったことが確認された.このことから,リンパ行性薬剤送達法を用いたICIによる新規がん免疫療法の今後の研究のさらなる発展が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
頭頸部癌に対する免疫チェック阻害剤(ICI)とリンパ行性薬剤送達法(LDDS)を併用した奏効性が高い新規がん免疫療法の臨床応用の可能性を検証するため以下の課題に取り組む. 2023年度においては,ICIとして抗CTLA4抗体を用い,ICIとLDDSの併用療法の有用性を確認できた.2024年度においては,抗PD1抗体を用いた検討も行う.また,2023年度に行った抗CTLA4抗体とLDDSによる治療実験においては,病理組織標本,血清,脾臓から抽出したRNAから調整したcDNAなどを保存していることから,これらの資料を用いて,ICIとして抗CTLA4抗体を用いたLDDSによるがん免疫療法の有効性をがん免疫の観点から検証し,抗PD-1抗体を用いたLDDSによるがん免疫療法の場合と比較検討する.また,本研究で取得した肺,腎,肝,膵,唾液腺,心臓,消化管,関節などの病理組織標本を用いて,免疫関連有害事象に関しても病理組織学的に検討する.さらに,ドセタキセル,ドキソルビシン,カルボプラチンなど,ICI以外の抗がん剤とLDDSを用いた治療実験を行い,ICIとLDDSを併用した新規がん免疫療法による治療成績と比較検討することにより,この新規がん免疫療法の費用対効果についても検証する.
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