研究課題/領域番号 |
23K09391
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
岡本 圭一郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50382338)
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研究分担者 |
柿原 嘉人 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40379938)
山村 健介 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90272822)
長谷川 真奈 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90779620)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 慢性痛 / ストレス / 社会的敗北ストレス / 島皮質 / 前帯状回 / epigenetic / 咬筋 / 痛み / 運動 / トレッドミル走 |
研究開始時の研究の概要 |
ストレスは様々な健康障害を引き起こす。そしてストレスは痛みを誘発し我々の生活の質を低下させる。よってストレスによる痛みを軽減するためには日常的なストレス解消が重要になる。運動療法は簡便なストレス制御法であり四肢体幹の痛みを軽減することが知られる。最近、申請者らはトレッドミル走による運動療法が、顔面部のストレス痛を減弱すること、そしてその脳メカニズムは三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)部の神経興奮の減弱によることを報告した。しかし現状、運動がどのような神経メカニズムを使って、Vc部の興奮を減弱させるのか?については不明であった。本課題ではこの点を解明する。
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研究実績の概要 |
社会心理ストレスが咬筋部の慢性痛におよぼす影響とそのメカニズムの解明が目的である。申請者は既に社会的敗北ストレスを10日間実施すると咬筋部の侵害応答が増大することをマウスを用い、明らかにしてきた。そしてさらに10日間の有酸素運動相当の運動を30分間、毎日実施するとストレス誘発性の咬筋痛が軽減することを見出し、さらにその行動学的な変化は三叉神経脊髄路核尾側亜核や上部頸髄の興奮性とリンクすることを示した。本課題では、さらのこの現象の基盤となる上位脳(前帯状回:ACC、島皮質: IC)での興奮性に対する、ストレスおよび運動療法の効果を免疫組織化学的手法を用い、検討した。以下に、得られた主要な結果を示す。(1)これらの上位脳ではいずれも神経興奮(FosB)、細胞内シグナル伝達の亢進(リン酸化CREB)、epigenetic (アセチル化ヒストンH3)な応答が促進した。さらに(2)運動療法が、これらの機能変化を改善できることが明らかになった。これらの結果は、運動療法が、ストレスによって引き起こされた脳内の機能変調を改善できることを示唆する。さらにEpigenetic応答を制御する2つの酵素発現についても検討したところ、これらの部位ではHDAC1陽性細胞数がストレスで増加する一方、HDAC2はストレスならびに運動療法による影響を受けなかった。つまりHDAC1活性が前帯状回や島皮質でのEpigenetic応答を制御する重要な因子であることが考えられる。前帯状回および島皮質はその吻側または尾側で機能が異なることが知られる。現在、それらの部位別での以上の応答を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度は、高位脳(前帯状回、島皮質)での神経興奮、epigeneticな変化の確認が主たる目的であった。そしてFosB, pCREB、アセチル化ヒストンH3さらにアセチル化ヒストンH3の発現を調節する2つの酵素タンパク(HDAC1, HDAC2)の陽性細胞数の発現を定量、ストレスおよびトレッドミル運動によって有意な影響をうけることを明らかにできた。次に、両部位の吻側、尾側での以上のタンパクの発現の程度に違いがあるかどうか?を確認したところ、現在まで概ねいずれの部位でも同様の結果が得られた。同様のより顔面痛の制御に重要な役割を担う、RVMや上部頸髄でも上記の免疫組織化学を実施した。目下、定量を開始したところである。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の結果を継続する。まず(1)サンプルサイズは増加させること、次に、(2)ACC, ICでの発現の定量だけでなく、RVMやC2といったより痛みの処理に関係する領域での検討定量を進めることである。こららの実験では、ストレスおよび運動が脳の機能発現におよぼす影響を示すことは可能である。しかしこれらの脳機能変化が痛みや不安などにどのような役割を持っているのか?は不明である。よって拮抗薬の局所または全身投与などを行うことで、この点を明らかにすることが今後実施する実験内容になる。
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