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遺伝子パネルを用いたプレシジョン・デンティストリーの構築と新規治療法の探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K09413
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分57070:成長および発育系歯学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

伊藤 慎将  大阪大学, 大学院歯学研究科, 助教 (40633706)

研究分担者 黒坂 寛  大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (20509369)
山城 隆  大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (70294428)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワード遺伝子変異 / パネルシークエンス / 非症候性部分無歯症 / PFE / プレシジョン・デンティストリー / 非症候群性原発性萌出不全; PFE / 象牙質形成不全
研究開始時の研究の概要

顎顔面口腔先天異常に関して、遺伝子改変動物実験を応用した分子病態の解明が進む今も、臨床現場では疾患単位の対症療法が主体である。一方同一疾患であっても患者ごとに症状や発症部位、重篤度は多岐に及ぶ。そこには複雑な分子病態と患者の臨床症状とを繋ぎ合わせるヒントが隠れている。我々は既にパネルシークエンスを用いて、先天異常患者群の解析を行った。引き続きサンプル数を増やして、多様な症状と原因遺伝子変異を紐づけるデータベースを構築・拡充する。将来的には非症候性の先天性疾患に対して、原因遺伝子を特定するためのツールとして運用を目指す。また並行して難治性であるPFEに対する新規治療法開発に向けた動物実験を行う。

研究実績の概要

現代日本は「人生100年時代」に突入し、新しい政策目標として「健康寿命の延伸」が掲げられている。特に健康な口腔環境が老齢期のQOLに直結することは誰もが知るところである。健やかな口腔環境の維持には、幼少期からその環境を育成していくことが重要であるが、その大きな障壁となる疾患が存在する。代表例として、非症候性部分無歯症(Tooth agenesis; TA)、あるいは歯数の過不足はないものの、歯の正常な萌出が障害される非症候群性原発性萌出不全(Primary failure of eruption; PFE)がある。
我々はすでに上記疾患の原因遺伝子探求のための遺伝子パネルを構築しており、TAあるいはPFE患者のDNAを用いて解析を行った。結果としてはTA12サンプルのうち8症例で疑わしい原因遺伝子を絞り込み、5症例は病的バリアントを特定した。またPFEが疑われた3症例はいずれもPTH1Rの遺伝子変異を有していない結果であった。
ここで、PFE疑いの3症例のうち矯正学的歯牙移動が無効であった症例については、患者の同意を得て血液を採取し、ハイブリキャプチャー法によるPTH1Rのターゲット次世代シークエンス解析(NGS)法を用いてゲノム遺伝子配列を解析した。その結果、サプライスアクセプターサイトに影響を及ぼしうる遺伝子変異が同定された。この結果を踏まえてパネル解析結果を改めて考察した結果、パネル解析においても同様の変異を抽出していたのだが、イントロン領域の変異であったことから表現系に影響を与えないものとして除外されていたことが判明した。
次の展開として、同PFE症例についてはRNAシークエンスを行い最終確定を行うことを検討する。パネル解析の結果検討にあたっては、イントロン領域であっても今回のようなサプライシングに影響を与える場合があることを考慮しなければならないことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画に基づいて、新たな患者群からサンプルを採取し、パネルシークエンスを行った。パネルシークエンスで得られた結果を解析して、各疾患に関連した病的バリアントを特定した。また臨床所見と矛盾する結果について一歩踏み込んだゲノム遺伝子解析を行い、結果を解析するとともにパネルシークエンス結果に対してフィードバックを行うことができた。

今後の研究の推進方策

引き続き、同意が得られた患者の組織を採取し、パネルシークエンス解析を行う。
またPFEに関する動物実験としてparathyroid hormone-related protein(Pthrp)のKOマウスの準備を行う。PFEのモデル動物はいくつか発表されているが、Parathyroid hormone-related protein(Pthrp)のKOマウスがヒト患者と症状が類似しており、最も良く研究されている (Proc Natl Acad Sci U S A. 2008 Dec 23;105(51):20309-14)。本研究では同マウスを導入すると同時にパネル解析から得られたヒト患者と同じ病的変異を持った遺伝子改変マウスをゲノム編集技術を用いて作製する。そしてこれらのモデルマウスの表現型をヒトPFEと比較する。さらにPTH製剤を局所投与することにより歯の萌出異常の表現型が改善するか、つまり本戦略がヒトPFEの咬合接触不全の根本的治療法に応用可能かどうかの評価を行う。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 上下顎歯列弓幅径の不調和を有し,CO-CRディスクレパンシーが大きい骨格性Ⅱ級・開咬症例に対し,正中2分割Le FortⅠ型骨切り術と下顎枝矢状分割術を施行した1例2023

    • 著者名/発表者名
      YOSHIDA YUKA、ITOH SHINSUKE、INUBUSHI TOSHIHIRO、YOKOYAMA MIKA、MIYAGAWA KAZUAKI、SEKI SOJU、TANAKA SUSUMU、AIKAWA TOMONAO、YAMASHIRO TAKASHI
    • 雑誌名

      日本顎変形症学会雑誌

      巻: 33 号: 1 ページ: 41-51

    • DOI

      10.5927/jjjd.33.41

    • ISSN
      0916-7048, 1884-5045
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 口蓋裂に伴う骨格性下顎前突に対して上顎骨前方部骨延長術(MASDO:Maxillary Anterior Segmental Distraction Osteogenesis)を施行した症例2023

    • 著者名/発表者名
      横山 美佳, 伊藤 慎将, 吉田 侑加, 岡 綾香, 相川 友直, 田中 晋, 山城 隆
    • 雑誌名

      日本顎変形症学会雑誌

      巻: 33 号: 1 ページ: 30-40

    • DOI

      10.5927/jjjd.33.30

    • ISSN
      0916-7048, 1884-5045
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 顎変形症治療の新展開へ:当科における歯科矯正用アンカースクリューを活用したメカニクス2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 慎将
    • 学会等名
      第33回日本顎変形症学会総会・学術大会(シンポジウム)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 矯正歯科治療の日常を変えたアンカースクリューの多様な用途と新しいソリューション2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤 慎将
    • 学会等名
      第65回近畿東海矯正歯科学会学術大会・総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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