配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究開始時の研究の概要 |
筋線維芽細胞(myofibroblast) は線維芽細胞と平滑筋細胞の中間の表現型を示す分化した細胞型であり,強い収縮性を有することが知られている。近年, 矯正学的歯の移動時のメカニカルストレスに対して歯根膜中のmyofibroblastが深く関与していると考えられる。 本研究は, 矯正治療後の後戻りにおけるmyofibroblastの関与について解明し, 申請者らが注目してこれまで研究を行ってきたdaidzeinの臨床応用を目指す。具体的には, 歯根膜細胞からmyofibroblastを誘導し,その収縮作用に対して有効なdaidzeinの作用条件を決定することである。
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研究実績の概要 |
筋線維芽細胞(myofibroblast) は創傷治癒および線維症において生理学的役割を果たし, 強い収縮性を有することが知られている。近年, 矯正学的歯の移動時のメカニカルストレスに対して歯根膜中にmyofibroblastが生じることが報告されたことから,強い収縮力を有するmyofibroblastが深く関与していると考えられる。本研究は, このmyofibroblastに注目し, 矯正治療後の後戻りにおけるmyofibroblastの関与について解明しdaidzein(DZ)の効果的な臨床応用を目指す。具体的にはin vivo, in vitroにおいて歯根膜細胞からmyofibroblastを誘導し, DZの後戻り抑制効果を免疫組織学的, 細胞生物学的に検討し, myofibroblastにより発生する収縮作用に対して有効なDZの作用条件を決定することである。 令和5年度は, まず矯正力(圧迫力,牽引力)負荷後のdaidzeinの効果を検討するため一番影響すると考えられる骨芽細胞について検討を行った。圧迫側では, DZの添加によりRANKL, M-CSFの発現は減少し,OPGの発現は増加した。またTRAP染色を行った結果, DZの添加によりTRAP 陽性多核細胞の数が減少した。牽引側ではDZの添加によりBMP-2, ALP, OSX, OCの発現は増加した。 以上のことから, 矯正力を負荷した骨芽細胞にDZを作用させることで圧迫側においてはRANKL, M-CSFの発現を抑制しOPGの発現を増加することで破骨細胞の分化を抑制し, 骨吸収を減少させ, 牽引側においてはBMP-2, ALP, OSX, OCの発現を増加させ, 骨形成を促進することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和5年度では, Xu らの方法を参考に 矯正歯科治療患者由来のhPDL cellsに牽引力とTGF-β処理を行い、myofibroblastへ誘導する。α-SMA, Tenascin-Cの発現を観察しmyofibroblastへの誘導を確認する。牽引力を加えdaidzein処理を行い, α-SMA , TGF-β, Tenascin-C, COL-1, MMP-1の発現を遺伝子発現及びタンパク産生量について検討することとしていたが, まずDZが矯正力負荷した後の後戻りの抑制にどれくらいの効果があるのかを明らかにする必要があると考えた。歯根膜細胞で研究したことはあったがDZが何に具体的に影響して後戻りを抑制しているかは不明確であり, まず一番影響うけると考えらえる骨芽細胞について検討を行った。この検討をした後myofibroblastについて検討することとしたため, 骨芽細胞の研究が終わるまで時間がかかり倫理委員会なども通す必要があるためmyofibroblastの誘導まで進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はDZの骨芽細胞への作用は解明できたため, in vitroでXu らの方法を参考に 矯正歯科治療患者由来のhPDL cellsに牽引力とTGF-β処理を行い、myofibroblastへ誘導する。α-SMA, Tenascin-Cの発現を観察しmyofibroblastへの誘導を確認する。牽引力を加えdaidzein処理を行い, α-SMA , TGF-β, Tenascin-C, COL-1, MMP-1の発現を遺伝子発現及びタンパク産生量について検討する。さらにはin vivoで, ラットの矯正学的な歯の移動後のmyofibroblastの発現について検討する。 矯正学的歯の移動後0, 1, 5, 7日後に、保定を行う群と行わない群に分けα-SMA, Tenascin-C, TGF-β, COL-1, MMP-1の発現を組織化学的に検討する。さらにマイクロコンピューター断層撮影(Micro-computed tomography; micro-CT)を行い後戻りの量の測定を行う。
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