研究課題/領域番号 |
23K09460
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大林 由美子 香川大学, 医学部, 客員研究員 (10284374)
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研究分担者 |
三宅 実 香川大学, 医学部, 教授 (20239370)
今滝 修 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (60437697)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 同種造血幹細胞移植 / 血流感染症 / 口腔微生物叢 / 腸内微生物叢 / メタゲノム解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)時の血流感染症(BSI)の原因菌は腸と口腔のどちらからなのか、そしてどのような状態が関連するのかを明らかにするために、移植前、移植中、移植後及びBSI発生時のallo-HSCT患者の口腔微生物叢、腸内微生物叢、および血液サンプルの微生物学的データをメタゲノム解析と細菌培養で検索する。 そして、下部消化管移植片対宿主病、口腔粘膜炎、およびBSIの関係を調査して、腸または口腔微生物によって引き起こされるBSIの比率と、関与するさまざまな病原性微生物を特定する。本研究によりallo-HSCT 時のBSI対策について新たな戦略の展開が期待される。
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研究実績の概要 |
血流感染症は、同種造血幹細胞移植における生命を脅かす合併症の主な原因である。血流感染症の危険因子の一つに、消化管移植片対宿主病としての下痢などの粘膜バリア損傷があげられる。粘膜バリア損傷は 胃腸だけではなく口腔にも発生し、口腔粘膜炎は下痢等の症状の出現する下部消化管消化管移植片対宿主病以上の発生率である。 本研究では「同種造血幹細胞移植時の血流感染の原因菌は腸と口腔のどちらからなのか、そしてどのような状態が関連するのか」という問いを明らかにするために、血流感染発生時の同種造血幹細胞移植患者の口腔微生物叢、腸内微生物叢、および血液サンプルの微生物学的データをメタゲノム解析で比較する。 本研究では香川大学医学部附属病院血液内科に入院し、造血幹細胞移植を受ける患者を対象としている。本年度は造血幹細胞移植患者の口腔の状況の把握を行い、移植前、前処置開始時、移植中1週毎、移植後の便と唾液を採取し、便と唾液からDNA抽出を行っている。DNA抽出後はメタS16解析で移植中の口腔微生物叢と腸内細菌叢の変化を把握する。さらに細菌培養でも口腔微生物叢および腸内微生物叢での病原微生物の検出状況と薬剤耐性について調査している。また、移植中の移植片対宿主病としての下部消化管移植片対宿主病の重篤度を評価し、口腔では口腔粘膜炎の重篤度を評価している。血流感染は血液培養による原因菌を把握している。引き続き対象症例を重ね、腸または口腔微生物によって引き起こされる血流感染の割合と、関与するさまざまな病原性微生物を特定することで血流感染の原因となる因子を探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は造血幹細胞移植患者が少数例であった。単年度では対象が少ないため群分けして解析できる段階ではない。また、移植中に使用する各種薬剤や全身照射が原因と思われる口腔乾燥症、移植中に発生する下部消化管移植片対宿主病での高度の下痢による脱水症、口腔粘膜炎や全身状態の悪化等の原因により、定時での唾液採取が非常に困難で、安定的に唾液採取を行う方法を確立するのに長時間を要した。 現在は本年度の移植患者の唾液検体と便検体のDNA抽出を行っているところで、メタS16解析まで至っていない。血流感染は数例で起こり、血液培養による原因菌を把握しているが、症例を重ね検討していく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
集まった検体の唾液および便からのDNA抽出を継続し、メタ16S解析を行い、移植前、前処置開始時、移植中、移植後の口腔微生物叢と腸内細菌叢の変化を把握する。 血流感染の原因菌が未だ血液培養での把握だけであり、メタゲノム解析の方法を確立する。 さらに症例を重ね、サンプル数を増やす。
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