研究課題/領域番号 |
23K09482
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
三浦 桂一郎 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (10634446)
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研究分担者 |
梅田 正博 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (60301280)
柳本 惣市 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10315260)
五月女 さき子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (20325799)
大鶴 光信 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (60384864)
坂本 由紀 関西医科大学, 医学部, 講師 (60734168)
船原 まどか 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (60796811)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | intubation / bacteria / real-time PCR / 口腔癌 / 気管切開術 / 術後誤嚥性肺炎 / 抗菌薬 / 口腔外科手術 |
研究開始時の研究の概要 |
抗菌薬の全身投与を行っていても、進展口腔癌手術で気管切開で管理される患者は、術後誤嚥性肺炎が生じることがある。術後肺炎の原因は病原性微生物を含む唾液の下気道への流入とされている。これを防止するため気管カニューレにはカフが存在するが、カフ上の唾液の流入を完全に抑制することはできない。本研究では口腔ケアや全身的な抗菌薬投与に加え①舌背上に抗菌薬軟膏を塗布、あるいは②カフ上貯留液中に抗菌薬を局所投与しカフ上貯留液中の抗菌薬濃度を測定し、また、カフ上貯留液中の細菌数の変化を定量解析することである。また口腔内およびカフ上に抗菌薬を局所投与し挿管下管理の口腔癌術後患者の術後肺炎の発症の減少割合を検証する。
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研究実績の概要 |
挿管患者の舌背上にアクロマイシン軟膏2gを塗布し、塗布前、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後に中咽頭貯留液および挿管チューブカフ上貯留液を採取し、アクロマイシン軟膏の濃度と細菌数を測定した。測定はreal-time PCR法で行うこととしたが、抗菌薬により死菌となった菌のDNAも増幅するため、生菌数を正確に測定することはできない。そのためまず死菌と生菌が混合したサンプルから生菌のみを定量できる方法を確立することを試みた。 生菌にイソジンを混合し死菌化する。培養法で菌の増殖を認めないことを確認する。そして生菌:死菌の割合を1:9、5:5、10:0に調整したサンプルを作成し、それぞれ4時間液体培地内で培養し、その後real-time PCRにより菌量を定量する。死菌は増加せず生菌のみが増加することを利用し、標準線を作成する。これに実際のサンプルを4時間液体培養した後にreal-time PCRを行ったものを当てはめることにより、生菌と死菌の割合を求めることができる。この方法をdelayed real-time PCR(DR-PCR)法として確立し論文投稿を行った。 次に実際患者を用いた臨床研究を行うために、長崎大学審査委員会に特定臨床研究として「口腔外科手術後挿管患者に対する抗菌薬局所投与による術後肺炎発症予防:予備的研究」を申請、承認が得られ、長崎大学病院および広島大学病院における挿管患者10名に対して、舌背上にアクロマイシンを塗布し塗布前、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後に中咽頭貯留液および挿管チューブカフ上貯留液を採取し、バイオアッセイ法による抗菌薬濃度の測定と、DR-PCR法による生菌の定量を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
死菌と生菌が混合したサンプルから生菌のみを定量可能な新たな方法(DR-PCR法)を開発し報告することができた。 次に予備的研究として、「口腔外科手術後挿管患者に対する抗菌薬局所投与による術後肺炎発症予防:予備的研究」を長崎大学病院の審査委員会に申請し、特定臨床研究として承認を受けた。挿管患者10名に対してアクロマイシンを舌背上に塗布し、塗布前、1時間後、2時間後、3時間後、6時間後に中咽頭貯留液および挿管チューブカフ上貯留液を採取、バイオアッセイ法による抗菌薬濃度の測定と、新たに開発したDR-PCR法により菌量を定量解析した。口腔内およびカフ上とも、高い抗菌薬濃度が維持されており、細菌数の著明な減少を認めた。この特定臨床研究はすでに終了しており、現在論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
アクロマイシン軟膏を舌上に塗布すると、カフ上貯留液では6時間後に至るまで高い抗菌薬濃度が維持されており、細菌数は著明に減少することが確認できたため、この結果について論文投稿する予定である。次に、アクロマイシンは長期に使用すると耐性菌の出現などが懸念されるため、同時に全身投与されている抗菌薬やポビドンヨードなどの消毒剤の口腔内局所投与により、同様の研究を行う予定である。現在ポビドンヨードを用いた同様の研究について倫理審査を終了し、すでに着手している。本年度中に結果を出せる見込みである。 これらの研究をもとに、最終的には多機関共同研究として、実際の挿管後の肺炎予防につながるか検証していく予定である。
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