研究課題/領域番号 |
23K09489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
堤 博文 日本大学, 歯学部, 講師 (30188594)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | ヒト特異的DNA / Quantifiler Trio / 分解指標 / STRタイピング / リアルタイムPCR法 |
研究開始時の研究の概要 |
法医学試料のDNAタイピングは、常にDNAの分解やPCR阻害物質の混入の可能性を考慮しなければならない。従来のDNA定量法では正確なヒト特異的DNAの情報が得られないため、本研究では、ヒト特異的DNA配列を標的としたQuantifilerTrio DNA Quantification Kitを用いて、当講座に保存されてい用いて用いて、経年的変化ならびに環境の違いおけるDNA分解度ならびに正確なヒトDNA量を求め、STRタイピングを行う。
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研究実績の概要 |
法医試料におけるDNA型検査を行う場合、そのDNAの分解度とTotal human genomic DNA(ヒト特異的DNA)の定量値を正確に知ることは、後のDNA型判定に使用する際のDNAを無駄にせず、なおかつ正確に検査することが可能となる。本研究は、PCR阻害に強く、DNAの分解の程度も把握可能なTaqMan法を利用したQuantifiler Trio DNA Quantification Kit(applied biosystems:Trio)を用いて、種々の環境下に放置した歯についての経年的変化によるDNAの量を観察し正確なDNA量を知ることを目的とした。令和5年度は、黒土、腐葉土、川砂および赤玉土に36ヶ月および40ヶ月間埋めた歯を試料とした。それらの歯からDNAを抽出した後、Trioにより、試料DNA中にヒト特異的DNA量およびDNA分解の程度(分解指標:Degradation Index:DI)について検討した。さらに、得られたヒト特異的DNA量および分解指数の値を評価した後、Globalfiler PCR Amplification Kit(applied biosystems)を用いて常染色体STR型判定を行った。その結果、黒土では36ヶ月後のDIの平均は2.1523、40ヶ月後のDIの平均は4.130、川砂では36ヶ月後のDIの平均は4.971、40ヶ月後のDIの平均は26.398、腐葉土では 36ヶ月後のDIの平均は2.878、40ヶ月のDIの平均は6.326、赤玉土では36ヶ月後のDIの平均は2.696、40ヶ月後のDI値の平均は3.037、また、常染色体STR型検出では36ヶ月の試料では22ローカス中12~22ローカス、40ヶ月の試料では14~22ローカス検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当講座所蔵の歯(抜去後20年~30年)を用いて、黒土、腐葉土、川砂および赤玉土の環境に36ヶ月間および40ヶ月間歯を放置し、それらの歯からDNAを抽出した。そのDNAについてTrioを用いて定量および評価を行った後、Globalfiler PCR Amplification Kit(applied biosystems)を用いて常染色体STR型判定を行った。その結果、各環境下における経時的変化による分解指標(Degradation Index:DI)は、黒土では36ヶ月後のDIの平均は2.1523、ヒト由来DNA量は0.256~2.554 ng/μl、40ヶ月後のDIの平均は4.130、ヒト特異的DNA量は0.016~0.287 ng/μl、川砂では36ヶ月後のDIの平均は4.971、ヒト特異的DNA量は5.667~189.748 ng/μl、40ヶ月後のDIの平均は26.398、ヒト特異的DNAは6.966~46.253 ng/μl、腐葉土では 36ヶ月後のDIの平均は2.878、ヒト特異的DNA量は0.0218~0.0361 ng/μl、40ヶ月のDIの平均は6.326、ヒト特異的DNA量は0.034~0.048 ng/μであった。赤玉土では36ヶ月後のDIの平均は2.696、ヒト特異的DNA量は0.013~1.734 ng/μl、40ヶ月後のDI値の平均は3.037、ヒト特異的DNA量は0.053~0.575 ng/μlであった。また、常染色体STR型検出では36ヶ月の試料では22ローカス中12~22ローカス、40ヶ月の試料では14~22ローカス検出された
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は令和5年度と同様に黒土、腐葉土、川砂、赤玉土および黒土と腐葉土混合の条件に放置した歯について経年的変化、すなわち、放置されてからの年月が48カ月間経過後および54カ月間経過後の歯からDNAを抽出し、そのDNAの定量を行う。定量方法は、蛍光色素がDNAに選択的に結合して定量するQubit dsDNA HS Assay KitおよびQubit 1x dsDNA HS Assay Kit、また、昨年度同様に、ヒト特異的DNA配列を標的としたリアルタイムPCR法を利用したQuantifiler Trio DNA Quantification Kitを用いる。これら3種の定量結果について比較検討を行い、そのDNAの分解指標などの評価を行う。さらにその分解度を参考に、Globalfiler PCR Amplification Kitを用いて常染色体STR型検出を行う。さらに、令和2年度からのヒト特異的DNAの定量値および分解指数の値と比較検討し、関連学会などで発表する。
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