研究課題/領域番号 |
23K09501
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤本 秀子 京都大学, 医生物学研究所, 研究員 (30722798)
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研究分担者 |
竹内 明子 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (00867179)
伊藤 寿宏 京都大学, 医生物学研究所, 研究員 (40806593)
川上 竜司 京都大学, 医生物学研究所, 特定助教 (70869114)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 歯槽骨画像 / 深層学習 / 経年変化 / 歯槽骨水平吸収 / 歯周病画像検査 / パノラマX線画像 / CT画像 / 年齢推定 / 歯槽骨吸収 / 特徴点検出 |
研究開始時の研究の概要 |
歯周病画像検査では、歯科医師は肉眼により歯槽骨の吸収状態を患者に説明するが、なんらかの客観的指標を用いて実施されているわけではない。我々はこれまでの研究で、歯周病の有無にかかわらず歯槽骨の形状が加齢により変化するという知見を得た。これは歯周病診断において個々人の経年変化を考慮する必要性を示している。本研究は、X線画像上の歯槽骨の形状を数値化したデータをもとに、患者個人の変化と照らし合わせ、歯周病検査の新たな指標として加えることを目指した。本研究は、指標を用いた初めての歯周病画像検査法であり、しかもそのデータはそのまま、身元確認に役立つという、臨床検査結果を有効活用する社会インフラ整備である。
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研究実績の概要 |
人体において上下顎骨は、口腔内細菌により常に感染の影響を受ける稀有な部位である。特に歯槽骨は歯周病菌により影響を受けることが知られている。そこで、我々はまず予備検査として歯槽骨画像を使用して水平的な変化を年代別に検査し、経年変化の有無を検討した。なぜなら、歯周病の有無にかかわらず、歯槽骨が何らかの影響を受けている可能性が否定できないからである。経年変化は、客観的な指標となる数値で示す方法を目指した。経年変化の数値化は、歯槽骨に特徴点を決定して、プロクラステス解析のランドマーク法を使用して類似度解析を行った。 これまで我々が研究開発してきた個人識別法においても、本法と同様画像上特徴点の自動検出に深層学習を使用することを検討した。しかし残念ながら、高性能なシステムを購入できず、良好な結果が得られなかったので、今回はさらに高い技術と本研究への理解のある企業を探した。研究計画書提出時に予定していた企業ではなかったが、ライフサイエンスコンピューティング株式会社に依頼することができた。この企業を選んだ理由は、歯科レントゲン撮影機器開発販売会社と連携してアプリケーションを製品化している実績があり、本研究への理解が深かったためである。企業への依頼が決定したため、教師データを作成し、秘密保持契約を交わし、データを提供した。一定の検出能力が認められたために、経年変化算出と今後の歯周病画像検査を行う事を可能にするシステム開発を依頼した。 一方で、歯槽骨画像による経年水平変化について研究分担者と検討を重ね、論文化に取り組み、本年5月に投稿する予定である。本論文には経年変化を活用した年齢推定法も含まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず初めに、人工知能によるランドマーク自動検出を行うために、748パノラマ画像上にランドマークを決定し、教師データとした。そしてこのデータを、ライフサイエンスコンピューティング株式会社に提供し、人工知能による自動検出の可能性の検討を依頼した。検討結果が良好だったので、システムの構築を依頼した。 その間、我々は異なる4機関の784パノラマ画像データと315CT画像データを収集し、経年変化を検討した。14-29歳、30-39歳、40-49歳、50-59歳、60-69歳、70-79歳、80歳以上の年代毎の34パノラマ画像をプロクラステス解析のランドマーク法を用いて、若年層をベースにした年代比較を行った。同様にCT画像においても同様に各年代20画像を使用して、若年層をベースに年代比較を行った。CT画像の若年層数が少ないため、パノラマ画像と同数の比較検討を行うことはできなかった。それらの結果の統計解析を行い、歯槽骨画像の経年変化を検討した。また本結果に基づき、42人の年齢既知の死後CT画像データとパノラマ画像データベースを使用して、身元確認に役立つ年齢推定の検討も行った。約88%で年齢推定が可能となった。現在、これらの内容を研究分担者とともに検討し、論文化しているところである。 当初、システムの購入は今年度末までを予定していたが、やや遅れることとなったが、その理由は、今回のデータを使用した他の有用性や広がりについても検討したためである。
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今後の研究の推進方策 |
本年4月にアプリケーションを購入し、データを使用して人工知能の精度を確認する。本解析には多くのデータの使用が必要であるため、PCを購入する。 6月以降に東北大学歯学部医用情報学飯久保教授にデータ提供と共同研究の協力を要請する予定である。東北大学からのデータ使用許諾を得た場合には、倫理審査を申請し、データを匿名化して使用する予定である。数十年単位で撮影された同一人パノラマ画像データを対象とし、購入したシステムを使用して、個人別の経年変化データの算出を行う。一方で、画像情報だけでなく、提供された画像データの情報として、歯周病罹患病歴の有無を記録し、保存する。先の検討結果で算出された経年変化の指標と比較し、個人別の画像における歯槽骨の水平変化の進行速度と程度を検証する。
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