研究課題/領域番号 |
23K09504
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
味野 範子 (塩津範子) 岡山大学, 大学病院, 医員 (90771452)
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研究分担者 |
岡村 裕彦 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (20380024)
福原 瑶子 (内田瑶子) 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (60779742)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 細胞外DNA / 歯周病 / バイオフィルム / DNA構造変化 |
研究開始時の研究の概要 |
歯垢形成におけるバイオフィルムの成熟に伴いマトリクスの結合の強まりが,その構造を強固にする。そのため,歯周病の予防には,マトリクスの結合を抑制し,バイオフィルムの成熟を妨げる薬剤の開発が期待される。我々は,歯周病原菌のバイオフィルム成熟過程においてマトリクスにおける細胞外DNAに構造変化が生じることを見出した。 本研究の目的は,歯周病原菌のバイオフィルム成熟過程において細胞外DNAの構造変化がどのような役割をもつか解明することである。研究成果をもとに,細胞外DNAの構造変化を標的とした画期的なバイオフィルムの分解方法の創成を目指す。
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研究実績の概要 |
歯周病は,口腔微生物が形成するバイオフィルムである歯垢が歯肉溝に沈着することにより進行する。バイオフィルムの形成は細胞外DNAを含む細胞外基質(マトリクス)の集積により生じる。バイオフィルムの成熟に伴いマトリクスの結合の強まりが,その構造を強固にし,歯垢除去を困難にする。そのため,歯周病の予防には,マトリクスの結合を抑制し,バイオフィルムの成熟を妨げる薬剤の開発が期待される。我々は,歯周病原菌のバイオフィルム成熟過程においてマトリクスにおける細胞外DNAに構造変化が生じることを見出した。この細胞外DNAの構造変化は酵素による分解や免疫を抑制することでバイオフィルムをより強固にし,歯周病の進行に関与すると考えられる。 本研究は,歯周病原菌のバイオフィルム成熟過程において細胞外DNAの構造変化がどのような役割をもつか解明することを目的とした。 高分子複合体であるバイオフィルムでは,細胞外DNAは構造を支える『梁』の役割を担っている。細胞外DNA には右巻きと左巻きの異なる二重らせん構造を示すものが存在する。B型DNA(B-DNA)は,一般的な右巻きの構造を示し,DNA分解酵素に感受性が高い。Z型DNA(Z-DNA)は,非一般的で左巻きの構造を示し, DNA分解酵素に抵抗性を示す。しかし,歯周病原菌のバイオフィルムにおける細胞外DNAの構造変化は明らかでなかった。 P. gingivalis を培養し,バイオフィルムを形成させた。B-DNAおよびZ-DNAに対する抗体を用いた免疫染色を行う。その結果,P. gingivalis のバイオフィルム成熟過程でZ-DNAの存在量が増加することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
P. gingivalis を培養し,バイオフィルムを形成させる条件等は確立できた。また,B-DNAおよびZ-DNAに対する抗体を用いた免疫染色を行うこともできた。しかし,年度途中より出産のため,産休を取得した。そのため,昨年度に計画していた実験の一部が遂行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の実験において,主要な歯周病原菌である Porphyromonas gingivalis のバイオフィルム成熟過程において,Z-DNAが増加することを見出した。Z-DNAの増加はDNA分解酵素による分解に抵抗し,バイオフィルムを強固にすると考えられる。今後は,P. gingivalis を培養し,バイオフィルムを形成させる。様々な成熟過程のバイオフィルムに対し,B-DNAおよびZ-DNAに対する抗体を用いた免疫染色を行う。共焦点レーザー顕微鏡にて三次元的に観察を行う。これにより,バイオフィルムの成熟によるB-DNAおよびZ-DNAの存在量とバイオフィルムの厚さの変化を評価する。バイオフィルム中のZ-DNAの増加が宿主免疫細胞の機能にも影響するか判定するため,様々な成熟段階のバイオフィルムから抽出した細胞外DNAをマクロファージに作用させ,炎症性サイトカインの発現をqPCRにて調べる。バイオフィルム成熟過程で,DNA分解酵素に抵抗性を示すZ-DNAが増加することで,マトリクスの結合が強固になる,また病原性も増加すると予想している。
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