研究課題/領域番号 |
23K09507
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
福間 裕 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 技術職員 (50253688)
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研究分担者 |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
山口 優 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (50823308)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 代謝性骨疾患 / Rab44 / 破骨細胞 / Rab / 細胞内輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
代謝性骨疾患は骨密度の低下に伴い骨強度が低下し、骨折の危険が高まる疾患である。最近私達は独自の研究から、破骨細胞に発現する新規遺伝子Rab44を同定した。細胞レベルの解析で、Rab44ノックダウン破骨細胞は活性化され、骨吸収能も増大していた。しかし、Rab44の生体内での機能は未明な点が多く残されている。本研究の目的は、代謝性骨疾患におけるRab44の役割を解明することである。そのためにRab44欠損マウスを用いて、代謝性骨疾患モデル実験を行い、本マウスでの病態を解析する。また代謝性骨疾患患者由来の血液細胞でのRab44の発現レベルを測定する。
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研究実績の概要 |
代謝性骨疾患(骨粗鬆症)は骨密度の低下に伴い骨強度が低下し、骨折の危険が高まる疾患である。その主な原因は骨芽細胞による骨形成の低下よりも、破骨細胞による骨破壊の進行が亢進するためである。最近私達は独自の研究から、破骨細胞に発現する新規遺伝子Rab44を同定した。一般的にRabタンパク質は小胞輸送や膜輸送を調節することが知られており、GTPが結合した活性化型とGDPが結合した不活性化型をサイクルとした分子スイッチとして機能することが知られている。Rab44の構造的特徴はカルシウム結合領域であるEFハンドモチーフ、オルガネラの係留に関与するCoild-coilドメイン、および他のタンパク質と結合することができるプロリンリッチドメイン(PRD)を持つことである。細胞レベルの解析で、Rab44ノックダウン破骨細胞は活性化され、骨吸収能も増大していた。逆にRab44過剰発現細胞は単核の細胞に留まり、破骨細胞への分化が抑制されていた。従って、Rab44に制御された破骨細胞の機能に異常をきたすと、骨破壊を主病態とする骨粗鬆症の病態が変化することは容易に予測される。しかし、Rab44の生体内での機能は未明な点が多く残されている。本研究の目的は、代謝性骨疾患におけるRab44の役割を解明することである。そのために独自に作製したRab44欠損マウスを用いて、骨粗鬆症モデル実験を行い、本マウスでの病態を解析する。また骨粗鬆症患者由来の血液細胞でのRab44の発現レベルを測定する。本研究により膜輸送系を基軸とした分子機構を解明し、その応用に繋げる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は以下の様な実験を行った。 1)Rab44遺伝子欠損マウスの表現型解析:・可視的表現型解析:マウスの異常を調べるための表現型解析フローチャートにより、自然状態での解析、刺激に対する反応・反射異常、肉眼内臓解剖による形態異常を解析した。・血液検査および生化学的検査:野生型とRab44欠損マウスの血清および血球数の検査を実施する。特に白血球数やその種類について両マウスの相違を解析した。 2)Rab44の筋細胞における機能 Rab44をRab44欠損(KO)マウスの骨格筋は再生能が促進することを見出した。生体レベルでもRab44の骨格筋への関与を確認している。野生型(WtT)マウスとKOマウスを用いてヘビ毒のカルディオトキシンを用いた筋損傷・再生モデル実験を行った。両マウスの前脛骨筋の筋線維横断面積を測定すると、損傷後は明らかにKOの方がWTよりも大きくなった。この結果は、Rab44が欠損する骨格筋は再生能力が促進し、Rab44が骨格筋の再生に抑制的に働いていることを示している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の様な実験を行う予定である。 ・Rab44遺伝子欠損マウスでの骨組織・骨代謝の変化 Rab44は破骨細胞では発現しているが、骨芽細胞では発現していない。Rab44ノックダウン破骨細胞が活性化していることから、Rab44遺伝子欠損マウスは骨粗鬆症を呈することが予測される。そこで胎生期マウスあるいは生後数日後のマウスの透明骨格標本を作製する。アルシアンブルー染色で青色に染まった軟骨組織とアリザリンレッドで赤色に染まった石灰化硬組織の範囲を比較し、マウス個体レベルでの硬骨形成の比較を行う。成長したマウスの大腿骨、椎骨等のX線解析を行い、固定後脱灰パラフィン切片や非脱灰樹脂切片を作製し、HE染色、TRAP染色を行い、骨形成を比較する。またカルセインを2回投与し、非脱灰樹脂標本を作製し骨組織形態計測を行う。またμCT解析により骨量、海綿骨数、海綿骨厚を測定する。
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