研究課題/領域番号 |
23K09518
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 大阪歯科大学 |
研究代表者 |
真下 千穂 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80368159)
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研究分担者 |
南部 隆之 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (80367903)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 口腔細菌叢 / 硝酸還元菌 / 口腔健康 / 口腔菌叢バランス / 細菌ゲノム解析 / 口腔善玉菌 / 硝酸塩 / プレバイオティックス |
研究開始時の研究の概要 |
NO3-が還元されて生成する一酸化窒素(NO)がもつ生物活性の影響は、人体の多岐に渡り、血圧降下・血液凝固減少・運動能力の向上・口腔健康などの健康維持に重要な効果を与えている。体内における硝酸の代謝には口腔細菌叢が強く関連していることが分かっている。しかし、口腔内の細菌がどのような環境下で相互的に働いているのかという疑問は解決されていない。 そこで、本研究では、口腔の硝酸還元性に焦点を絞り、口腔細菌叢のバランス変動と口腔硝酸還元活性のダイナミクスをマクロな視点(メタゲノム解析)とミクロな視点(細菌の遺伝子改変)の総合的なアプローチにより明らかにしていく。
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研究実績の概要 |
これまで、「硝酸=有害」というイメージが定着していたが、現在では食餌由来の硝酸イオン(NO3-)は人体の様々な組織において健康にプラスに働き、発ガン性リスクよりもはるかに高い健康へのベネフィットがあることが認識されるようになってきた。その理由はNO3-が還元されて生成する一酸化窒素(NO)がもつ生物活性である。人体におけるNOの作用は多岐に渡り、血圧降下・血液凝固減少・運動能力の向上・口腔健康などの健康維持に重要な効果と関連している。上記の効果を発揮するために重要な役割を担っている器官が「口腔」である。特に、口腔に常在する「口腔硝酸還元菌」の働きが鍵となっていることは確かである。 本年度(1年目)は、口腔に存在する高い硝酸還元活性を有する細菌を分離し、種類の同定・ゲノム解析・遺伝学的背景を明らかにしてきた。口腔常在菌する細菌で高い硝酸還元活性をもつものとしてRothia属細菌が知られているので、本菌を選択的に分離した。分離した菌株に対して、広宿主範囲プラスミドを用いた形質転換を行い、遺伝子改変の可能性の有無を評価した。その結果、高い形質転換効率を有するRothia dentocaliosaを同定することができた。さらに、同定された菌株に対してトランスポゾンなどを用いて、遺伝子改変を行うことに成功した。 Rothia属細菌を対象とした遺伝子レベルでの研究成果が乏しいので、本年度はその克服のために遺伝子改変技術の構築に焦点を絞り研究を行い、新たな技術を確立した。この技術基盤は、口腔常在菌の働きを遺伝子レベルで評価する上で重要なステップであると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は4年間で行うことを想定しており、1年目は本研究課題の中心となる「口腔硝酸還元菌」の分離・ゲノム解析・遺伝子改変を計画していた。ほぼ、計画通りに研究が進行している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の2年目では、口腔状態を模倣した実験系(唾液・歯垢などを人工的に培養する)を用い、複雑な細菌の相互関係をRothia属細菌を中心に明らかにしていく予定である。具体的には、遺伝子改変Rothia属細菌株を用いて、様々な条件下(特に硝酸イオンの存在の有無)で口腔バイオフィルムを形成した場合、口腔細菌叢にどのような変化が起こるのかを口腔細菌叢バランスの変動(メタゲノム解析)および標的遺伝子の変動(遺伝子発現レベルでの計測)で評価していく。 1年目に引き続き、Rothia属細菌の遺伝子改変を行う。1年目で構築できた実験基盤の脆弱なポイントを抽出し、更なる条件検討(プラスミドの選択、薬剤マーカーの選択、培養条件の調整など)を行い、安定した遺伝子改変技術基盤の構築を行う。また、ゲノム全体を網羅した遺伝子改変(トランスポゾン挿入)を行い、変異遺伝子を同定する技術確立も行う予定である。
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