研究課題/領域番号 |
23K09521
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
萩原 將太郎 筑波大学, 医学医療系, 教授 (50306635)
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研究分担者 |
田宮 菜奈子 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20236748)
岩上 将夫 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30830228)
小宮山 潤 筑波大学, 医学医療系, 研究員 (60973609)
小林 裕幸 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70536218)
小室 雅人 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, センター病院, 主任薬剤師 (70932218)
浜田 将太 一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部)), 研究部, 副部長 (80712033)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 介護レセプト / 医療レセプト / ポリファーマシー / 潜在的不適当処方 / 茨城県 / 高齢者 / ヘルスケアサービス |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者では、複数の疾患により多数の薬剤が処方されることがある。介護を要する高齢者におけるポリファーマシーの状況は、未だ不明な点が多い。茨城県の医療レセプトデータおよび介護レセプトデータを用いて詳細な解析を行い、介護の必要な高齢者におけるポリファーマシーの実態を、人口構成、アクセス可能な医療資源の濃淡など地域特性による問題点など共に明らかにする。多角的な検討を通して、ポリファーマシー状態是正に寄与する可能性のある要因を抽出し、それぞれの有効性について評価する。複雑に交絡した高齢者のポリファーマシー問題に対し、リアルワールドデータの分析により適切かつ有効な介入方法の立案に寄与することを目標とする。
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研究実績の概要 |
要介護高齢者におけるポリファーマシーの実態と背景要因について検討した。 方法:2018年度に茨城県の介護保険を利用した65歳以上の高齢者について横断的研究を行った。 結果:解析対象者として77181例を抽出した。平均年齢85.9歳(中央値87、65-108)、男性30.6%であった。要支援1:4569例、要支援2:8258例、要介護1:16847例、同2:15922例、同3:12789例、同4:10480例、同5:7028例。受診医療機関数の中央値は2(1-13)施設。84日以上連続投与された同一成分薬剤数の中央値は5(0-31)剤。要介護状態区分別では、要支援1: 6(0-23)剤、同2: 6 ( 0-23)、要介護1: 5 (0-25)、同2: 6 (0-31)、同3: 5(0-24)剤、同4: 5(0-22)剤、同5: 4(0-27)剤であった。多変量解析により、ポリファーマシーが増加する要因として、comorbidity index、複数医療機関の受診が有意に関連していた。また、潜在的不適当処方(PIMs)についても同様の要因が関連した。一方で、要介護度1以上、介護施設入居者、ショートステイ利用者、デイケア利用者では、ポリファーマシーおよびPIMsが有意に少ない傾向が見られた。この結果は、第14回日本プライマリケア連合学会学術集会にて発表した。 更に、要介護高齢者に対して同時処方された薬剤について、「R」を用いてアソシエーション分析を実施した。処方頻度の高い薬剤は、酸化Mg、アムロジピン等、消化性潰瘍用剤、利尿剤(フロセミド、スピロノラクトン等)、ドネペジル等、抗血小板薬(アスピリン等)、などであった。これらの組み合わせには併用注意薬が多く含まれていた。この結果は第82回日本公衆衛生学会総会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
筑波大学ヘルスサービス研究開発センターの協力により、同センターが利用許可を受けている茨城県の介護給付費明細および茨城県国保・後期高齢者医療保険の医科診療報酬明細を用いて、ビッグデータ解析を進めることが可能となった。これにより、要介護高齢者に処方された薬剤数が中央値5(0-31)剤であり、半数以上がポリファーマシー状態にあることが判明した。また、分担研究者の助言を得て、高齢者における潜在的不適当処方についての検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
1.これまでに2018年度の医療介護レセプトを用いて茨城県の要介護高齢者におけるポリファーマーの実態と背景について検討した。今後、複数年度のデータを用いて、ポリファーマシー状態の要介護高齢者のアウトカムについて検討する。 2.ポリファーマシーを構成する薬剤の内訳を詳細に検討し、何故ポリファーマシーに陥るのか?その理由を探索するとともに、ネットワーク分析およびアソシエーション分析の手法を用いて同時処方された薬剤を解析し、併用注意薬剤の組み合わせについて検討する。これまで個別の薬剤で構成された潜在的不適当処方薬リスト(Beers criteria, 日本老年医学会ガイドライン等)をさらに発展させて高齢者における頻度の高い併用注意薬リストを作成する。 3.茨城県内の地域格差について検討し、市町村別の医療資源、介護資源の密度、利便性とポリファーマシーとの関連を明らかにする。
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