研究課題/領域番号 |
23K09527
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
白鳥 義宗 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院教授 (20313877)
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研究分担者 |
清水 雅仁 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90402198)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | クリティカルパス法 / 標準アウトカムマスタ / OAT ユニット / Learning Health System / Total Quality Management / 標準化 / クリニカルパス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、多施設のデータを標準化された電子診療工程表(クリティカルパス法)を利用することにより、病院間のプロセス解析を行い、診断法や治療法のさらなる成績向上・効率化を目指し、医療の質を改善する手法の開発と教育を行うものである。 クリニカルパスを用いて医療の質を改善しようという際に、1)標準的診療プロセスの設定、2)クリティカル・インディケーターの妥当性、3)バリアンス分析からの改善計画、4)教育計画の策定を考えなくてはならない。これらの点を中心に、今まで蓄積してきた情報とコンピュータ技術を駆使して、多施設で多面的な評価と改善計画策定を行える標準的な仕組みの検討を行う。
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研究実績の概要 |
日本クリニカルパス学会や日本医療情報学会と協力して、標準アウトカムマスタ(Basic Outcome Master、 BOM)やその他の標準マスタをクリティカルパス法と結びつけ、OAT ユニットをベースとした診療計画(クリティカルパス)と実際に行った医療との差を多施設において検討するプロセス解析の手法について研究を進めている。 OAT ユニットと各種標準マスタの結合、整備などを行い、解析の準備を進めている段階である。クリティカル・インディケーターやバリアンスの分析を通して、Total Quality Management (TQM)の実現や医療の質改善対策が立てれるようにと、解析準備を進めており、その手法としての確立が期待されていると思われる。このような取り組みをLearning Health System (LHS)として病院内に定着させる方法についても現在検討中である。 ユーザーにとって使い易いユーザーインターフェイスや機能の実現のために、日本ユーザーメード医療IT研究会(J-SUMMITS)と協力してユーザーのニーズに即したものを開発することを目指している。ハッキングや情報漏えいの懸念等より、ユーザーメードとは言え、よりセキュアであり、より多施設での標準的な手法になるような機能開発の工夫となるように注意を払っている。 また、今まで開発してきた分析ツールを利用して研究を進める予定であると同時に、その考え方を普及・教育していくことを目的として、令和6年度より文部科学省の履修証明プログラムでもある名古屋医療情報学プログラム (NAGOYA Clinical Informatics Program、NCIP)にもその講義を用意するようにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OAT ユニットを利用したクリティカルパス法のプロセス解析手法については、日本クリニカルパス学会と日本医療情報学会の合同委員会を中心に精力的に進められており、進捗は著しい。このような解析手法を利用し、Total Quality Management (TQM)の実現に寄与する形で進められているが、システム的な整備と解析の準備の段階であり、十分な成果があがっているとは言い難い状況である。 また、教育部分に関しては、概要でも述べたように文部科学省の履修証明プログラム等を活用して、広く社会に還元することが出来るようになるものと期待される。 残る課題として、クリティカル・インディケーターやバリアンスの分析を通しての、医療の質改善対策についてであり、その部分の進捗をより進めることが期待されている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
診療計画の評価上最も重要なものはクリティカル・インディケーターであるが、このようなクリティカルなもの以外でも多くのバリアンスが生じるのが現実の医療である。臨床の現場では患者の個人差が大きいため、予定していた診療計画が必ずしも一律にこなせるわけではない。逆にそこで生じるバリアンスから経験的に、真に効率的・効果的な診療がみつかることも少なくない。それに対して、BOMを利用することにより、多施設で生じうるバリアンスを出来る限り自動的に集計・解析する手法の検証を行う。単一の評価軸を用いて評価を行うのではなく、複数の評価軸を用いて多面的にその診療を評価し、改善点を見出していくことが重要と考えて検討を進めていきたい。 クラウドの利用やモバイル端末などを利用し、多くの施設でデータを無理なく集められ、利用できるようにするために、そのような仕組みへの対応も検討していく。それらの端末を利用してのよりきめ細かなデータの蓄積や抽出をセキュアな条件で行えるように検討する。 また、現在のベンダー開発のツールでは、ユーザーにとって使い易いユーザーインターフェイスや機能の実現は難しいため、多施設への導入が困難となる可能性がある。ユーザーメイドによるユーザーのニーズに即したものを開発することにより、より多施設での標準的な手法になるように機能開発を工夫する予定である。
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