研究課題/領域番号 |
23K09539
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
赤沢 学 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (80565135)
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研究分担者 |
莊司 智和 山梨大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (40892253)
村木 優一 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (50571452)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 薬剤耐性(AMR) / 医療情報データベース / 経済的評価 / 急性腎障害 / 質量分析装置 / 薬剤耐性 / 経済評価 / 医療資源 / データベース研究 / 文献レビュー |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤耐性(AMR)対策には、抗菌薬の適正使用促進を行う予防、迅速診断と薬剤選択を行う診断、新規の治療薬開発を促進する治療などがある。それぞれの対策の価値を適切に評価して、普及・啓発に役立てるためには、医療経済の手法を適切に用いることが重要である。本研究では、AMR対策に関する経済評価の現状を文献レビューで把握すると共に、実際の医療データを用いて経済評価を行い、その分析手法の標準化を目指すものである。
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研究実績の概要 |
薬剤耐性(AMR)対策には、抗菌薬の適正使用促進を行う予防、迅速診断と薬剤選択を行う診断、新規の治療薬開発を促進する治療などがある。それぞれの対策の価値を適切に評価して、普及・啓発に役立てるためには、医療経済の手法を適切に用いることが重要である。そのため、AMR対策に関する経済評価の現状を文献レビューで把握すると共に、実際の医療データを用いて経済評価を行い、その分析手法の標準化を目指すことを目的とした。2023年度は、次の3つの研究に取り組んだ。1つめは、京都薬科大学の研究グループが中心となって、AMR対策に重要な抗菌薬適正使用支援による経済評価の現状について文献レビューをおこなった。14報の論文を精査し、医療機関の施設機能、病床規模、介入内容についてまとめている。2つめは、山梨大学医学部附属病院のグループが中心になって、質量分析装置の使用が感染症治療に及ぼす影響を評価した。全国のDPC病院の医療情報が含まれるデータベースを用いて、質量分析装置の使用実態について調べ、それが診断名や抗菌薬の選択にどのように影響しているか集計している。3つめは、明治薬科大学の研究グループが中心になって、DPC病院の医療情報データベースを用いて、バンコマイシンによる急性腎障害(AKI)の経済的損失を推計した。バンコマイシン投与によって生じるAKIの発症リスクを推計し、AKI発症の有無によって、院内死亡、在院日数、医療費にどのような違いがあるかを評価している。いずれの3つの研究も、研究成果をまとめている段階で、今後に向けて学会報告並びに論文発表の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)AMR対策に関する経済評価の現状を文献レビューについては、日本の医療機関等でAMR対策の経済的な評価を行っている一次資料を調査し、文献レビューを行った。2023年6月時点において最終的に調査対象となった14報を対象とし、施設機能、病床規模、介入内容についてまとめた。その結果、特定機能病院の報告が多く、500~1000床、抗菌薬処方後の前向き監査およびフィードバック (PAF)に対する報告が多くを占めていることが明らかとなった。 2)質量分析装置の使用に関する研究では、医療情報データベースを用いて日本国内の質量分析装置の使用実態調査を行った。2018年度から2021年度にかけて、菌血症が想定される41,827人中、市中感染では1,893人(4.5%)、院内感染では385人(0.9%)の患者で抗菌薬適正使用と共に質量分析装置が使用されていた。病床規模別では、500床以上の病院での使用が最も多く(246人)、100床未満が最も少なかった(8人)。 3)バンコマイシンによるAKI発生の経済的損失に関しては、バンコマイシン投与患者のうちAKIを発症した患者は493人(発生率18.3%)で、発症患者と非発症患者の背景をそろえて比較した結果、30日院内死亡率はALT発症者で有意に高かったが、在院日数では差を認めないことを明らかにした。現在、医療費に関する違いについて集計している。これらの研究成果については、第67回日本薬学会関東支部大会(9月16日、東京にて開催)で口頭にて中間報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は引き続き現状の研究を進める。文献レビューについては調査期間を延長と対象文献を増やした上で論文化を目指す。質量分析装置の使用実態調査については病床規模を考慮した更なる調査を行い、結果をまとめて関連学会での報告を目指す。バンコマイシンによるAKIと医療費の関係については、更なる検討を行い、論文化を目指す。また、研究成果を医学的検知から評価して行くために、感染症並びに医療経済の専門家を分担研究者に加えた。第39回日本環境感染学会総会学術集会(7月25-27日、京都にて開催)の会期中に、研究班会議を開催し、今後の方向性について再確認する予定である。
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