研究課題/領域番号 |
23K09565
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 九州看護福祉大学 |
研究代表者 |
吉田 勇一 九州看護福祉大学, 看護福祉学部, 講師 (90566936)
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研究分担者 |
奥田 憲一 九州栄養福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50808003)
二宮 省悟 東京国際大学, 医療健康学部, 准教授 (10465784)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 脳卒中 / 運動機能 / リハビリテーション / 理学療法 / 時間 / 単位 / スマートフォンアプリ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、中枢神経疾患患者の運動機能を改善する理学療法の効率的な時間を設計することである。方法として、スマートホンを使用したリハビリテーション時間を記録するアプリ(時間評価システム)を開発し、リハビリテーションスタッフによる時間記録の信頼性を証明する。また時間評価システムを使用して回復期病棟入院中の中枢神経疾患患者のリハビリテーション時間を評価することで、理学療法の時間配分が運動機能改善に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の主な目的は、神経疾患患者の運動機能を改善するための理学療法の効率的な時間設計を立案することである。2023年度には、この目的を達成するため、理学療法の時間配分の記録の正確性に焦点を当てて研究を実施した。アンドロイドスマートフォン用のリハビリテーション時間評価アプリ「SRT(Software for Rehabilitation Time)」を開発し、共同研究施設(A施設、B施設)でアプリ操作に関する説明会を行った。A施設では2024年2月からは施設内での操作練習を開始し、現在症例研究を遂行している。一方、B施設では、2024年4月から操作練習を開始した。 以下、A施設での症例研究の経過を報告する。患者は70代女性で、発症前は独立して歩行し、家事全般を担当していた。X月Y日に右視床出血で左片麻痺となり、近隣の医療機関に入院した後、発症19日目に当施設に転院し、理学療法、作業療法、言語聴覚療法を開始した。治療項目はKaurら(2013)の方法を一部改変して8項目(臥位での練習、坐位での練習、移乗動作、立位、歩行、上肢の練習、その他、非活動)とした。アプリにはストップウォッチ機能が搭載されており、担当理学療法士がリアルタイムで時間を記録し(アプリ時間)、別の理学療法士がビデオ記録から各項目に割り当てられた時間を正確に計測した(ビデオ時間)。アプリでの8項目合計時間は49分38秒、ビデオでの合計は45分47秒でであった。Kaurらの8項目の時間記録では非活動時間を除外した場合、理学療法士の記録が11分から17分程度過剰に見積もられると指摘している。本症例において、我々が開発したSRTを使用した結果、アプリ時間とビデオ時間の差は比較的小さく、SRTが理学療法士の時間記録の精度を向上させる効果があることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究進捗状況を時系列で記載する。本研究は、九州看護福祉大学倫理審査により承認された(2023年6月15日)。承認後、アンドロイドスマートフォン用のリハビリテーション時間評価アプリ「SRT(Software for Rehabilitation Time)」の開発に着手した。このアプリには、リハビリテーションのメニューがあらかじめ設定されており、実施時間を簡単に記録できる機能が備わっている。各メニューの開始時と終了時にアプリ内のストップウォッチボタンを押すことで、活動の正確な時間を記録できるようになっている。アプリのユーザーインターフェイスは、忙しいリハビリ環境でも誤操作を防ぐよう設計されている。 研究責任者が協力施設Aに出向き、リハビリスタッフに対してSRTのプレゼンテーションを行った(2023年10月13日)。同施設の医局にて、リハ時間アプリを含む研究計画のプレゼンテーションを実施し(2023年11月2日)、協力施設Aの臨床研究センターより臨床研究の実施承認を得た(2023年11月13日)。協力施設Aにおいてスマートフォンの操作練習を開始した(2024年2月1日)。スマートフォン操作画面またはSRT管理機能について研究協力スタッフからの意見をもとに随時マイナーチェンジを行った。協力施設Bの倫理委員会から承認を得た(2023年12月28日)。協力施設Bにてスマートフォン操作練習を開始した(2024年3月10日)。 本研究の関連研究として、タイトルを「4項目に分類した脳卒中理学療法におけるFIM改善度からみた項目別時間配分の妥当性」とした研究を、第6回日本理学療法管理学会学術大会にて報告した(2023年11月12日)。2020年4月から2021年3月にかけて、回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者195名を対象に、理学療法の時間と運動機能の変化について述べた。
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今後の研究の推進方策 |
アンドロイドスマートフォン用のリハビリテーション時間評価アプリ「SRT(Software for Rehabilitation Time)」の臨床実験を継続する。SRTを使用して脳卒中患者の理学療法時間を計測し、ビデオ記録から得た時間と比較してSRTの信頼性を検証する。 施設A、Bとは常に連絡をとっており、研究の進捗状況を確認している。さらに協力施設Cに訪問し、SRTのプレゼンテーションを行った(2024年4月19日)。今後、施設内で協議していただき、倫理委員会の承認を得た後にSRTの操作練習を開始する予定である。また、協力施設A、B、Cで研究を同時進行しながらデータを一括管理する計画である。ビデオ記録の確認は症例ごとに必要であり、研究に費やす時間が予定よりも長くなることが予測される。 SRTに関する演題を学会にエントリーしており、各学会の会場でSRT搭載スマートフォンを持ち込み、来場者には実際にアプリ操作を体験していただく予定である。日本リハビリテーション医療デジタルトランスフォーメーション学会第2回学術集会では、演題名を「リハビリテーション時間評価アプリの開発」としてSRTの開発についてプレゼンする。第22回日本神経理学療法学会学術大会には協力施設Aにおける症例を通して、SRTを活用した時間記録の分析結果を報告する目的で「スマホアプリを用いた脳卒中理学療法時間の記録と分析」という演題でエントリーした。
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