研究課題/領域番号 |
23K09566
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 国立保健医療科学院 |
研究代表者 |
武村 真治 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (50280756)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2027年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 株価 / 医薬品開発 / 薬事承認 / 製薬企業 / 企業活動 / 新型コロナウィルス感染症 / タイムラグ |
研究開始時の研究の概要 |
経済活動を表す指標の一つである「株価」に焦点を当てて、①個々の企業の活動が株価と健康に与える影響、②日本の企業活動の総体としての株価指数(日経平均株価等)と健康指標との関連、を分析し、株価と健康の変動が発現するタイムラグを同定し、経済と健康の間のダイナミックな相互関連のメカニズムを解明する。 ①では健康に関する企業活動(医薬品、医療機器等の生産、CSR、健康経営等の取り組み)が、当該企業の株価、日本全体の株価指数、国民全体の健康指標に与える影響の検討、②では株価指数と健康指標との相互関連(変動の大きさ、タイムラグなど)について、過去の長期データを用いた分析、及び5年間の前向き研究を実施する。
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研究実績の概要 |
本研究は、経済活動を表す指標の一つである「株価」に焦点を当てて、①個々の企業の活動が株価と健康に与える影響、②日本の企業活動の総体としての株価指数(日経平均株価等)と健康指標との関連、を分析し、株価と健康の変動が発現するタイムラグを同定し、経済と健康の間のダイナミックな相互関連のメカニズムを解明することを目的とする。今年度は、①に関して、企業活動としての医薬品の薬事承認の取得が当該企業の株価に与える影響を検証した。 薬事承認に関するデータとして、承認品目の販売名、企業名、承認日、承認の種類(新規承認、一変承認(承認事項一部変更承認:用法及び用量、効能又は効果、製造方法、貯蔵方法及び有効期間、規格及び試験方法の変更及び追加))などを用いた。また株価に関するデータとして、各企業の株価(日足)、及び株価指数(TOPIX:東証株価指数)などを用いた。日足データが入手可能な、2012年1月4日から2022年12月30日までの期間で、新医薬品の承認を取得した51企業(子会社が取得した企業も含む)、及び承認された628品目を対象とした。従属変数を株価の終値、説明変数を承認の有無及び承認品目数、調整変数をTOPIXの終値(株式市場全体の動向を表す指標)、データ開始日からの経過日数(各企業の株価及び株価指数の経日的な増加または減少の傾向を表す指標)とした重回帰分析を行った。 その結果、承認後に、株価が増加した品目は294、株価が減少した品目は309、株価の変化がみられなかった品目は25であった。また承認品目数の増加にしたがって、株価が増加した企業は27社、株価が減少した企業は22社、株価の変化がみられなかった企業は2社であった。 医薬品の薬事承認が株価に与える影響を実証したのは、わが国では本研究が初めてであり、学術的な意義と重要性は極めて大きいと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公開している「新医薬品の承認品目一覧」、株式会社東洋経済新報社が販売する「株価CD-ROM」を使用した。「新医薬品の承認品目一覧」はPDF形式で公開されている部分があったため、また「株価CD-ROM」はデータ構造が複雑であったため、分析用のデータベースを作成するにあたって煩雑かつ膨大な作業が必要となり、予定よりも多くの時間を要した。しかし今年度で分析用のデータベースはおおむね構築できたため、今後は計画的かつ効率的に研究を遂行することができる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本研究の仮説(企業活動としての、健康に直接寄与する「生産」と健康に間接的に影響を与える「取り組み」は株価の上昇と健康の改善に寄与する)の一部として、薬事承認の取得の株価への影響を検証した。しかし分析は初期の段階であるため、今後は企業の特性や医薬品の種類などによる影響の違いをより詳細に分析していく。さらに、薬事承認の取得以外の生産(医薬品・医療機器等の開発のための研究費の獲得・臨床試験や治験の実施等)や取り組み(CSR活動、健康経営など)のデータを収集し、株価への影響を検証する。また健康指標(死亡率、罹患率、受療率等)のデータを収集し、企業活動が株価と健康指標に与える影響とその影響が発現するタイムラグを同定し、株価と健康の相互関連のメカニズムを解明していく。
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