研究課題/領域番号 |
23K09587
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
須崎 真 日本医科大学, 医学部, 助教 (50714747)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 外国人患者 / 救急外来 / 緊急度トリアージ / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
救急現場では多くの医療機関が外国人患者を受け入れており、これまでの調査では出身国はアジア系を中心に世界各国に及んでいる。一方、新型コロナウイルスの流行を契機に輸入感染症が顕在化しており、入国制限の緩和に伴う外国人患者の増加や感染症の拡大も懸念されている。本研究では大学病院救急外来における外国人患者の臨床的特徴を調査し、疾患や感染症の実態を把握することで、外国人医療の円滑化や感染症の予防、対策に役立てることを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は大学病院ER救急外来における外国人患者の受診状況を調査し、臨床的特徴や感染症の実態を明らかにすることで、外国人診療の円滑化や環境整備に必要な因子を見つけ出すことである。救急現場における外国人患者の対応は、言語や文化の違いなどが医療者にとって大きな負担となっている。さらに近年、外国人患者の増加や新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、輸入感染症のリスクが顕在化してきており早急な対応策が求められている。2023年度は救急外来を受診した外国人患者を後方視的に緊急度トリアージ、疾患、感染症分類、国籍などの情報収集を継続しており、データベースの構築に必要な準備を行った。外国人患者はコロナ禍の影響で一時減少傾向にあったが、出入国緩和に伴い、2023年以降、アジア系を中心に外国人患者は増加してきており、出身国は世界各国に及んでいる。2023年度末までに調査した外国人患者は1,929例であり、国別には中国628例、韓国123例、ネパール123例で、疾患分類で最も多かったのは感染症であり、次いで消化器、腎・泌尿器の順であった。特に呼吸器感染症は約6割を占め、上気道が最も多く、次いで下気道、肺炎であった。トリアージ区分では緊急・準緊急の患者は全体の約1/3を占めており、その約6割が救急車での来院であり、緊急度の高い患者もみられた。今年度は緊急度トリアージや疾患、感染症の基礎データをもとに統計解析を行い、外国人医療の診療の質の向上や効率化に向けた具体的因子を検討する予定である。次年度以降では国内外の学会発表でのディスカッションや、統計学者との統計データの検討を通して、論文投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は研究の準備段階として、救急外来を受診した外国人患者のデータ集積を継続し、出身国、受診方法、緊急度トリアージ、疾患分類、感染症など後方視的調査を中心に行った。統計学的解析に向けた環境整備は準備できており、今後はデータべースをもとに、救急外来における外国人診療の円滑化や診療の質を向上させるために、どのような因子が関連しているのか、多変量解析などで検討する予定である。また、研究成果については、国内の学会発表を通じて外部に発信するとともに、論文化に向けた準備を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究の推進方策を以下に示す。 ・感染症の基礎データの構築と感染症専門医との連携:外国人患者の疾患分類では感染症が多いことから、原因微生物の特定や感染症の基礎データの構築が重要である。感染症専門医との連携を強化し、データの分析を行っていく。 ・多変量解析と統計学者との協力:外国人患者のデータベースを活用し、各因子間の多変量解析を実施するだけでなく、統計学者と協力して解析手法など詳細検討していく。 ・外国人患者に対するアンケ―トの実施:患者情報のデータの信頼性をさらに高めるため、診療に関するアンケート調査を予定している。 ・結果の発表と論文化:研究の成果を学会発表するだけでなく、論文として報告する予定である。
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