研究課題/領域番号 |
23K09604
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
|
研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
中村 光 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80326420)
|
研究分担者 |
福永 真哉 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (00296188)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
|
キーワード | 脳疾患 / 語用論 / コミュニケーション障害 / 認知機能障害 / 老化 / 回復 / 疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
成人の語用論的コミュニケーション障害に関して、以下の4点を明らかにする。①年代別の成人を対象にした横断研究により、語用論的コミュニケーション機能の老化過程について明らかにする。②同じ横断研究により、正常老化と病的老化(障害)の差異の本質について明らかにする。③語用論的コミュニケーション障害をもつ成人患者を対象にした縦断研究により、その機能の回復過程について明らかにする。④同じ縦断研究により、その社会生活の変化の過程について明らかにする。これらの研究によって、同障害の本質にさらに接近し、評価・介入法の開発を促し、障害をもつ人の生活の質の向上に寄与する。
|
研究実績の概要 |
高齢化の一層の進展に伴い、脳血管疾患や変性認知症疾患などの脳疾患によって、言語・認知・コミュニケーションに障害をもつ人はますます増えると予測される。本研究課題では、大脳疾患による、認知機能の問題に起因する、ことばの語用論的側面(pragmatics)の不全によるコミュニケーションの障害について、その本質および障害からの回復の過程について接近し、将来の評価・介入法の開発を促し、これらの人の生活の質の向上に寄与することを目指す。 具体的には、成人の語用論的コミュニケーション障害に関して、以下の方法により研究を行う。Aの横断研究では、さまざまな年代の「健常者」を対象に、語用論的コミュニケーションの評価尺度、および認知機能の評価課題を行い、①語用論的コミュニケーション機能の老化の過程について明らかにする。また、それらの成績と、疾患によって語用論的コミュニケーションに障害をもった人たちのそれを比較・分析して、②正常老化と病的老化(障害)の差異の本質について明らかにする。Bの縦断研究では、すでに大脳疾患に罹患し語用論的コミュニケーションの評価が行われた患者、および新たに罹患した患者に対し、再び語用論的コミュニケーションおよび認知機能の評価を行い、③その回復過程について明らかにする。また、新たに社会生活の実態調査を行い、④その社会生活の変化の過程について明らかにする。 2023年度は、Aの横断研究に関しては、語用論的コミュニケーションを評価するための新たな尺度として、欧州で評価の高いScenario Test(van der Meulenら 2010, Hilariら 2018)を翻訳して日本語版を作成し、その信頼性と妥当性についての検証を行った。それらの評価値は満足できる値であり、その成果を英文論文にして国際誌に投稿した。Bに関してはデータの収集を行っているところである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究全体はおおむね順調な進捗である。 Aの横断研究に関しては、語用論的コミュニケーションを評価するための新たな尺度として、欧州の言語聴覚障害研究者の専門委員会においてコミュニケーション障害評価の「best practice」とされたScenario Test(van der Meulenら 2010)の日本語版を作成した。英語版を標準的な手続きで翻訳したあと、原著者に確認しながら日本の文化にあわせて一部の改訂を行い、日本語版を確定した。そして、その信頼性と妥当性についての検証を行った。それらの評価値は満足できる値であり、その成果を国内学会で発表するとともに、英文論文にして国際誌に投稿した。 Bに関しては、すでに2022年度までに初回評価が行われている語用論的コミュニケーション障害者に2回目の評価を行うとともに、新たに大脳疾患により語用論的コミュニケーション障害をもつことになった患者への評価を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
Aの横断研究に関しては、さまざまな年代の、いわゆる健常者(地域に在住し、自立生活をしていて、中枢神経系の疾患や問題がないもの)を対象に、私たちがすでに開発した日本語版Pragmatic Rating Scale、比喩理解課題、日本語版Scenario Testを実施し、また注意、記憶、遂行機能を測定する認知機能課題を実施して、各年代における標準値を得るとともに、正常老化(生理学的老化)における成績低下の程度と性質について分析する。2024年度は特にデータ収集に取り組む予定である。また、今までの研究遂行の過程でデータを得たCommunicative Activity Log(Pulvermullerら 2008)日本語版についても、英文で論文発表する予定である。 Bの縦断研究に関しては、2024年度は再評価の患者および新規患者に対する評価の実施(データ収集)を強力に進めていく予定である。 さらに、研究推進のための情報収集についても、国内学会に参加して精力的に進めていく。
|