研究課題/領域番号 |
23K09611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
垣内 康宏 近畿大学, 医学部, 教授 (80611459)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 法医学 / 行政データ / 引きこもり / 孤独死 / セルフネグレクト |
研究開始時の研究の概要 |
我が国において、100万人を超えるといわれる「引きこもり」世代が今後高齢化し、セルフ・ネグレクト等の結果、ごみ屋敷等の社会問題を引き起こし、最終的に孤独死する危険性が指摘されており、その実態把握と予防策の確立が全国の自治体にとって急務となっている。本研究は、このような事態に対し、孤独死に関する先行研究を補完すべく、地域住民を対象に、既存の行政データの収集・分析に加え、孤独死等に至らなかったいわゆる「ヒヤリ・ハット」症例等の調査も並行して行うことで、孤独死等の危険因子をより詳細に把握するとともに、エビデンスに基づいた予防対策の確立にも貢献することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究課題は令和5年度から7年度までの3ヶ年計画で、今年度はその1年目であった。既存の行政データ(国民生活基礎調査等)を予定通りのスケジュールで入手した。社会的交流頻度に関する直接の調査項目は国民生活基礎調査に存在しないものの、引きこもり症例に該当する条件を独自に設定することで対象集団の、1)年齢、2)性別、3)既往症、4)家族構成、5)婚姻歴、等に関するデータ提供を得た。そしてこれらについて詳細な統計解析を行い,危険因子等の分析を行った。また、引きこもり予備軍である単身独居者の抱える日常生活に関する悩みやストレスについての分析も並行して行った。1990年代のバブル崩壊後、いわゆる就職氷河期に社会的困難に直面し「引きこもり」となった世代が現在、100万人を超えているといわれており、さらには引きこもりが長期化して中高年となり、その扶養者たる親が高齢者となる「8050問題(80歳代の親が50歳代の引きこもりの子をケアする)」が早晩、9060問題となって、親に先立たれた「引きこもり」高齢者が「セルフ・ネグレクト(衛生や健康行動を放任し、自己の心身の安全や健康が脅かされる状態、例:不摂生や医療の拒否、部屋のごみ屋敷化等)」を引き起こす危険性が指摘されている。そのため我々は、今後は未だセルフネグレクトに至っていない事例、具体的には行政による支援・介入中(ケースワーカー訪問中等)のケースや、ごみ屋敷化等による近隣住民の通報で発見されたケース(いわゆる「ヒヤリ・ハット」症例)についても、行政機関へのヒアリングや地域住民等に対する質問紙調査を行い、予防策に関する詳細な把握を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
既存の行政データによる孤独死事例等の情報収集は順調に完了した。また,各種セルフネグレクト死のうち,家族や行政の支援を拒絶して春先に自宅内で凍死(衰弱死)した事例について症例報告の学会発表を行った。また、国の基幹統計である国民生活基礎調査データに基づき、セルフネグレクト予備軍である単身独居者の抱える日常生活に関する悩みやストレスについての学会発表も行った。
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今後の研究の推進方策 |
既存の行政データによる孤独死事例等の把握とその分析はほぼ完了し,各セルフネグレクトの類型ごとに今後,さらに論文化を進める予定である。また、これまでの先行研究の分析が及んでいない、孤独死に至らなかった事例、具体的には行政による支援・介入中(ケースワーカー訪問中等)のケースや、ごみ屋敷化等による近隣住民の通報で発見されたケース(いわゆる「ヒヤリ・ハット」症例)についても、行政機関へのヒアリングや地域住民等に対する質問紙調査を行い、孤独死の危険因子等に関する詳細な把握を行う予定である。
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