研究課題/領域番号 |
23K09649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
有馬 和彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (30423635)
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研究分担者 |
水上 諭 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 助教 (20814502)
岩本 直樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (80437897)
玉井 慎美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (60380862)
折口 智樹 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (90295105)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 骨量 / 自己免疫 / 慢性炎症 / 地域在住住民 / 予防医学 / 疫学 / 骨健康 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
自己炎症疾患は遺伝的異常に起因する炎症性疾患であり、その原因遺伝子変異は原因蛋白質の質的量的変化をもたらし、慢性炎症の病態を形成する。慢性炎症は骨を含む全身臓器に影響を与え、生活習慣病や老化にも関連している。骨組織は慢性的な炎症による影響を受ける主要な臓器である。骨折は寝たきりの原因であることから、骨折予防は公衆衛生における重要な課題である。 研究代表者が参画する地域住民追跡研究によって得られる、詳細かつ妥当な生体情報と遺伝子解析試料を利用することで、自己免疫疾患と自己炎症疾患がどのように骨量調節に影響しているかを検討する。
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研究実績の概要 |
自己炎症疾患は遺伝的異常に起因する炎症性疾患であり、その原因遺伝子変異は原因蛋白質の質的量的変化をもたらし、慢性炎症の病態を形成する。自己炎症疾患は、明らかな誘因のない炎症を呈するが自己免疫疾患でみられる明らかな自己抗体や自己反応性T細胞は検出されないことから、自己免疫疾患と対比して命名された新しい疾患概念である (McDermott MF. Cell 1999)。塩基配列解読技術の飛躍的向上を中心とする分子生物学の発展に伴い、次々に自己炎症疾患の原因遺伝子変異が同定された。生理的炎症制御機構の破綻が慢性炎症を引き起こすことが判明した 自己免疫疾患である関節リウマチは世界的に認められた強力な骨量低下因子である。世界保健機構によって開発された「骨折リスク評価ツール」において、将来の骨折を予測する因子として関節リウマチに罹患していることが考慮されている。 慢性炎症は骨を含む全身臓器に影響を与え、生活習慣病や老化にも関連している。骨組織は慢性的な炎症による影響を受ける主要な臓器である。近年の研究成果により、慢性炎症はアレルギー性疾患や自己免疫性疾患のみならず加齢とともに増加するがん、動脈硬化、肥満、アルツハイマー病などの疾患、さらには老化そのものも潜在的な慢性炎症による変化によって進行すると考えられるようになった。 本研究では、自己免疫疾患と自己炎症疾患の両面から疫学的評価を行う。性差年齢生活習慣を考慮した日本人地域住民における骨量調整機構因子とその影響の実態を明らかにする。 長崎大学大学院先進予防医学共同専攻の追跡研究参加同意を示した地域在住住民を対象者とした。計画は順調に進捗し、次年度以降の血清中微量蛋白定量と遺伝要因解析のための高い妥当性が得られた。研究代表者と研究分担者の連携協力体制は良好に行われており、本研究計画の順調な推進に当初予期されていない事態は発生していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長崎大学大学院では、医学部・歯学部・薬学部の講座を含む先進予防医学研究センターが長崎県五島市で「生活習慣に関連する地域における生活習慣が影響を与えると考えられる疾患の追跡研究 (長崎アイランド研究: Nagasaki Islands Study)」を継続している。 当該年度の調査によって以下の資料と試料を取得した。問診項目49種類の疾病と自覚症状と服薬歴と既往歴と喫煙を含む生活習慣。市町村が主催する特定健康診査と調査測定項目を統合して、年齢・身長・体重・血圧などの一般身体的計測結果。血液検査から、全血球計算と一般生化学を含む35項目。骨量測定は定量的超音波法を用いて若年成人平均に対する比率。血液検体と唾液を含む体液血液試料を取得した。末梢血単核球由来のゲノムDNAは10mMトリス0.1mMEDTA含有のトリス緩衝液中に保存される。 血液試料は専用採血管を用いて血清検体と血漿検体として低音冷凍保管された。次年度以降の血清中微量蛋白定量を円滑に行うために、多数標的浮遊粒子多数検体測定法Luminex xMAPを用いて血清中微量蛋白定量を行った。良好な検定S字曲線の確認と期待された1,000倍から10,000倍の測定範囲を確認することができた。遺伝要因解析に関して次年度以降の解析を円滑に行うために、加水分解プローブ法を用いた内的妥当性の検討を行なった。834検体の解析において高い妥当性が確認された(問診情報と標的遺伝子多型A, p <0.001, 身体計測と標的遺伝子多型B, p <0.001)。 次年度は問診項目の再点検と修正追加を予定している。本研究に必要な資料取得は継続される。また、研究代表者と研究分担者の連携協力体制は良好に行われており、本研究計画の順調な推進に当初予期されていない事態は発生していない。研究順調に研究参加への同意者が増加しており、計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進行している。研究計画に沿って推進する。 具体的には、長崎大学大学院の医学部・歯学部・薬学部の講座を含む先進予防医学研究センターが長崎県五島市で「生活習慣に関連する地域における生活習慣が影響を与えると考えられる疾患の追跡研究 (NaIS: 長崎アイランド研究: Nagasaki Islands Study)」を継続して実施している。(担当有馬、水上、玉井、岩本、折口) 対象者はNaISに参加した地域在住住民とする。方法は骨量は定量的超音波法をもちいて定量化し、以下の項目との関連を検討する。問診項目は49 種類の疾病罹患と自覚症状と服薬歴と既往歴と喫煙を含む生活習慣。健診測定項目は年齢・身長・体 重・血圧などの一般身体的情報。血液検査項目は全血球計算と一般生化学を含む 35 項目。その他特殊検査としては、血清リウマチ因子抗体値、血清中微量 蛋白定量、既に生活習慣病と関連が報告されている遺伝要因。多変量関連解析は、若年成人平均値と比較して、骨量低下を定義する。 骨量低下を従属変数、調整変数を身体基本属性と生活習慣因子として、自己炎症と自己免疫に関連する項目を独立変数とした、多変量回帰による関連解析を行う。 本研究は個人情報を伴うアンケート調査とヒト遺伝子解析研究であるため、長崎大学大学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の審査を受けている(登録番号 14051404-13)。日々刻々と変化する人権保護の情勢に対応し改善を行い、関連する指針・法令・宣言を遵守する。
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