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地球温暖化と皮膚がんの増加―熱による液-液相分離と紫外線DNA損傷修復阻害との関係

研究課題

研究課題/領域番号 23K09650
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
研究機関静岡県立大学

研究代表者

伊吹 裕子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (30236781)

研究分担者 小牧 裕佳子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (40811617)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワード熱 / 液ー液相分離 / 紫外線 / DNA損傷 / ヌクレオチド除去修復 / 核小体 / 温暖化 / 皮膚
研究開始時の研究の概要

地球温暖化が進み外気温が高くなると、直射日光を浴びた皮膚表面では急激な温度上昇が引き起こされることが予想される。我々は、皮膚がんの主原因とされ、紫外線により生成するDNA損傷であるピリミジンダイマーの修復が熱により遅延すること、さらにはその修復分子が熱により細胞内で集合体を形成し相分離することをこれまでに見出した。本研究では、熱によるDNA修復分子の相分離がピリミジンダイマーの修復を阻害すると仮説を立て、その立証と熱による相分離の機構解明を行う。これまで疫学データでしか示されていなかった外気温と皮膚発がんの関係について明らかにする。

研究実績の概要

これまで皮膚がん発生への熱の寄与については、ほとんど研究が行われていない。我々は、皮膚がんの主原因とされ、紫外線により生成するDNA損傷であるピリミジンダイマーの修復が熱により遅延すること、さらにはその修復分子が細胞内で集合体を形成(相分離)していることを見出している。本研究では、熱によるDNA修復分子の相分離が、紫外線誘導ピリミジンダイマーの修復に影響するのかどうかを検討するとともに、DNA修復分子の相分離機構を解明することを目的とする。
令和5年度は、申請者がこれまでに明らかにしたXPCの相分離以外に、紫外線誘導ピリミジンダイマーの修復機構(ヌクレオチド除去修復機構)において異なる段階で働く分子が熱により相分離するかどうかを、蛍光免疫染色法により解析した。今回の解析では、損傷の認識を担うXPC、巻き戻しに関与するXPA、TFIIH(XPB)、切り出しを行うXPFとXPG、埋め合わせを行うPCNAについて、熱曝露後に免疫染色を行った。XPC、XPA、TFIIH、PCNAは熱曝露後に核内の一部分にそれぞれの分子が分離し集積しているのが認められた。また、その位置が核小体の染色とマージしたことから、これらの分子は熱曝露後、核内の相分離器官である核小体に移行していることが示唆された。一方、XPG、XPFについては、相分離や核小体への移行は認められなかった。よって、すべての分子が熱ストレスにより核小体へ移行するわけではないことが明らかになった。核小体への移行について確認するため、スクロースの濃度を変えた遠心法により核小体を分離し、ウエスタンブロット法を行った。熱曝露後に核小体の分画においてXPC, XPA, TFIIHが検出され、熱によりヌクレオチド除去修復機構関連分子が核小体へ移行することが確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究申請書に記載した第1段階の検討として、XPC以外のヌクレオチド除去修復分子の熱曝露後の挙動解析を行うことを予定していた。令和5年度の研究により、XPA、TFIIH(XPB)、XPF、XPG、PCNAについて、免疫染色法によりその挙動を検討することができた。XPC、XPA、TFIIH、PCNAは熱曝露後に核内の一部分にそれぞれの分子が分離し集積しているのが認められ、さらに、それが核小体へ移行であることも明らかにすることができた。また、免疫染色法のデータについて、核小体の分画法によっても証明することができた。よって、研究は順調に進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

熱曝露によるDNA修復分子の核小体への移行が証明されたので、次は予定通り、核小体への移行のメカニズムについて検討を行う。核小体は核内の相分離器官であるので、相分離を阻害する試薬などを使用し、どうして熱曝露後にヌクレオチド除去修復機構を担う分子が核小体に集積する必要があるのかを検討する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 熱によるヌクレオチド除去修復分子の核小体への移行とその理由2023

    • 著者名/発表者名
      伊吹 裕子,小牧 裕佳子
    • 学会等名
      第45回日本光医学・光生物学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 熱ストレスによるDNA損傷誘導と細胞老化の促進2023

    • 著者名/発表者名
      菖蒲 幸佑, 小牧 裕佳子, 森 優太, 伊吹 裕子
    • 学会等名
      変異機構研究会・第34回夏の学校
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 熱ストレスによるDNA損傷の誘導と細胞老化2023

    • 著者名/発表者名
      菖蒲 幸佑, 小牧 裕佳子, 森 優太, 伊吹 裕子
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会 (博多)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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