研究課題/領域番号 |
23K09653
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
志賀 達也 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80890863)
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研究分担者 |
河野 正充 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20511570)
村上 大地 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30794218)
金子 富美恵 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40328414)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 受動喫煙 / ムチン / MUC16 / pilus-1 |
研究開始時の研究の概要 |
喫煙に対する社会的関心は非常に高く、発癌や慢性閉塞性肺疾患、脳卒中、虚血性心疾患との関係が注目されてきた。一方喫煙と感染症の関係、とりわけ気道感染症発症の第一段階である鼻腔における保菌と他者への伝播の影響に関する研究は少なく、耳鼻咽喉科頭頸部外科が解明すべき新たな課題と考える。本研究ではこれまでの研究で解明されていない喫煙による肺炎球菌の保菌と宿主間伝播の促進における免疫学的機序について鼻腔で産生されるムチンと分泌型IgA抗体の機能変化の視点から解明する。本研究成果は喫煙の社会的影響について病原微生物の伝播という新視点より解明し鼻腔における細菌伝播抑制に基づく新たな感染予防法の確立に貢献する。
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研究実績の概要 |
受動喫煙対策には行政施策のみならず、国民への禁煙の重要性の啓蒙と、受動喫煙による健康への影響のさらなる解明とそれを防ぐための予防医学的戦略が重要とされる。受動喫煙の身体への影響については、感染症発症前段階である保菌と伝播への影響に関しては未解明な点が多く、解明すべき新たな課題である。本研究課題は、「受動喫煙により鼻粘膜防御機構に影響することで、肺炎球菌の獲得性、保菌、伝播が変化する分子生物学的・免疫学的機序を明らかにし、病原微生物伝播抑制に基づく新規感染症発症予防の基盤的知見を得ること」を目的としている。 実験動物としてMUC16KOマウスと野生型(WT)マウスを用いた。生後4日齢~7日齢にかけて前処置としてタバコ煙抽出液(CSE)点鼻群とPBS点鼻群を作成した。8日齢に肺炎球菌6A株を経鼻感染させた。感染2日後に鼻腔洗浄液を採取し、鼻腔中の肺炎球菌数を評価した。MUC16KOマウス、WTマウスいずれにおいてもCSE点鼻群でPBS点鼻群と比較して肺炎球菌数が少ない傾向を認めた。またPBS点鼻群において、MUC16KOマウスがWTマウスと比較して有意に肺炎球菌数が多いという結果が得られた。続いてMUC16KOマウスについて同様にCSEもしくはPBSいずれかの点鼻処置を行い、ケージの半数に肺炎球菌を経鼻感染し、非感染のマウスに伝播が成立しているかを観察した。CSE点鼻群はPBS点鼻群に対して有意に伝播率が低いという結果が得られた。本研究により、受動喫煙による粘液過分泌が肺炎球菌の保菌と伝播に及ぼす影響を明らかにすることで、新規予防戦略の確立へ応用させることが期待できると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階でKOマウスを用いた実験に着手できており、実験計画に対しておおむね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
肺炎球菌pilus-1野生型ならびに遺伝子欠損株における保菌、伝播の違いを評価する。マウス鼻腔病理組織において、肺炎球菌莢膜に対する免疫組織化学染色とムチンに対するAlcian blue染色の二重染色により、ムチンへの肺炎球菌凝集を評価する。鼻腔洗浄液中の、pilus-1に対する分泌型IgAをELISAにより確認する。pilus-1特異的IgAを含む鼻汁を肺炎球菌とともに共培養し分泌型IgA結合肺炎球菌を作製し、保菌、伝播、肺炎球菌凝集の変化を評価する。ムチンによる肺炎球菌凝集にpilus-1に対する分泌型IgAの相互作用が関与することを明らかにする。
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