研究課題/領域番号 |
23K09657
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58020:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含む
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
吉田 菜穂子 順天堂大学, 医学部, 助教 (70327584)
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研究分担者 |
三井田 孝 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80260545)
美田 敏宏 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80318013)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | マラリア / リポ蛋白 / LDL / HDL / 小児 |
研究開始時の研究の概要 |
マラリアは世界三大感染症の1つである。申請者はマラリア感染児には著明な低リポ蛋白血症(低LDL と低HDL)が高率に合併すること、培養実験でリポ蛋白濃度を低くすると、マラリアの増殖が亢進することを見出した。この結果は血清リポ蛋白の低い小児ではマラリアに感染しやすい可能性を示唆するが、流行地での縦断疫学調査と基礎実験によるさらなる裏付けが必要である。本申請では順天堂大・熱帯医学講座が継続調査を実施している北部ウガンダでのコホート、in vitro 培養系、およびマウスマラリアを用いた感染実験により、血清リポ蛋白がマラリアの感染、発症および重症化リスクにどのような影響を与えるかを解明する。
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研究実績の概要 |
マラリアのin vitro培養実験において、血清リポ蛋白がマラリア増殖に与える影響について解析を進めた。これまでに、培養液中のリポ蛋白濃度を低くすると、マラリアの増殖が亢進することを見出していた。加えて、リポ蛋白のうち特にLDLが存在するとマラリア増殖を阻害する効果があること、LDLのうち特に酸化LDLの存在によりその効果は顕著であること、また酸化LDLの増殖阻害効果はHDLの存在による減弱することを見出した(本結果について第93回日本寄生虫学会で報告した)。 また、ウガンダ北部Lacor病院周辺地域で小児(1-5歳)を対象とし約200例の現地住民から血清検体を収集した。採血時にマラリア感染の有無を確認しており、今後血清リポ蛋白を含めた血液生化学検査を行い、解析を進める予定としている。 また、血清収集時にマラリア感染に影響しうる因子(蚊帳の使用、屋内残留殺虫剤噴霧など)、成長発達に影響を及ぼし得る因子(出生経過、発育発達経過、家族生活環境など)を収集している。以後定期的に現地スタッフによる経過観察を継続しており、血清検体収集も定期的に行う予定としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していたin vitroマラリア培養における検討は予定に沿って進行している。また、計画していたUgandaにおけるField検体収集も計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、In vitro培養系における検討もさらに考察を進めつつ実験を追加検討していく予定で、生体環境に近い条件でのヒトマラリア培養系における解析として、血清リポ蛋白によるマラリア増殖阻害が、脂質代謝に関連する酵素活性が存在する状態でも見られるのかをヒトマラリア培養系で明らかにする予定としている。 また、マウスマラリア感染実験系における解析として、脂質代謝正常マウス及び高脂血症モデルマウスを用いて、正常、軽度及び高度の高脂血症状態を作成し、マウスマラリアの感染実験を行う予定としている。 マラリア流行地であるUgandaにおけるField調査については、現地の感染者、及び非感染者の血清収集を計画し、すでに行っている。今後、収集した血清のデータ検討を進め、リポ蛋白濃度とマラリア感染の関連性について解析を進める予定としている。 同時に、血清サンプルを収集した対象小児の栄養状態を評価するアンケートを行っており、合わせて検討を進めている。
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