研究課題/領域番号 |
23K09696
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
大塚 弥生 岩手医科大学, いわて東北メディカル・メガバンク機構, 特命助教 (30396303)
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研究分担者 |
清水 厚志 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (30327655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 骨粗鬆症 / 多遺伝子スコア / ゲノムワイド関連解析 / 骨粗鬆症リスク予測モデル / 多遺伝子リスクスコア / 個別化予防 / GWAS |
研究開始時の研究の概要 |
骨折は高齢者の寝たきりの原因として脳血管障害、老衰についで第3位であり、超高齢化がすすむ日本において骨粗鬆症の予防は医療費・介護費の削減からも喫緊の課題である。そのため骨粗鬆性骨折のハイリスク者を同定し早期介入による発症予防を行う必要がある。2008年にWHOが発表した骨折リスク評価ツールFRAXは将来10年間の骨折確率を示すが、日本人の場合予測精度が劣ることが知られている。本研究は疾患の素因として個人の持つ遺伝的多型から発症リスクを予測する多遺伝子リスクスコア(PRS)に着目し、精度の高い日本人に適した骨粗鬆症性骨折発症リスク予測モデルを開発し、上記喫緊の課題解決に貢献する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は日本人の骨量スコアのゲノムワイド関連解析(GWAS)から得られた多数の遺伝子多型の効果量に基づいて計算される多遺伝子スコア(Polygenic score、PGS)を計算し、PGSに基づく日本人の骨粗鬆症リスク予測モデルを開発することである。 本年度は東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査参加者約2万人をGWAS用(A群、10,794人)、PGSモデル調整用(B群、1,419人)、検証用(C群、7,621人)に分けて解析を行なった。まずA群の踵骨定量的超音波測定T-score値を目的変数として、性、年齢と遺伝子型11主成分を調整に用いてGWASを実施した。続いてGWASの結果から計37の候補PGSモデルを作成し、B群においてT-score値との相関に基づいて最良のモデルを選択した。骨粗鬆症の定義をT-score -2.5SD未満またはYAM 70%未満またはYAM 80%未満で、腰、上腕、大腿骨いずれかの骨折経験を持つ対象者とし、C群のベースライン調査情報を用いて同意撤回者と骨粗鬆症発症者を除外した5,927人をPGSに基づき五分位に層別化し、追跡調査期間における新規の骨粗鬆症発症率を解析した。その結果、42.7±9.5ヶ月の追跡調査期間に、577人が新規に骨粗鬆症を発症した。PGSの五分位により層別化して発症リスクを比較した結果、PGSが最も高い層を基準とすると最も低い層の骨粗鬆症の性年齢調整ハザード比は2.011(95%信頼区間、1.515~2.684)であり、遺伝的な骨粗鬆症発症高リスク者を早期にスクリーニングできることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は東北メディカル・メガバンク計画の一部として実施しており、個別の倫理審査などを受けずに初年度より解析に着手できた点は大きい。PGSに基づいて疾患発症リスク予測が骨粗鬆症においても確立できる可能性が見出せたことにより、研究の約6割を遂行できていることから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
将来の骨粗鬆症予防に役立てるため、検証データセットを用いて、骨粗鬆症発症者の家族歴、食習慣および生活習慣などを詳細に解析し、骨粗鬆症学会など専門的な国内学会で発表を行う予定である。現在も東北メディカル・メガバンク計画地域住民コホート調査は三次調査を継続中であり、更なる疾患発症情報が得られるため、最終年度までに骨粗鬆症リスク予測モデルの検証を引き続き行う。
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