研究課題/領域番号 |
23K09697
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
吉田 正雄 杏林大学, 医学部, 准教授 (10296543)
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研究分担者 |
苅田 香苗 杏林大学, 医学部, 教授 (40224711)
苣田 慎一 杏林大学, 医学部, 学内講師 (90639791)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 近視 / 屈折度数 / 疫学 / 公衆衛生学 / 予防医学 |
研究開始時の研究の概要 |
学齢期における近視人口は増加し続けているが、近視が発症・進行する原因は未だ解明されていない部分が多い。強度近視に伴う網脈絡膜変性、網膜剥離および黄斑下出血は、視力低下・失明の重要な原因でもあり、強度近視は世界的にみても中途失明の上位を占めており、QOL低下に大きく関わっている疾患である。 そこで本研究は、日本人大規模集団を対象に幼児期から高齢に至るまでの屈折度数(D: Dioptre / ジオプトリー)の経時的変化の全体像を解明するとともに、学齢期における成長曲線と屈折度数変化の関連を分析する長期縦断疫学研究を実施することを企図するに至った。
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研究実績の概要 |
失明は、WHOの報告からも人類におけるきわめて普遍的で重要な健康損失とされており、QOL低下の主要因として予防対策の充実化が急がれる公衆衛生学的問題である。強度近視、特に眼軸長の異常な延長を示す強度近視は、網脈絡膜変性のみならず、網膜剥離、黄斑下出血、緑内障および白内障を発症するリスクが高く、世界的にみても中途失明の上位を占めている疾患である。 しかしながら、少なくとも本邦ではまだ、近視の発症および進行のリスク要因解明を目的とした大規模かつ妥当性の高い疫学研究は実施されておらず、幼児期から高齢に至るまでの屈折度数の経時的変化の全体像が明らかになっていない。そこで本研究では、日本人大規模集団を対象に幼児期から高齢に至るまでの屈折度数の経時的変化の全体像を解明することを目的に、診療録を基に5年間の追跡調査を実施した。 令和5年度は近視データの収集と入力作業を中心に進め、入力が完了した一部データを基に解析を実施した。12歳から15歳の日本人約5万眼を対象に5年間における屈折度数の変化を性・年齢・屈折度数階級別に分析した結果、屈折度数の変動量は12歳が最も大きいこと、加齢とともに屈折度数の変動量が小さくなること、追跡開始時の近視度数が小さいほどその後の屈折度数の変動量が大きくなることが明らかになった。さらに、対象者を紫外線カット付きソフトコンタクトレンズ使用群(UV-SCL)と紫外線カットなしソフトコンタクトレンズ使用群(UV+SCL)の2群に分類し、5年間における屈折度数の変化を性・屈折度数階級別に分析した結果、男女ともに、またいずれの近視度数においてもUV+SCL群はUV-SCL群と比較して近視の進行がわずかに大きいことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度は近視データの収集と入力作業が概ね計画通り進捗し、約5万眼のデータを入力することができた。また、入力が完了した一部データを基に解析を実施することができた。 12歳から15歳の日本人約5万眼を対象に5年間における屈折度数の変化を性・年齢・屈折度数階級・コンタクトレンズの紫外線カット機能の有無別に分析した結果、屈折度数の変動量は12歳が最も大きいこと、加齢とともに屈折度数の変動量が小さくなること、追跡開始時の近視度数が小さいほどその後の屈折度数の変動量が大きくなること、紫外線カットなしソフトコンタクトレンズ使用群は紫外線カット付きソフトコンタクトレンズ使用群と比較して近視の進行がわずかに大きいことが明らかになったので、これらの結果を学会にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も対象者の近視データの収集と入力作業を実施する。データの収集と入力を進めている途中ではあるが、現在までに蓄積されたデータを基に順次解析を進め、その結果を学会にて報告する。 令和5年度は約5万眼のデータを得ることができたので、令和6年度も引き続きデータ収集と入力作業を継続する。また、対象者の追跡と並行して縦断的解析も実施し、近視進行および強度近視に関連する因子を解明するための分析を行い、その結果を学会および論文にて報告する。
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